11話
短いです
鳩尾を入れられたそこが鈍く痛む。
「ははっ……」
自業自得だろう。俺の方から、捨てたも同然に別れたのだから。
あの日、あの時に苦しそうに歪んだ彼女の顔を見てから。既に後悔が始まっていた。俺自身、いつも彼女の笑顔に癒されていたのにーー。そもそも何で別れようと思ったんだか。もう思い出せなくなっていた。まだ数日しか経っていないのが驚きだ。間違いないのは、今どう動こうが後悔の念に駆られようが、時すでに遅しということだ。
◆ ◆ ◆ ◆
あいつらと仲が良いことは知ってた。殴られるくらいされるのは分かってた。あの教室に行くのは避けるべきだってことも。
でも、どうしても噂を聞き流すことが出来なかった。幼馴染みであるという、あいつと付き合い始めたと。それから今朝教室で…………。火のないところに煙は立たない。確かめたかった。
つい数日前まで、妃結梨は俺と一緒にいたんだ。それなのにもう……? 俺が1番じゃなかったのか? 彼女は嘘が下手だった。俺の誕生日の日。自分じゃすっかり忘れてた。彼女の挙動不振ぶりを見て思い出したくらいだ。バレンタインの時にも、何やら顔を赤らめてもじもじしている様子にこっちがやきもきしていた。隠し事が出来るような子じゃない。だからあの笑顔が嘘であるはずがない。じゃあ、本当に……?
教室に行くと2人が噂通りキスしているのを見た。乾いた笑いが込み上げた。離れていた数日の間に新しい恋人が出来たどころか、キス、だと? ははは。……ふざけんな。まだ忘れてないはずだ。妃結梨。戻って来い。俺のところに。俺の彼女に、なってくれ。また、あの笑顔で接してくれ。
「あら。妃結梨ちゃんを泣かせた張本人が来るなんて。戻りたいとか、都合の良いこと考えているわけでは無いですよね?」
そして、木野と鹿目に会ったんだ。木野から鳩尾を一発。あいつを見れたんだから用は済んだ。もうここは離れよう。
そして今に至る。
「どうやったら、戻ってくる?」
俺が動かなければ。あいつに隠れてたせいで、表情は見えなかった。でも肩に回された腕を見る限り妃結梨は同意しているし、噂も本当なんだろう。周りの奴らは絶対に俺と戻るなんて許さない。これからは近付けることもさせないだろうな。本人が望めば良いんだ。そうすれば、また笑い合える。俺と一緒にいた日々を忘れているはずがない。また戻れるはずだ。
どうにか……どうにかしてやる!
ヘタレ野郎め……( ゜д゜)




