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微睡みの上に花は咲く~大規模異世界転移、掲示板つき~  作者: 初鹿余フツカ


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30/54

30.エリークへの指名依頼

「少なくとも魔法鞄がないと、魔術ロウは難しいだろ。素材が持ち帰れん」

「魔法鞄持ってて燻ってるやつなんかいくらでもいるんじゃない? 銅上級」

「まあなあ。来訪者ビジター連中も魔術ロウはからっきしだしなあ」

「ビジター?」


 聞きなれぬ単語に突っ込めば、どうやら転移者のことらしい。


「ある日突然、成人で現れたと聞くが、真相は定かじゃない。やたらと魔力の高いものが多かったそうだが」

「三年経った今となってはもう馴染んでしまって、本人がそうと名乗らない限りは見分けもつかなくなっているよ」


 そうなんだ。

 転移者もいろいろあったみたいだけど、もうずいぶん馴染んできているんだな。


 ギルマスがビジターと呼んでるのは、この迷宮都市に現れて冒険者籍を作り定住してる転移者で、五人いるらしい。最初はつるんでいたが、今ではそれぞれに別れてパーティーを組んでいるのだという。

 仲間が出来るのはよきかな。

 近づくことはないだろうけど、同郷として、健やかに長生きしてくれるとなんとなく嬉しい。あと掲示板にいろいろ書き込んでくれると俺が楽しい。



 昼に屋台飯で馬肉を焼いてもらい、赤身のステーキを満喫した。塩と香辛料のみで焼かれたお肉は、ぎっしり肉厚で肉の旨味を感じる、いいお肉だった。おいしかった! 肉食べた、というたしかな満足感。


「久しぶりに食べたけど、ケルピーも美味いな」

「ん!」


 エリークのもらってきた地走りの肉は今度焼いてもらうことにしたので、楽しみだ。リザードのステーキ、どんな味なんだろう。串焼きとはまた違うんだろうな。


 今回は解体所が混んでたり、調査が必要だったりして、俺の素材はまだ届いていない。エリークは素材をもらっていたが、後でいいというので魔術触媒カタリス屋は後回し。


 気になっていたキャンプ用品を買いに連れていってもらい、エリークとあーだこーだと話しながらいろいろ選んだ。


「俺は宝迷宮で煮炊きしようと思ったことがないけど、君は安寧の間がわかるからね。必要と感じるのもわかるよ」

「安寧の間、ないと大変。ひとりだともっと。どうしてる?」

「『闇形テネブラエ』の魔術ロウを使ってるね」

「知らない」


 『闇形』は、暗闇を固めたような人形を作る魔術ロウだそうだ。何も考えていないとヒト型で出てくるが、形を変えることも可能だという。

 籠めた魔力と消費した魔術触媒カタリスに応じた性能になり、身代わりや見張り代わりになるんだって。


「俺は輪をつくって周囲を覆わせて、その中で寝たりしている」

「賢い」


 警報システムだな。そういう手もあるのか。


闇骨コカロ?」

「いや、自分の髪の毛を魔術触媒カタリスにするんだ」

「へえ!」


 そこで使うのか、髪の毛魔術触媒カタリス。たくさんあるし、今度宝迷宮で試してみようっと。




 宝迷宮で一週間過ごしたんだから三日は休みなさい、とエリークに厳命され、なんだかんだとのんびり過ごした。

 朝寝を満喫したり、リザードのステーキを食べたり(美味かった)、エリークに連れていってもらって街を探索したり、屋台飯を思う存分楽しんだり、風呂に入りに『蓮の夢』へ行ったりした。

 エリークは笑っていたが、だって『蓮の夢』、一泊銀貨三枚なんだよ。『浄化』より全然安いのだ。街にいる間は入りにいかないわけにはいかないだろう。

 俺が拙い語彙で力説するのをエリークは笑いながら聞いてくれて、ついでに付き添ってくれる。いい人だ。


「俺も綺麗好きな方だと思ってたけど、上には上がいるもんだなって」

「清潔大事!」


 エリークも風呂が入れる高級宿とか知ってる分、たしかに元々綺麗好きではあったのだろう。ただ頻度が俺より少なかっただけで。



 休暇を満喫して、今日は一緒に40層に挑もうかと話をしていた。40階層は普通の洞窟地形だったらしい。それなら俺も慣れているし、魔物はエリークが苦戦するほどではなかったというので、安全な道程だろう。

 ところが、朝早くに花の春風亭へギルドから伝令が来た。


「指名依頼?」


 銅級以上には、冒険者を指名して依頼できるという機能がある。主に貴族から発せられる依頼で、一応拒否権はあるというが、基本的には強制依頼だ。

 エリークは苦虫を噛み潰したような顔で首を振った。


「とりあえず俺は依頼人に会ってくる。40層へは一緒に行こう。今日のところは、宿で待つか、20層以下に行ってくれると俺が助かる」

「んー、ジャカロプ狩りする」

「ああ、そうしてくれ」


 光膚デルマが心許ないので、ジャカロプを狩ろうと思っていたところだ。新しいジャカロプは前の守護者と同じく、毛が魔術触媒カタリスになるとわかったところだった。

 バイコーンを『聖火』で燃やすのも考えてみたが、いろいろもったいないしな。


 ギルドへ向かうエリークを見送って、俺は宝迷宮へ向かった。せっかくエリークと攻略できると思ったのに、残念だ。




 宝迷宮へついた。

 1層は地図が出揃ってきたとかで、最短距離がわかってきたらしい。その道は混んでいるが、他の道はあまり人がいない。人がいない道を小走りに行く方が結果的に早かった。なにせまだまだ混んでるからな。

 11層からがワーウルフ、21層からが沼地になったもんで、そのふたつを嫌った冒険者が結果的に1層からの道へ集中しているのだそうだ。30層以降となると、銅下級以下は行けないし。


 5層まで来たけど、まだ人が多い。

 7層まで来ると、ようやく人が減ってきた。魔物が出る階層になることで、まだ地図が追いついていないのだろう。やっとゆっくり出来る。


 魔導具マギ・ロウの『槍』と『盾』を使ってジャカロプを倒しては解体する。ジャカロプはともかく、カウディアーは今回はなるべく避けていくことにした。光膚デルマの素材を多く持ち帰りたい。

 『刃』の魔導具マギ・ロウで角を根本から切断する。やはり便利。以前持ち込んだ分にあったようで、三日の休みのうちに入手できたのだ。片手に指輪複数持ちは、思ったよりややこしくなかった。

 『槍』は人差し指で指差すように使い、『刃』は中指に意識を集中する、と着けている指を意識するのがコツらしい。エリークに教わった。今のところ、間違いはない。


 魔法鞄がふたつ、ジャカロプで満杯になった。

 カウディアーを避けた分、思ったより時間がかかってしまった。掲示板を見るともう夕方を大幅に過ぎている。今日のところは10層の安寧の間で一泊することにして、明日の朝、帰ることにした。


 やはり宝迷宮で寝る睡眠は浅い。夜中近くに起きてしまったので、もうこのまま守護者の間へ行くことに。

 真夜中だからか、守護者に挑んでる人もおらず、すぐにバイコーンと戦うことが出来た。

 特筆すべきことはなにもなく、あっさり倒して解体。魔法鞄がパンパンになるまで詰め込む。うーん、入りきらない。


 さっさと大箱産の携帯食糧を売ってしまうべきなのだが、なかなかお話が来ないんだよな。

 守護者の間では必ず宝物テサウルスが出る。今回も小型箱。しまって、転移陣を踏む。



※ ※ ※



【商人立身出世物語!】


135 成り上がる商人

 みんなお待たせ、俺やで!


 前回は石鹸と精油で一儲けしたところまで書いたな。

 それから蒸留器だ。

 蒸留器といったら……、そう、蒸留酒だ! ウイスキーだ! スピリッツだ!

 この世界にドワーフはいないけど、やはりオジサン連中はどいつも酒に弱い。目の色変えて引っ掛かってくれて、思った以上にちょろかったぜ。

 それにこいつはすぐにはものにはならんけど、木酢液からのメタノールの用途が予想以上に多くて、化けたで。


136 名無しの転移者さん

 ンアーッ! 蒸留酒……それェ!


137 名無しの転移者さん

 三ヶ月ぶりに喉の小骨が取れた気分だよ。

 遅ぇのよオッサン


142 名無しの転移者さん

 てかもしかしなくても相当前の話、してるよな?

 蒸留器はうちの工房にも回ってきて今、量産してるところだよ。

 うちの村、イモしか採れないから村長が張り切ってるときいた

 イモ……イモの酒なんだっけ……てずっと考えてるので正解をくれ……


145 名無しの転移者さん

 ウォッカじゃないの?


146 名無しの転移者さん

 ッアー!! ありがとうめっちゃスッキリした


150 名無しの転移者さん

 てかおっさんが異世界転生して知識チートとかしてるのマジキモいんだけど

 このスレ全体的に臭いね



500 成り上がる商人

 なんかめっちゃスレ進んでるけどなんかあった?

 忙しくて全然見れてなかった。ごめんな!

 なんか質問あったらまとめておいてくれると助かる


 ついでみたいでなんだけど、リバーシも販売しました。

 簡単なものだから、すぐ広まっていくと思う。


 あと少ししたらまたもうひとつ軌道に乗りそうだから、報告楽しみにしておいてくれよな!


501 名無しの転移者さん

 お、おお……それでこそオッサンだぜ


502 名無しの転移者さん

 荒らしとは戦っても何もいいことないって実感した


503 名無しの転移者さん

 リバーシか

 懐かしいな! 回ってきたら遊ぶぜー


584 名無しの転移者さん

 久しぶりに遡ってスレ見てたら、荒らしの書き込み全部消えてるのな。

 この掲示板、管理者がいるってマジだったんだ


585 名無しの転移者さん

 ほんとだ消えてる。ここ無法地帯じゃなかったのか……


590 名無しの転移者さん

 スレも割と細々消えることあるよな。たまに救助要請スレとかも消えてる。

 どういう判断基準で消してるんだろな


599 名無しの転移者さん

 掲示板の管理人については探ってもわかることはない

 そろそろ黙ろうか

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― 新着の感想 ―
妬み人間はどこでもあらわれるが商人はいいおっさんやな 開発の思考錯誤の努力が垣間見えるのときちんと情報管理徹底してるのがええわ
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