始まる。
加筆修正が意外にもすんなり進んだので、更新です!
あれから3日かけて王都へと走った。3日も騎士団とともにするとだんだん騎士団の人と仲良くなり始め、2日もたてば気軽に話しかけられるようになっていた。
「はっはっはー、お嬢さん。俺の剣振るいをちゃーんとみとけよ!」
銀髪のジュークは騎士団の制服を脱ぎ薄い肌着みたいな服だけになると剣を抜き、私から少し離れて剣を振ってみせた。
「おりゃ、とうっ」と声が聞え、剣からはブンブンと空気を切るような音が耳に入る。
「まてぇぇい!コイツより私の方が美しいに決まってるわぃ!………とぅっ!」
「っいきなりなにするんだ……!」
あとから加わった緑髪のサイら剣を振るっていたジュークを邪魔しにいく。
この二人はとにかくライバル心が強く、いつも何かで決闘をしているらしい。仲がいいのはいいらしいが仲良くする仕方が変わっているそうで、周りの被害が半端ない。しかし、ここで登場するのがミーズだ。
「2人ともなにやってるんだ!」
赤髪のミーズは副団長であり、私とはダーリュの次に挨拶した人だ。副団長、ミーズが仲裁に入れば2人は簡単に剣を収める。そして何もなかったかのように2人は会話を始めだした。そんな2人にミーズは呆れ、頭を抱えながら元の場所にかえる。
……ちらっとほかの騎士団から聞いたところ、いつも優しそうなミーズだが怒らすとめっぽう恐いらしい。その怒りを受けたからこそあの二人は怒りがマックスになる前にやめるんだとか。
まぁ、それなら戦いを綺麗さっぱりやめるのが納得できる。
そんな調子で休憩を繰り返しながら馬に乗り帰り、3日目の太陽が真上に昇る頃。やっと王城が見えてきたのだった。
屋根は深青色で、どこか西洋のお城みたいだった。しかも迫力があり、太陽でとこどころが光っていた。日本の城とは違い過ぎて迫力満点だ。
「お、おぉ。」
「お嬢さん、驚くのはこれからだぜ?」
右斜め後ろにいたジュークが少し声を飛ばしてきた。するとミーズから「こらっ」とお叱りがとんだ。
「ま、アーリーは戸籍づくりだな。」
ダーリュはミーズにいくらか指示を言うと馬を他の人と違う方向に向かせた。
「騎士団と言っても3つにわかれているんだ。」
ダーリュは親切にも馬に乗ったまま、ここの世界の仕組みを教えてくれた。
まず、金騎士団。主に王族、お偉い様の警護中心とする組織であり、王城の中の警備も行っている。
そして、銅騎士団は国の情報を護る仕事をしており、それに王城の外の警備を行っている。
最後にダーリュのいる銀騎士団。銀騎士団では王都の警備、そして”雨“の対策処理だ。
彼らは一応担当分けされているが、毎日鍛練はしているし、非常事態の時は協力して行っている。
と、騎士団について教えてもらい終わると銅騎士団の本部へついた。
「あぁ!ダーリュ様、今日はどうされたのです?」
入り口から入ると綺麗な敬礼で口ひげの生えた男の人が尋ねてきた。大体40代後半のイメージだ。
「渡り人だ、戸籍を作りに。」
「ほう、初めてですね。ではこちらへどうぞ」
案内されたのは高級感あふれるソファー。フカフカで座った瞬間おしりがしずんだ。
「おっと、失礼。ここに名前を書いてください。あ、貴女の世界の文字でね。」
そう言って渡されたのは先に黒のインクをつけられた棒である。持ち手らへんには羽が付いているのでまるで昔の西洋にあるようなものだった。
「保護人、住所登録はダーリュ様の所でよろしいですかね?」
「ああ。」
名前を書き終わって私はペンを男の人に渡す。すると見たことのない文字で何かをかきはじめた。さっきの会話からダーリュの名前と住所だろう。目を凝らしてその文字を観察するもののふにゃふにゃとしていて読めない。
「はい、これで完了ですよ」
「え、もう!?」
結果として、戸籍は名前を書くだけであった。そんなんでちゃんと国が成り立つのか、と心配になっていたものの、後日談として渡り人は保護人がすべて管理するらしく軽い書類だけでいけるそうだ。
そんな戸籍も登録し終え、夕方から夜にかける頃、私の住まいとなるダーリュの家とむかった。
だが、紹介されたところは家なんかでは表しきれないほどのお屋敷だったのだ。
中に通されるとメイドさんに部屋の準備をするよう言いつけて、ダーリュはある部屋に私を導いた。
「ここって?」
見渡す限り、社長が使ってそうな部屋である。
「私の部屋だ。部屋が用意できるまでそこにかけてくれ。」
私は言われたとおりにソファーへ座る。こちらのソファーも高感たっぷりだ。
「まぁ、呼ばれるまで貴族について話そうか。」
腰にある剣を外し身軽になったダーリュは私の目の前に座る。そして、静かに口を開いた。
この国の階級は、上から王族、右院貴族、左院貴族、庶民となりたっている。
言葉の通り王族は国王様を含むご子孫などで、右院貴族とは貴族の中でも位の高い人の事をいう。
ちなみにダーリュは右院貴族である。大体持っている財産で決まって、ほとんどの貴族は左院貴族らしい。
……………なるほど。
私は今日教えてもらったこの国を頭の中でまとめていた。日本とは違うが、若干昔の西洋ぽくてまだ理解はできそうだ。
「ありがとう、ダーリュ。ちなみにダーリュの役職は?」
右院貴族ならば銀騎士団の団長だけではないだろう。というのが私の見解だった。
「ここの世界には領主がいて、全ての領地は国王なんだが広いから代理として一部の貴族が受け持っているんだ。」
すると、ドアノックが聞こえ部屋の準備が整ったことを知らせされた。ダーリュは立ち上がり、それに続き私も立ち上がった。
ダーリュは歩きながらも説明してくれる。
「そこで大きな土地を持つ領主が東西南北に現れ、4大領主と呼ばれるようになった。その西の領主が私だ。」
「え、領主!?」
まぁ…と言うとある部屋のドアを開けた。
「ここがアーリーの部屋だ。」
開かれたドアからひょっこり頭を出すと程々に飾られたシンプルな部屋だった。
「ほしい物があれば何でも言ってくれればいいし、分からないことがあればそこらへんのは人に聞くといい。」
「う、うん、ありがとう。」
「では」とすぐに去っていったダーリュをみて呆然とする。すると後ろから女の人が声をかけた。
「アーリー様、ようこそいらっしゃいました。ごゆるりとおくつろぎくださいね。」
そう言って部屋に勧めたのは明るいブラウンの髪のした女の人はシンプルなワンピース、腰にはエプロンをつけていた人だった。身長は少し私より高く、髪は後ろにまとめられている。
「…は、はい。ありがとうございます」
笑顔の女の人にお礼をいい、部屋の中へ足を入れた。
ローファーか石の床で音を鳴らす。バルコニーのついた部屋は太陽が落ちかけて部屋一面がオレンジ色に照らされていた。
白が基調とされているからか、いい色合いをだしている。
ふと視線を横にするとダブルベットサイズのベッドがあり、ベッドの縁に細かいデザインが彫られている。
それに、左側には隠れた小部屋みたいなところがあり、その入り口より少し奥には2つの扉が見受けられた。
これから始まる新しい日々。
元の世界に帰れないのはすごくすごく残念だったが、少しづつ帰る手がかりを探そうと私は心の中で決めた。
こちらに来れたのだから、前の人がただ帰らなかっただけできっと帰る手段があるに違いないのだ。
「まずは湯浴びとお食事、どちらにしましょうか?」
彼女の質問に私は笑顔で答えた。
「食事で!」
ジュークとサイ
ジューク(銀髪)とサイ(緑髪)は本編の通り、仲がいい。が、両方とも熱血過ぎてすぐに決闘が始まる。
………以前、城下町の居酒屋でお酒のの見比べが始まり、それから紙を筒状にしそれを剣と見立てて暴れる、という迷惑極まわりない行動を起こした。(罰として腕立て1000回)
ミーズ・クリスファル・トラント
銀騎士団の副団長。立派な赤毛が特徴の爽やかイケメンさんだが、怒ると怖い。とにかく怖い。めったに本気では怒らないが、一度ジュークとサイに本気で怒ったところ彼らに注意を聞かせられるようになった。