表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CODE: SILVER -世界を解く瞳-  作者: GODS04


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/6

第3章:フレームの向こう側

第3章【前書き】

父、母と続き、今回の犠牲者(?)は兄のしゅう

時は2030年、佳乃は8歳、柊は15歳になっています。


FPS界の「絶対王者」と呼ばれた兄が、妹の「異能」の前に敗北する瞬間。

ゲーマーなら誰もが戦慄する、最強の幼女爆誕の回です。


◆ 2030年・15歳の絶対王者


「……よし、そこだ。もらった!」


日曜日の午後。リビングには重低音の銃声と、キーボードを叩く激しい音が響いていた。


兄・柊(15歳)は、7つのモニターに囲まれていた。

彼は今、世界的に流行しているFPS(一人称視点シューティング)ゲーム『バレット・ワルツ』の、国内大会決勝戦を戦っていた。

対戦相手は、プロチームのトップランカーたち。


「うおおお! 柊くん、まさかの3人抜き! 反応速度が人間じゃねえ!」


実況の声がヘッドセットから漏れる。

柊の操作は神がかっていた。

敵が飛び出してくる0.1秒前に照準を合わせ、正確無比なヘッドショットを決める。

彼は「天才ゲーマー」として、すでに業界でその名を轟かせていた。


「……あと一人。これで優勝だ。」


柊の額に汗が滲む。

残る敵は、世界ランク1位のスナイパー『NO_FACE』。

遮蔽物の多い廃墟マップでの1対1。緊張が走る。


◆ 8歳の観戦者


「……お兄ちゃん、右。」


ソファでポテトチップスを食べていた佳乃(8歳)が、退屈そうに呟いた。


「え?」


柊が一瞬反応した直後、右の壁から弾丸が飛んできた。

間一髪で回避する。


「……マジか。ありがとう佳乃。お前、勘がいいな。」


柊は体勢を立て直すが、敵の位置が掴めない。

相手は「ステルス迷彩」のスキルを使っており、視覚的には完全に透明化していた。

音と、わずかな空間の歪みだけで居場所を特定しなければならない、超高難度の局面。


「……どこだ。足音もしない……」


柊は神経を研ぎ澄ませる。

プロである彼でさえ、相手の気配を完全にロストしていた。

このままでは、時間切れか、不意打ちで負ける。


しかし、佳乃には見えていた。

彼女の碧眼には、煌びやかなグラフィックではなく、その裏にある「ワイヤーフレーム」と「データ通信のラグ」が映っていた。


(……そこ。サーバーの座標データ、バグってる。)


佳乃はポテチの袋を置くと、スッと柊の膝元に近づいた。


「……貸して。」


「えっ、おい佳乃! 今は大会中だって――」


佳乃は柊の手からコントローラーを奪い取ると、画面も見ずに操作を始めた。


◆ 0フレームの狙撃


佳乃の操作は、常軌を逸していた。


彼女は敵を探してカメラを動かすことをしなかった。

いきなりキャラクターを真上――何もない空へ向けてジャンプさせ、空中で180度回転。

そして、誰もいないはずのコンクリートの壁に向かって、スナイパーライフルを一発だけ撃った。


『ズドン!!』


銃声が轟く。

柊が「あちゃー、暴発か」と思った瞬間。


画面に《VICTORY》の文字が躍った。


「…………は?」


柊が固まる。

実況アナウンサーが絶叫する。


「な、なんとぉぉぉ! 壁抜きヘッドショットぉぉ!?

見えない敵を!? しかも遮蔽物越しに!?

これは奇跡か!? それともチートかぁぁぁ!!」


リプレイ映像が流れる。

佳乃が撃った弾丸は、壁のわずかな隙間(ポリゴンの継ぎ目)を貫通し、その裏で隠れていた透明な敵の頭を正確に撃ち抜いていた。


「……嘘だろ。見えてたのか?」


柊が震える声で尋ねる。

佳乃はコントローラーを返しながら、淡々と言った。


「見えてないよ。」


「だよな! じゃあなんで……」


「計算したの。

今のサーバーの遅延値と、相手の通信パケットの揺らぎから、座標を逆算しただけ。

……あそこの壁、プログラムの継ぎ目が0.01ミリ開いてるから、そこを通した。」


「…………。」


柊は口を開けたまま、妹を見下ろした。

自分は「反射神経」と「経験」で戦っている。

だが、この妹は「物理法則ゲームのルール」そのものを支配して戦っている。


勝てるわけがない。


◆ 最強の妹


「……ははっ。」


柊は乾いた笑い声を上げ、佳乃の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。


「お前には敵わねえよ、佳乃。

俺が『eスポーツの王子様』なら、お前は『デジタルの魔女』だな。」


「……魔女はいや。魔法少女がいい。」


「生意気言うな。……でも、ありがとうな。賞金の焼肉、特上にしてやるよ。」


「ん。タン塩追加で。」


佳乃はまたポテトチップスの袋に手を伸ばした。

世界ランク1位を倒した興奮など微塵もない。彼女にとっては、ただの「計算間違いの修正」に過ぎなかったのだ。


モニターの向こうでは、世界中のゲーマーたちが「今のショットは何だ!?」と騒然としている。

しかし、その正体が日本のリビングでくつろぐ8歳の少女であることを、まだ誰も知らない。


春雄と蓮に続き、兄・柊もまた、この日「敗北」を知った。

けれど、その顔はどこか誇らしげだった。


(俺の妹は、世界一だ。)


第3章・完


第3章【あと書き】

お読みいただきありがとうございます!


パケットの揺らぎから座標を逆算して壁抜きする8歳児……。

FPSプレイヤーからしたら、一番敵に回したくないタイプですね(笑)。


兄の柊くんも相当な実力者ですが、佳乃の見てる世界が違いすぎました。

でも、そんな妹を「すげぇ」と認められる柊くんも、やっぱりいいお兄ちゃんです。


もし「面白かった」「兄妹の絆がいい!」と思っていただけましたら、ブックマークや評価、いいね!をいただけると執筆の励みになります。

本編『ECHO』の方も、引き続きよろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ