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第3話 激突

 アトミックスズメバチとアトミックシャークが激突したのはカリフォルニアだった。


「早く逃げろ! 化け物がくるぞ!! ひぃぃぃぃ!!」


 アトミックシャークは水がなくとも生きていけるようだった。常に凄まじい熱を放ちながら地面を掘り返しながら泳ぎ、通りがかった森や家を焼いていく。


 アトミックシャークが通った地点は火事による熱で近づくことさえ困難な状態にあった。


「ダメだこっちにくるな! やめろ! やめてよおおお!! その家にはローンが残ってるんだ!」


 ローンが残っている家だろうがアトミックシャークにはお構い無しだった。だがこれはあくまでアトミックシャークが通った後、本体の被害とは比べるべくもない。


「ああもう……おしまいだ。こんなことなら昼にバーガーをしこたま食っとくんだった……」


 家の周囲をぐるりと炎の壁に遮られ、この男は途方にくれていた。炎は庭の芝を焼きながら男の方へとドンドン接近してくる。逃げられたとしてももはや安全な場所はどこにもない。


「せめて酒でも──そうだ! グレンフィデックがあったな! こんなときだ飲もう! ハッハッハ!」


 男は火の粉と共に家の中へと笑いながら戻っていった。いつか飲もうと思ってとっておいたとっておきの酒を飲むために。


「ハッハ! あったぞ! クソッタレな嫁はこれを売ろうなんぞ抜かしやがって。酒は飲むもので芸術品じゃないんだぞ。ううんいい香りだ」


 乱暴に栓を抜くと炎が上がりつつある家の中で誰にとがめられることもなく瓶で酒を呷る。絶望の中にあってなお男の顔は笑顔だった。


 さて、生き残った者達にはさらなる試練が待ち受けている。


 それは空から来た。


「ヘリの音が聞こえる。軍が助けに来てくれたんだ!」


「やったぞ!」


 煙で覆われた空から何かヘリコプターのローター音が聞こえてくる。


 きっと軍か、それかメディアの人間が来ているのだと思った街の住民は目に涙さえ流しながら空を見上げる。


 きっとあの煙の隙間から、ヘリが降りて自分達を助けてくれる。そう思っていた。実際にローター音の主が現れるまでは。


「は?」

  

 空をみていた住民の1人から呆けたような声が漏れる。


 目に写ったのはヘリコプターなどではなかった。空を舞うのは4トントラックのように巨大なスズメバチ……通称アトミックスズメバチと呼ばれる巨大スズメバチだったのだ。


「ああ、こんなの嘘だ。現実じゃない」


 まるでアトミックスズメバチに呼応したかのようにアトミックシャークが地面から姿を見せる。怪獣2体の大勝負が幕をあけた。

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シラナカッタ、ジメン ヤ アスファルトッテ ネツサエツカエバ オヨゲルモンナンダ(白目 空も陸も規格外の厄災ばかり。火に囲まれる中、ヤケ酒に奔りたくもなるかもしれませんな。
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