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アトミックシャークVSアトミックスズメバチ  作者: 田上 祐司


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第5話 女王様

 アトミックスズメバチの放った核光線の余波はヨセフの乗る車からも確認できた。巨大なきのこ雲が見えた時、ハリーと共に神に祈りを捧げた。


「とうとう核まで使ったか、いよいよまずいことになってきたな」


 車の運転をしながら、ヨセフは額に汗を滲ませる。アトミックスズメバチの巣はまだこの先にあるのだ。そしてそこにはまだ核は落とされていない。


 ここにもいつ核ミサイルが降ってくるか分かったものではない。だが、ハリーは対称的に冷静だ。


「いくらなんでも自国に核を撃つことはないだろ。あれはサーモバリックかなんかだと思うぞ。……もしくはスズメバチのケツからそういうもんが出たのかもしれんが」


「どっちにせよ核じゃないならまだマシだ。俺の故郷を焼かないでほしいもんだがな」


 ヨセフはアクセルを踏み込んだ。


「見えてきたぞ! あそこだ……予想はしてたがひでぇなこりゃ」


 ハリーが叫んだ。彼の目の前には大きな建物が見える。ハンドメイド・ディック原子力発電所である。


 元は森に囲まれた発電所だったそこは、今や無数のアトミックスズメバチが取りつき、巨大な蜂の巣を作り上げていた。面影といえば周囲を囲む壁と門に刻まれた『ハンドメイド・ディック原子力発電所』と書かれた看板くらいだろう。


「さて今から突っ込むぞ」


「俺はかえっていいか? ママが作ったスロッピージョーが家で待ってるんだ」


「ゲロよりも蜂蜜のほうがいいだろ?」


「俺の母親はゲロ作ってるってか? ふざけんな」


 幸いなことにアトミックスズメバチ達は巣を作るのに夢中になっているのかヨセフ達に気づいているようには見えない。


 だがいつ襲ってくるか分からない以上迂闊なことは出来なかった。


「ヨセフ、どうやって入る? 簡単にはいかなさそうだぞ」


「デカイといっても所詮はハチだろ? 煙でいぶしてやればいい。ライター持ってるか? とりあえず草とかその辺のもんを燃やしていこう」


 ライター片手に適当に火を付けようとしたそのときだった。突然発電所に群がっていたアトミックスズメバチ達が一斉に飛び立ったのだ。


「なんだ? どこにいきやがったんだ?」


「何はともあれ手間が省けたな。ハリー行くぞ。巣の中に」


「おいおいおい待ってくれよ」


 ヨセフとハリーは武器も持たずにハンドメイド・ディック原子力発電所へと入っていった。


「ところでヨセフ、ここ放射線とか大丈夫なのか?」


「俺の感では多分きっと恐らく大丈夫だ」


「ならいけるか」






 巣の中に侵入した2人は中にあるものを見て驚愕した。


「なんてこった。たまげたぜ」


「これ全部あの化物スズメバチなのか? やべえな」


 暗いと思っていた巣の中は意外と明るく、巣の模様や何があるかが鮮明に見えた。同時に見えなければよかったとも2人は思ったが。


 壁に隠れながら2人が見たのはおびただしい数の六角形の部屋とその中に収まる巨大な幼虫にサナギだった。


 そしてそこを守っているのだろう、他のアトミックスズメバチと比べても圧倒的なまでに巨大な身体をもつアトミックスズメバチがいた。


「あれがクイーンか。なんてデカさだ……」


「あんなのに襲われるのはごめんだぞ。とっととレンダを探して逃げよう。レンダはどこにいるんだ?」


「ッ! おいあのデカイやつの下を見ろ!」


「え?」


 ハリーが指差した先、クイーンアトミックスズメバチの下、そこに幼虫を育てるための部屋がある。そこには一際目立つ赤のビキニを着た女、レンダが磔にされていた。


「待ってろレンダ! 今助けてやるからな!」


「おいバカやめろ!」


 飛び出そうとしたヨセフをハリーは止めたが、遅かった。


 彼の正面、クイーンアトミックスズメバチがヨセフを睨んでいたのだ。 


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