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10話

間めっちゃ空いてしまいました!(>_<)

 そんなこんなで、ゆりと蘭奈のことはすぐに学年……に、とどまらず学校全体に知られたようなのです。噂って怖いよね。こういう時にすごく思うよ。お昼休み、野次馬が廊下に集まるほどなのです。

「視線が痛い……」

 いつも通り、机をひっつけて4人でお昼ご飯。立夏ちゃんと春華ちゃんの2人は購買で何か買ってくるらしい。だから蘭奈と一緒に戻ってくるのを待ってる。ゆりがいるのは何故か蘭奈のお膝の上。後ろからギューってされてるの。もう。ゆりはお人形さんじゃないんだよ? まあ、嫌じゃないから別にいいけどさ。

「いいじゃない。そのためにキスしたんだから。なんならまたする?」

 蘭奈、吹っ切れちゃったみたい。お家でしてたことも平気でするの。ゆりは恥ずかしくてたまんないのに! でも既に諦めかけてる。こういう時の蘭奈は全然話聞いてくれないんだもん。

「ちゅー……あっ。立夏ちゃんたちが、帰ってく……」

 言い終わらないうちにゆりに覆い被さる。また止まらなくなるんじゃ……。でも今回は杞憂に終わりました。突然止んだので不思議に思って見上げると、蘭奈はゆりの後ろ……人が群れている方を睨んでた。

「あっ」

 蘭奈が睨んでたのはあの人。なんで。用なんて無いはずなのに。もう、来ないでよ。ゆりに気付いて口を開きかけているあの人。重たい空気が流れ始めた時。

「たっだいま〜! 悪いな、遅くなった」

「2人とも待ってくれたんだ〜、ごめんねー!」

 立夏ちゃんと春華ちゃんの2人が戻って来てくれた! 入り口までお迎えです。

「おかえりー! ゆりお腹空いた! 早く食べよ?」

 蘭奈は相変わらず不機嫌な様子。ゆりには蘭奈がいるの。蘭奈の手を握ると、ゆりが握っている以上の強い力でぎゅっと握られた。

「もうゆり、忘れたよ? ゆりには蘭奈だけだよ?」

「もちろんよ。そうでなくちゃ。でも許せないわ。立夏、加減なんてしなくていいのよ」

 加減? って、なんのこと??

「そうか? まあ気絶でもされると騒ぎになりそうだしな……」

 気絶? あの人にもう一度目を戻すと、お腹の辺りを押さえて苦しそうに呻いてた。

「鳩尾だけにとどめておいた。あぁ、あと春華が耳元で何か脅してたけど」

 蘭奈もいろいろ習い事とかしてたから強いけど、立夏ちゃんも確か空手部で大きな大会に出場するくらい強いんだよね……。春華ちゃんは絶対に怒らせちゃいけない。怖いから。普段優しい人が怒ると怖いのは本当のことなのですよ。春華ちゃんを通して知ったの。

「ねえ、蘭奈」

「なに?」

「今日は、あーんして?」

「もちろん」

 笑顔で再び抱き寄せられて、お膝の上に戻される。蘭奈はゆりのこといっぱいいっぱい甘えさせてくれるから、こういう時はもっと甘えちゃう。心地良いから。

「あーん」

「あーんっ」

 もぐもぐもぐ。

「むふっ♪」

 蘭奈のお料理はいつも美味しいのです!

「作りがいがあるわね〜」

「私たちにも作ってくれよ〜。毎日購買なんだよなー」

「良いわよ」

 良いんだ。即答だね。

「多分これから協力が必要だし」

 協力? なんで?? でも確かに、いつも2人にはお世話になってるよね。ゆりも何かしたいな〜。

「あたしたちがいなくても蘭奈なら大丈夫だろ」

「あら。でも貴方たちを頼りにしてるのよ?」

「それは光栄ねぇ〜! 大切なお友達だもの。もちろん協力するわよ〜」

 なんの話してるのかはよく分かんないけど、お弁当美味しいし、蘭奈があーんしてくれるから嬉しいのです。

 ゆりがもぐもぐしてる間に蘭奈も食べてます。かしわご飯なんて朝パッて作れるものなのかな?

「こら妃結梨。口についてる」

 言われて取ろうとした腕を制され、代わりに柔らかい唇が触れた。

「居心地悪いな……」

「あらそう? いいじゃない。仲良くて」

「まあなー」

 目の前でそんな会話をしてる2人に気付きつつ、ゆりは蘭奈にキスする。驚いた顔をした蘭奈が次いでニコッと笑った。

「妃結梨……なんでそんなに可愛いの」

「えっ?」

「まだ食べられたい?」

「うー?」

 ……なんか、恥ずかしくなってきた。むぅ。

 抱きついて顔を隠しますです。なでなでしてくれます。なでなでされるの大好きなのですごく嬉しいの♪

「……そ、そういえばさっきから何か静かだね」

「そりゃあ2人をみんなが観察してるから」

 えっ? 何で観察なんか……。確かにみんなこっちを見てるようですが。蘭奈が盾になってて全然見えませんでした。


「こんなに可愛い妃結梨、自慢もしたいけど、やっぱり誰の目にも触れさせたくないわ」


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