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第2話

 あっけまっして、おっめでとぅござうぃます。

 今年も本作、出来たらもう一つの、異界の地の方もよろしくお願いします!

 異界の地の方も本日投稿しておりますのでっでっ。

【神好勇気】



 「おい、兄ちゃん。いい身分してんなぁ?」


 なんだこいつ?

 俺はいつの間にか、柄の悪い男達に囲まれていた。 


 怖がる女子を余所目に福田さんは皆の前に守るように立った。


「あなた達は誰ですか? あまりしつこいと警察呼びますよ??」


 凄いな、怖くないのだろうか?

 俺も男を見せないとな。親父に怒られちまう。


「俺達になにか用ですか? 用がないなら早く退いてください!」

「いやいや、お前には用はねぇよ、用があるのはそこの姉ちゃん達だ。特にそこの別嬪さん」

「私、ですか? どんな用……」


 そこまで言って、男達はさらに一層俺達に詰め寄った。


「言わなくてもわかるだろ? 痛い目に遭いたくなけりゃ、大人しく俺らに付いてこいよ」


 福田さんは構えを取った、だが……。


「抵抗はすんなよ?? この子達がどうなっても、いいなら、な?」


 助けを呼ぼうとして、周りを見渡したが近くには誰もいず、不可能だと知った。

 どうする、どうする……そう悩んでいたが答えは見つからない。


「なぁ、この男どうする? ボコしちまうか?」

「そうするか」


 前から男が近づいてきた。

 俺は今まで喧嘩の経験とかもないし、そういう荒事には無縁だった。

 だからそれっぽい構えを取って、なんとか抗おうとしたが。


 首元に衝撃を受け、僕の体は前に勢いよく倒れていった……。



 ・ ・ ・



 キン……カン……ボゴッ。


 ん……んん??

 何やら音がして、俺は徐々に意識が現実に戻っていき目を覚ました。

 手を後ろに回され縄で縛られており床に寝せられ、身動きは取れなかったが、首を回して状況を確認する。


 そこはよくある刑事ドラマの撃ち合いシーンに使われる廃工場のようなところだった。 


 福田さんが怯え身体を寄せ合う女子生徒達を背に、何やら金属パイプを持って男達と渡り合っていた。 

 華奢な体に似つかわしくないスピードでパイプは振り下ろされている。


 あんな勢いでパイプを振り下ろされたら、死ぬのではないかと思い、倒れている男達を見ると、血の一滴も流さずに安らかに眠っていた。


 どういうことだろうか……?


 よく福田さんの動きをよく観察すると、当たる直前で急激に遅くなっていた。

 うちの学校は剣道部が強いって聞いていたが……そういうことなのか?


「おいおい、お前らぁ……随分な様じゃねぇかぁ?」


 声がした方に目を向けると、顔は傷だらけで耳にはピアス、首にはたくさんのネックレス、手には十本の指すべてに、一つか二つ指輪を付けた、ヤクザみたいなのがいた。


「こんな小娘一人によぉ? しかもこいつ手加減してんぞ??」

「いやでも、こいつめっちゃ強いんっすよ!!」


 最初はあんなにいた男達も今ではヤクザを含んで片手の指の数よりも少ない。


「はぁはぁ、私みたいな小娘にやられるなんて、あなた達も大したことないわね」


 息が切れてもなお、福田さんは諦めず立ち向かおうとする。


「さぁ、早くかかってきなさいよ? 怖いのかしら?」

「あぁ、怖いな。だがな、その戦い方が全てじゃないんだぜ?」


 パンッ。


 1発の何かが、弾ける音。鈍い金属光沢。滴る鮮血。


「福田さん! 大丈夫!?」

「起きてた……のね、ごめん、助け……られなかった」


 そんなことはない、俺達のために美夏さんは戦ってくれたんだ。何も出来ない俺らのほうが申し訳ない。

 女の子なら、まだしも俺は男だ。何も出来ないのはダメだろう……。



「へへっ、ついにか……。いいっすよね?」


 美夏に倒されていなかった男の1人がヤクザのような風貌の男に確認を取る。

 このゲスがっ!!


「いいぞ、今日は俺はそんな気分じゃねぇんでな、さっさと伸びてるやつら起こせ」

「わかりやした。お前ら起きろよっ!!」


 起きている男は倒された男達を起こしにかかった。


 おっ、手を縛っている縄が取れた!! どうやら少し緩かったようだ。

 今の内に……。壁に倒れかかっているパイプを音を立てないように、そっと手に取る。


 それからそっと、男の後に忍び寄る。

 こんなやつらを気遣う必要はねぇ。


 俺は背中に思い切りパイプを振り下ろす。

 鈍い音をたてて、男は倒れた。


 その音で起きている男達は俺が自由になったことに気づいた。


「ちっ、縄が解けちまったようだ」

「だが、お前荒事に慣れてねぇだろ? 足が震えてるぜ」


 確かになれてない、だがやらなければならないときがあるんだ。

 だから俺は男達に向かい合う。

 

 俺は前方ばかりに気を取られ、後ろの警戒を疎かにしてしまった。その結果……


「後ろがガラ空きだぞ?」


 後方から声が投げかけられる。気絶させられた時のように俺はまた後ろから衝撃を受け、前に倒れた。

 だが、飛びかけた意識をぎりぎり保つことが出来ていた。


 でもここまでか……。諦めかけたその時だった。


「お兄さん達、趣味が悪いねぇ? こんな大人数で二人の学生に詰め寄るなんて、ねぇ?」


 廃工場の入口には俺達と同じ制服を着た一人の男子生徒が立っていた。

 確か……名前は……。


「理人!」


 そうか、福田さんの幼馴染みっていう、刀谷くんか。


「ごめん、遅くなっちゃった……どこに行ったかわかんなかったんだよ。でも銃声が聞こえたから、やっとわかったんだ。痛かったでしょ……? 早く病院に連れていってあげるからね」


 刀谷くんは福田さんが使っていたパイプを拾い上げ構えた。

 その構えは福田さんのものに似ていた。


 刀谷くんは一人の男に向かって駆け出す。

 男はパイプで斜めに振り下ろされていたパイプを受けようとしたのか、パイプを横にして構えた。


 そんな男の行動も敢え無く、パイプは弾かれ、男は倒された。

 刀谷くんは男が起きないことをよく確かめずに次の男へと標的を移した。それから刀谷くんはヤクザを残し全員を無傷で倒して、こう言った。


「残るはおじさん、ただ独りだよ??」

「ハハッ、少しはやるようだな? だがお前も銃には敵うまい」


 刀谷くんは、不敵に笑うばかりだった。



 ~ ~ ~




 ヤクザのおじさんが銃口を僕へと向ける。


「理人! 避けてッ!!」


 言われなくても避けるさ。


 1発の銃声が静かな廃工場の中を反響する。

 そこには倒れた男達、身を寄せ合う女子生徒達。喧嘩慣れしていない男子生徒、銃で身体を撃たれ血を流す女子生徒。

 そして無傷・・で立つ男子生徒とそれに相対するヤクザしかいない。


「外したか、次はないぞ!」


 素早く銃を構え、引き金を引く。

 だが僕には当たらない。


「何故だ! なぜ当たらないッ!?」

「簡単なことだよ、僕が避けているんだ」


 銃の向いてる方向から予測される、弾道。引き金を引く際に、動く筋肉。この二つにより、いつ、どこに弾が来るのかが予測できる。後は筋肉が少しでも動いたら弾道の延長線上から退くだけでいい。

 撃つ前に当たらないことが確定しているのである。


 さっさと終わらせるか、美夏も怪我しているんだ。病院に早急に連れていく必要がある。

 というかこんな奴、疲労が溜まっていない美夏だったら瞬殺だっただろう。


 僕はケリを付けるため、ヤクザとの距離を詰める。

 その間も銃弾が飛来するが、紙一重で躱していく。


 ヤクザに難無く近づいた僕は力を溜める。このヤクザが持っている拳銃を弾き、このヤクザの意識を刈り取るために。

 

 一振り目で、拳銃を弾く。この男の手が届かないところへ。

 重厚な金属が、平らなコンクリートの上を滑っていく音が聞こえた。

 二振り目で、男の意識を一瞬にして奪う。この男が無駄な抵抗をしないように。

 最後の一人が地に倒れた音が聞こえた。


 そして一発の甲高い音・・・・・・・が聞こえた。



 これで一件落着だな、神好くんもだが、美夏は拳銃で撃たれている、重症だ。直ぐに病院に行かないと、血が今も流れ出ている。

 僕は、倒れている美夏に近づき声をかける。


「終わったよ、直ぐに救急車を呼ぶから待っててね」

「え、あ、うん……。そ、れより、大丈夫、なの??」


 何のことだろうか?


「へッ、へへへへ、ゲホッゲホッ、やったぞッ! ガキが、調子に乗るからだ!」

 

 息も絶え絶えな様子の、下っ端がナニカ、よく分からないことを言っている。大丈夫とはこいつのことを言っているのだろうか?


「大丈夫、こいつは今黙らせるから」


 他のやつと同様にこいつも意識を飛ばす。

 

「いや、そう、じゃなくて……」


 なら、なんだと言うんだ?


 しかし、先程から妙に体が重い。変に思い、体を見てみるとアカイ大きなシミが出来ていた。

 シミを確認すると同時に、焼けるような熱をシミがあった場所の下の辺りが持ち始めた。


 ……そうか、僕は撃たれたのか……。


 急に平衡感覚を失い、僕は立てなくなった。


 「り、理人ッ!? しっかりして! 直ぐに救急車を呼ぶから!」


 ハハッ、立場が逆になってしまったね。

 美夏が僕に地面を這いずって近寄り、僕を抱き起こした。


「無理はしちゃ、いけない、よ。美夏、も、撃、たれて……」

「もう、なんで、なんで……。油断なんかして……。だから理人なのよ……」


 違いない、最後の最後で取り返しのつかないことになってしまった。僕は喋るだけで一杯、美夏は可愛い顔が涙と鼻水でグチャグチャになってしまっていた。

 

 この時には僕は気づいていた。もう、僕は恐らく――助からないだろうことに。

 美夏はどうやら重要な器官がある場所からは外れていたみたいで、心配は流れ出る血のみだ。


 そろそろか、と思った時。満身創痍の神好くんが立ち上がり、僕の方へきた。


「刀谷くん、ごめん。ごめんで済むことではないことはわかっているんだけど、謝罪させて欲しい」

「神好、くん、は悪くな、いさ」

 

 この襲ってきた奴らが悪い。

 だから、僕が死んだ後も自分を責めないで欲しいものだ。


「俺が、弱くなければ……」

「ねぇ」

「ん?」

「後は、任せた、よ?」


 救急車の要請と警察への通報。僕にはどちらもできそうにない。

 これを言い終えると同時に僕に残された時間は残りわずからしく、強い眠気が僕を襲ってきた。


「……美夏」

「な、なに?」

「父さん、達によ、ろしく、言っ、といて」

「それじゃ、理人が死ぬみたいじゃない! 嘘だよね? 理人は死なないよね? 私をいつか倒してくれるんだよね?」


 痛みに慣れ、息が整ったのか、美夏の口からすらすらと言葉が出てくるようになった。


「ごめん」


 僕はただ一言、そう言った。

 

「理人! 理人!! りひ――」


 僕を呼ぶ声と、嗚咽はずっと続いた。

 

 次回の更新は2ヶ月以内、ということだけは確定しておりますが、詳しくは未定です。

 申し訳ございません、作者の力量不足です。


 作者のTwitterで投稿予定や進行状況など色々つぶやいていますので、ぜひフォローしてください。

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