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3:後戻りはできない

「よし…覚悟は良いな?」


「……うん!」


俺はガキに目をやると、パソコンに向かい合い、ガキの家にメールを送った。

こうなったのも、十分ぐらい前の話しだ。




ガキが、俺の目の前で顔の前に両手を合わせている。


「お願いっ!」


俺は胡座をかいて、ガキと向かい合うように座ると頭の後ろをかいた。


「いやいや。そんな事言われても…」


「簡単な事だよ?私の家族に誘拐しましたー、って電話すれば良いもん!」


「お前は俺にどんだけ、犯罪を犯させたいんだよ!」


「いひゃい!いひゃい、ひょめん!(痛い!痛い、ごめん!)」


ガキの両方の頬を両手で引っ張った。

ほどよく、伸びる。

よし、これからコレを使おう。

ガキの頬をから手を離すと、地面に手をつけた。


「だいたいなー。電話なんかしたら簡単に場所特定されんだろ」


「へ?そうなの?」


涙目で頬をさすっていたが、俺の言葉に手が止まった。

俺の両肩に両手を乗せて、顔を近づけると焦ったような顔をした。


「ど、どどどどどどうするの!?そしたら、私どうすれば!?」


「うん、教えるから一回離れてくれねぇか。

近い」


「あ、ゴメン」


離れると、自分のやったことが恥ずかしかったのか頬を少しだけ赤らめている。


「パソコンの遠隔操作って知ってるか?」


「遠隔操作?…あぁ。他人のパソコンをいじれるやつでしょ?」


「そうだ。それを使えばなんとかなるなだろ…」


「ど、どうやってやるの?」


俺はパソコンの置いてある机に向かい椅子に座った。

ガキもちょこちょこと後ろに回った。


「最近ではソフトとか、いろいろあんだよ」


「え?でも、ソフトだと知り合いぐらいしか無理じゃない?」


「大丈夫だって。友達にそれやるから」


「サイテー」


ガキの目線が冷たいものになったが、特に気にすることなくソフトをいれ、遠隔操作をするパソコンを選んだ。


「文面何が良いか?」


「んー。任せる。でも見せてね」


「はいはい」




上島(かみじま) 江古(えご)様へ


いきなりですが、本題に入らせていただきます。

めんどくさい前振りは、苦手なのです。

本題ですが、娘さんを預かりました。

いえ、特に要求とかはございません。

ただ、大企業の社長様方をちょっと困らせたいなと言うイタズラ心から誘拐させていただきました。

あぁ、要求は無いですが…ちょっとばかしゲームをしましょうか。

娘さんを一週間以内に助けられなかったら殺す、という事で。

返信はしても無駄ですから、しない方が良いと思われます』




「え、私殺されんの?」


「そっちの方が手っ取りばやいだろ」


任せると言ったわりには後ろからちょいちょい口出しをするから、いろいろ変えて時間がかかってしまった。


「よし…覚悟は良いな?」


「……うん!」


そうして、現在に至る。

カチリとボタンを押すとメールが送信された。

ソフトを消し、パソコンの電源を消すと椅子の背もたれにもたれかかる。


「……疲れた」


「殺人に誘拐、脅迫メールらしきもの。あっはははは!

ヤバいね!捕まったら本当にヤバい!」


ガキは楽しそうに笑っている。

非日常が面白いのかしらねぇが、コッチはガキのお守りもしなきゃだから、大変なんだよ…。


「家から出る時は厳重に顔を隠せよ。あと、俺が居ない時はインターホンなってもでるなよ」


「はーい!」


元気に手を挙げて返事をした。


「大人になるまでなら、ココにいさせてやるが、成人越えたらどっか別の場所行って一人暮らししろよ?」


「え?なんで?」


「…なんでって…。大人になって、付き合ってもない男と一緒にいるのは嫌だろ」


ガキは頭に手を乗せ考える仕草をした。


「そうなの…かな?」


「そうなるもんだよ。あ、あと今日の夕飯よろしくな」


「うぇ…。昨日も作ったよ?」


「お前の仕事なんだよ」


ガキはしぶしぶと、台所に向かった。

携帯が静かに震えた。

画面を見るとメールが一通きていたが、見ることなく画面をとじる。

内容は見なくとも予想がつきそうだからな。

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