第4話 光の後に
先に仕掛けたのはアトミックスズメバチの方からだった。その巨大な顎と、碇のような巨大な針を武器にアトミックシャークへと向かっていった。
「こちらパイパー191! 下で化け物共が暴れてる! デカいサメとデカいスズメバチだ! ありえねぇぜ!」
上空から地上を警戒していた1機のヘリ、その乗員達は地上の光景を地獄と呼んだ。
アトミックシャークが身動ぎ一つすればそこは炎の海となり、アトミックスズメバチが羽ばたけば火の粉が舞い周囲に火事を広げていく。
地獄の門が開いたとてここまでの光景にはなるまい。
「東からスズメバチの大群が向かってきてるぞ。これはどっちが勝つんだ?」
「どっちも負けろ!」
4トントラックほどもあるアトミックスズメバチだが、その大きさはアトミックシャークには劣っている。加えてアトミックシャークは体から発生する凄まじい熱によってあらゆる生物の接近を拒んでいた。
アトミックスズメバチの顎はそれが触れる前に炎をあげて燃え上がり、突きだされた針はアトミックシャークの体に傷をつけることはなかった。
「クソッたれスズメバチをあのクソッたれシャークがぶっ殺してくれたらあいつだけを殺せばよくなるんじゃないか?」
「だったらいいんだけどな! というかあのサメホントに死ぬんだろうな? というかハナから生きてるのか? ローストフィッシュが歩いてるようなもんだろ?」
ヘリの乗員は悩んだ。ダーウィンの進化論から完全に外れ、生命の理の外に存在するであろう2つの生物。それが簡単に死ぬとは思えなかった。
「最初の一匹が死んだ! やっぱり死ぬんだな、ザマァみやが……あっみろみろみろ! 他のもぼとぼと落ちていくぞ! ジャパンでいうところのトンデヒニールナツノムスィだな!」
「それは多分何か違うぞ」
炎によってアトミックスズメバチが焼かれ落ちていく様を見てヘリの乗員は手をたたいて喜んだ。
「俺達呑気に見物してるが、怪獣映画よろしく死んだりしないよな?」
「死ぬわけねぇだろ。スズメバチ共は全部あのシャークにつきっきりなんだからな」
「それもそうか。ハハッ」
そうしてしばらくしていると、アトミックスズメバチに動きがあった。後からやってきた一匹が腹の針を向け威嚇のような行動をとってきたのだ。
「みろよ。あんなことしても無駄なのに」
「小便でもかけるつもりなのか? よーし俺も一発やるか」
アトミックスズメバチは狙いをさだめ、ヘリの乗員はズボンを下ろす。
敵はただ一匹、目の前にいるアトミックシャークのみ。
腹の針から放たれたのは予想していた小便や毒液などではなかった。
放たれたそれは一筋の光、凄まじい熱と破壊力を有した『核』の光だった。
「うわあああああ!!」
放たれた光はアトミックシャークはおろか周辺にいた味方すらも巻き込み灼熱と爆風を発生させた。爆風によって地面は削れ熱はあらゆるものを融解させる。それは当然、飛んでいたヘリも例に漏れない。
この後に残ったのは直径2kmにもなる巨大なクレーターと、巨大なきのこ雲。
アトミックシャークはその身を焼かれて息絶えていた。




