1話
最初ってどうしても短くなっちゃうんですよねw 多分これからだんだん長くなったりしていくと思われます( ̄▽ ̄)
ゆりは、泣きじゃくった。
幼馴染を前にして。溢れる思いを上手く言葉にすることが出来ないけど、それでも誰かに聞いて欲しい、ただその一心だった。
「なんで……っ! ……ひっく……おもちゃ、ただの……? ゆり……」
ギュッと抱きしめながら頭を撫でてくれた。
「よしよし……ねえ、別にこれで人生が終わるわけじゃないんだからさ、」
「終わり、だもん……」
こんな見た目で、こんな性格で。頭も良くないし、運動もダメ。こんなだし、好きになってくれる人、いない。あの人だけだ。あの人以外にはいない。誰も……そう思ってた。でも、ずっと信じてたあの人も、そうではなかった。最初から本気じゃなかった、と。そう言って彼はゆりを捨てた。ゆりは、ただのおもちゃだったんだ。あんなに笑って、本気で怒って、泣いて、悩んで……。全部が全部、無駄だった。
ゆりに恋愛なんて、やっぱり無理だったんだ。
「ねえ、妃結梨。もしかして恋愛なんてもうしないって……出来ないって、思ってる?」
ずっと一緒にいたからだろうな。それに、元から勘がいいから。蘭奈。
「だって……」
「あたしじゃ……ダメ?」
「え?」
「あたしは、妃結梨のこと、ずっと好きだったんだよ。恋愛的な意味で」
蘭奈……何言ってるの? 言ってる意味わかんない…………
「同性で恋愛って、気持ち悪い? あたしじゃ、嫌?」
「え、蘭奈? そんな、気持ち悪いなんて……でも、どういう……」
「そっか。思ってないなら良かった。じゃあ、あたしと一緒にいよう? あたしは、絶対妃結梨から離れて行ったりしないよ? ずーっと、一緒だよ?」
指を絡ませてくる蘭奈。まだゆりにはよく理解が出来ないんだけど、何だか……危ない、気がする。
「ねえ、いいでしょ? あんなことされて、もう男は嫌になったでしょ? あたしが、いいでしょ……?」
「ら、な……? ちょっと、」
「帰ろ? あたしの家に。ね? ずっと、一緒にいよう?」
目が、本気だった。ちょっと、待ってよ……。頭が全然追いつかない。動揺しているゆりに、蘭奈は…………
「んっ」
……………………。
キスを、した。
余計に混乱した私は、呆然とするしかなかった。
「ずっと、想ってたんだよ、あたし……ふふっ♡ 妃結梨のファーストキス、奪っちゃった♪」
蘭奈は、無邪気に、愉快そうに笑った。
ファーストキス、か。そうだ。確かに今のは……。思えば彼とは、手をつなぐ以上は進まないまま、デートを繰り返しただけだった。だから。
「そ、だね…………。でも、ちょっと待っ」
「待たない。もう、待てない。行こ? あたしの家。2人っきりだから……」
その瞬間、ゆりの体は倒れていった。何が起こったのか全くわからない。ただ、意識を手放す直前、ぼそりと蘭奈の声が聞こえた。
「もう、貴女はあたしのものよ……」