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6:大きな覚悟

真っ暗だけれど、隙間からはほんの少しだけ光と部屋の様子が見える。


「大丈夫か?」


ドアの向こうでモラノが私に聞く。


「大丈夫!見てないよ」


モラノは、それを聞くとドアから離れたところに座った。

タイミング良く、インターホンが鳴るとモラノが玄関のドアのところまで行き、鍵を開けた。






「あの話、本当なんだろうな?」


ギコ族の一人の青年が部屋に入ってくる。


「えぇ。もちろんです。ただ、貴方が他の人に話していなければ…ですけど」


「話すわけねぇだろ。こんな重要な話」


青年は、不機嫌そうに言う。

これでも、大事なお客だから敬語を、使わなければならない。


「全く……なんで、外はダメなんですか?」


「なんでって、人に聞かれたらやべえだろ?」


俺はため息を吐いた。

青年は、自分の家のようにカーペットの上に座った。


「で、本当にしてくれるんだろうな?」


「えぇ、えぇ。もちろんですよ。疑い深いですねぇ。まぁ、良いですけど」


ドンっと重々しい驚いた響く。

そこに置かれたのは黒いアタッシュケースだ。

きっとそこには、なかなかの量の金が入っている事だろう。


「ありったけの金を集めた。これで、妻を殺してくれ」


「殺人は、罪ですよっと。

じゃ、契約書に記入して下さい。裏切られた時、使えるので」


サラサラとボールペンで書く。


「ほらよ」


その紙に目を通すが、字は性格を表すと言うのか、まさにその通りだ。

とても、汚くて正直使い物にならないぐらい読めない字だった。


「はい。ありがとうございます」


「んじゃ。三日後に」


青年が背中を向けた時、ヌプリと嫌な音が響く。


「っぐぁ…!?なん…でだ!?」


「お金は返します。残念ながら…奥さんの方が手は早かったようですよ」


ゴポリと音を立てて、青年の口から血が溢れる。

あまり、汚されると床の掃除が大変だからやめてほしい。


「あの契約書も嘘ですよ」


「ゔ…ゲポっゲポ…。

っ…ぐ…ぞぅ…」


膝から崩れ落ちると絶命した。

包丁を使い、四肢を切断するがやはり人の骨は本当に硬い。

時間をかけて、体を切り離すと黒いゴミ袋に入れた。

雑巾で乾拭きをし、血を拭き取る。

壁につくことなく、床にだけ零れていたので血は水のようになっていて、本当に助かる。

血を拭き取ると、ゴミ袋の中に雑巾を入れ、ゴミ袋を玄関先に置いた。


「はぁ…」


ため息をつき、包丁を洗いクローゼットのそばに来た。

クローゼットを横に開くとガキが端っこに居た。


「おい。出てきて良いぞ」


「え?あ、うん」


返事はするものの、ガキは動く気配を見せなかった。

恐らく隙間から見ていたのだろう。

腰を抜かした様子を見て俺は、ガキの背中を左手で抑え、曲げている膝のところに右腕を入れお姫様だっこのような形にし、抱き上げた。


「うえっ!?」


カーペットの上に降ろすと、ガキは顔を真っ赤にさせた。

あぁ。知らない男にやられたら、嫌だったか…。


「あ、え?」


「いやいや、大丈夫か?」


「う…うん」


笑顔を作って見せていたが顔は、少しだけ引きつっていて手は少しだけ震えていた。


「今日の夕飯は、俺が作るよ。

何食いたい?」


えっとえっと、と言ってガキは悩んでいたがさっきよりは、顔に馴染む笑顔で


「オムライス!」


と言った。

やっぱり、子供だな。


「そうだ…。覚悟はしてると思うが…俺は殺人者だからな?」


「……うん。大丈夫。ちゃんと覚悟してるよ」


ガキの返事を聞き俺は台所に立った。

悪い事をしてしまったから、うまいもんを作らねぇとな。

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