表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『AIが管理する理想のVR世界でミュートされたらどうなるか』~幸福な王子編~  作者: バニラ味一択


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/39

第37話:心の決断




 ドカァァァァァァァンッ!!


 地上では、死闘が限界を迎えようとしていた。


「チッ……、取り込んだモモの権能を修復システムに直結してるな。爆破しても元に戻りやがる。ジュエル!残りの酸素は!」


『マスター、酸素残量30秒。……爆発の反動による回避も、次が最後です!』


 無敵モードの輝きが薄れ、マスターは背後に迫る『鉛天太子』の巨大な拳を紙一重で爆破回避する。

 耐火スーツの酸素残量がなくなり、ジュエルは、マスターから分離して自身の身体を形成すると同時に、余剰液体金属から大槍を生成して、鉛天太子へめがけ高速で投擲した。

 大槍は巨像の胸部に直撃し、身体を構成する瓦礫を広範囲に粉砕するが、やはり、モモの『癒し』の権能が、新たな瓦礫を繋ぎ合わせ、元通りに修復してしまう。


「……最悪だな。……時間切れ(ゲームオーバー)かよ」


 マスターが毒づいた、その瞬間だった。

 地響きを立てて迫っていた巨像の動きが、糸が切れた人形のようにピタリと止まった。


「……ふぅ、止まったか。ルナめ、危うくこの歓楽街に永住するところだったじゃないか」


「お疲れさまでした、マスター。……本当に残念です。あと三十秒あれば、あなたの大好きなこの地で、一緒の墓に入れるチャンスでしたのに」


「……もしかして、まだ怒ってる? 僕が遊びまくってたこと」


「……フフ、どうでしょう」




◇◇◇




 一方、地下のシステムコア前。

 襲いかかっていたクローンたちが、粒子となって霧散していく。


「……消えた? ……助かったぜ」


 サブがその場に大の字になって倒れる。


 傍らにいる蓮司も、肩で息をしながら両腕の黒い破門のエネルギーを解いた。


「終わったのね……ワク、エマ……!」


 ルビーは祈るように、今もなお光の線を支え、絶叫に近い喘ぎを漏らすルナの背中を見つめた。







 深層世界――。

 鉛色の心臓が、その脈動を静寂へと変えていた。モモが心臓の声を聞き取り、驚きに目を見開いた後、ワクへと向き直る。


「……心臓が言ってるわ。自分が間違っていた、君たちの言う通りだって。……その刃物で刺せば、一体化した住人たちの縁は分断され、みんな元に戻ると言ってる……。……でも、そうしたらこの子(心臓)は……。……償いとして、最後に過ちを正そうとしているのね」


 ワクは、『魂の留置』により繋がれたパスを意識し、地上において、身を削ってそれを支えている少女へと問いかける。


「……ルナ。……俺たちの想い、感じられるか?」


 モモは困惑する。


「あなたたち、一体何を……」


 隣でエマが、慈愛に満ちた表情で心臓を見つめる。


「大丈夫。安心してください。ルナ様なら、きっとやってくれます」







 ――地下、光の奔流の中で。

 鼻血を流し、全身の血管が浮き出るほどの負荷に耐えながら、ルナは力強く笑った。


「……私に、任せなさいッ!! ……やって……やるわよ!!」







 その言葉が、光の線を伝って深層のワクに届く。ワクは確信を持って、手にした『絶縁』を逆手に構えた。


「……流石、俺の相棒」


 ザシュッ!!


 ワクが渾身の力で突き立てた『絶縁』は、迷いを断ち切る一閃となり、巨大な鉛の心臓を真っ二つに叩き割った。


 まばゆい光が溢れ出し、すべてが飲み込まれていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ