表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

6話

「ん……」

 昨夜早く寝すぎたのか、真っ暗な時間に目が覚めてしまった。部屋を見回すと、時計が2:57と表示しているのが見える。

 蘭奈はちゃんとゆりをギュってしてくれてて、ぐっすり眠ってるみたい。

「ひま……」

 眠気はすっかり無くなって二度寝するのもな〜って感じです。本、読むかなって思うけどよく考えると動けないし。まあ、ベッドの方には繋がれなくなったから、その分楽なんだけど。

 蘭奈を起こすわけにも…………


「ちゅー……」

 したいな。

 うう。このままじゃ届かない……。

「んーっ」

 本人が気付いていないにしても、何だか緊張しちゃう。

 ……綺麗だな。蘭奈の髪。サラサラしてる。肌もすべすべ……食べちゃいたいくらい。柔らかい唇を指でなぞる。

「らな……」

 今のゆり、変かも。

 蘭奈、可愛い。触れたい。


 我慢なんて出来ず、唇を奪う。

 同時に、自分の中で、何かが外れた音がした。何度も何度も、繰り返し蘭奈の唇を奪う。

「んー……ひ、ゆり?」

「らなっ…らなぁ……」

 薄く目を開ける蘭奈に覆い被さる。

 蘭奈……どうしてこんなに柔らかいの? どうして蘭奈とのキスってこんなに甘いのかな。止められない……。

「はあっ、はぁ、はぁ……」

 息が上がる。

「……っ、ひゆり、ずいぶん甘えん坊さんなのね…」

「らなぁ〜っ♡」

 ゆり、どうしちゃったのかな?

 何だか、変な気分だよ?

「眠れなくなっちゃった?」

「うん……」

 ギュッと抱きつくと、頭をナデナデしてくれた。

「えへへ♪」

 何でかな。今すっごく甘えたいの!

「じゃあ、久しぶりに絵本でも読んであげようか?」

 蘭奈がベッドの傍に置いてある読書灯を点けながら言う。

「むぅ。ゆり、もう高校生だよ?」

 確かに小学校の頃まで読んでもらってたけど。

「まだとってあるのよ。ちょっと待っててね」

 まだ読んで欲しいなんて言ってないのに。

 ベッドから離れた蘭奈は、部屋を出ようとする。

「あぅ!」

 ダメだよ、ゆり、一人はやなんだよ。

「ゆりも行く」

「はいはい」

 手を繋いで絵本の元へレッツゴー、なのです。暗いな。いっつもこんな時間に起きること無いから不安なの。蘭奈がいるから大丈夫だよね!

「蘭奈、これ重い……」

「……そう」

 どこからともなく取り出された小さな鍵で、腕が自由になった。

 腕を絡ませる。

「〜♪」

「機嫌が良いのね?」

「うん!」

 辿り着いたお部屋に入るとたくさんの本棚。蘭奈はいっぱい本を読むから。難しそうな小説も、漫画も絵本もたーっくさん!

「えーっと、これ」

「懐かしい!!」

 これ、大好きだった絵本!

 お魚さんが海の中で大冒険するの! カニさんとか、タコさんとか、クジラさんにも出会うんだよね。

「見るの、小学校の頃以来だわ」

「読んで!」

「これもどう?」

 蘭奈は同じ本棚から何冊か見覚えのある絵本を手にする。

「うん!!」

「部屋に戻りましょ」

「はぁ〜い!」


 ◆ ◆ ◆ ◆


「あら」

 隣を見るとすぅすぅと気持ち良さそうに眠っている妃結梨が。

 ついさっきまで目を輝かせていたのに、1冊も読み終わらないうちに寝ちゃった。妃結梨らしいわ。

「おやすみ」

 額にキスをする。それから彼女の柔らかい身体をギュッと抱きしめた。どこにも行かないように。朝起きて、もし一人だったら……。それを考えて怖いと思うのは妃結梨も私も同じ。だから。



「ずっと一緒にいようね、妃結梨……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ