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2話

 手首に冷たいものを感じ、目を覚ました。ふかふかのベッドの上に拘束されているらしい。手首には手錠、それが更にベッドの柱に繋がっている。これ、おもちゃかな? ……そういう風にも見えないんだよね。こんなのどこに売ってるのかな。せめて体を起こそうと思ったけど、足も同じように足枷? のせいで動けない状態だ。

 誰がやったかなんてもちろん分かってる。でも、本人はこの部屋にいない。どうして、かな……。

 怖いというよりも、寂しくて仕方なかった。彼がいない今、ゆりが甘えられるのはあの人だけ。

 彼女は一人暮らしをしていた。お金持ちの家に生まれたので、一人暮らしには十分過ぎる大きな家に住んでいる。広い部屋に独り。寂しかった。

 涙がボロボロと頬を伝う。拭うことも出来ないで、しばらく泣いたままだった。

「……っ! ら、なぁ……らな〜…………うっ……寂しいよぉ…!!」

 一人だなんていつ振りなんだろう。ずっと誰かと一緒にいた。いつも、誰かと一緒にいるから、昔から少しでも一人になると不安だった。怖かった。

 今なんて、特に………!

「うぅ…………」

 その時、ドアの開く音がした。

 動けないせいで、その様子すら見ることが出来ない。

「あ、目覚ましたんだね。妃結梨?」

 やっと、ホッとした。でも、蘭奈。知ってるはずなのに。ゆり、一人にされた……。

「ばかぁ! らな、一人にしないでよぅ!! ふぇええぇ〜ん!」

「妃結梨?! あっ、ご、ごめんね? 夜ご飯、作ってたから……」

「動けないし……っ」

「だって、逃げられたら困るもの」

「なんでゆりが蘭奈から逃げるの!! あの人が、いないから……蘭奈しか、いないのに」

 カタンと音がした。多分、さっき言ってた夜ご飯……を、テーブルか何かに置いたんだと思う。

 ベッドに乗ってきた。やっと蘭奈の顔が見える。今度は安堵の涙が溢れた。それを優しい香りのするハンカチで、拭ってくれた。


「ギュー、して?」

「もちろんよ」


 ふわりと微笑みを浮かべた蘭奈は、その言葉通り抱きしめてくれた。

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