プロローグ
2024年12月18日アメリカ、その日ジャパンからの小さな侵略者、スズメバチが根絶された。
5年がかりの大仕事であった。
「今日でこのクソッタレな仕事も終わりだぜ。スズメバチの根絶に乾杯」
「はー、明日から違う仕事をしなきゃならないのか。残念だよ」
四人組の調査チームは森の中でこっそりと持って来ていたウィスキーを回し飲みしていた。ここ数年、スズメバチは姿を見せていない。調査の名目で森や郊外を訪れては酒盛りをして帰るというのが彼らの日課になっていた。
「そういやお前、近々結婚するんだってな。おめでとうよ」
「ありがとさん。この仕事が終わったら、彼女にプロポーズするんだ。安心しろ式にはお前等も呼んでやるよ」
「そいつはいいな!」
「ハッハッハッハッハ」
今日が最後の見回り、肝心のスズメバチも最近は姿を見せていない。チームは浮かれに浮かれていた。
「ん? なんだ?」
アルコールが回りいい気分になってきたところでチームの1人が異変に気が付いた。
「なんかヘリコプターの音がしないか?」
「ん? まぁするが……あれなんか近いな。まるですぐ上を飛んでるよう……な?」
聞こえてくる轟音に、彼らは恐る恐る上を見上げ、そして……
「「「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」
調査チームはそろって叫び声をあげる。彼らの目に映った物、それは4トントラックほどもある巨大なハチ、特徴的な黒とオレンジの模様を持つハチ、自分たちが小人になったのかと錯覚するほどの威圧感を放つスズメバチの姿だった。
「ひ、ひいいいッ! なんだありゃ早く逃げろ早く早く早く!」
「置いてくな! おい待ってくれ! ここここ腰が抜けてあああああああっ!!!」
我先にと逃げ出す調査チームたち。乗ってきた車に乗り込もうとするが逃げ遅れた一人がその巨大なスズメバチに襲われ、首を齧りとられた。
「やめて許して! ぎゃあああああッ!!」
車に乗り込んだ彼らも悲惨な末路を辿った。巨大化したスズメバチのその顎は車のボディをまるで紙でも割くかのように食い破り、中にいた調査チームは悉くが餌食となった。
謎の巨大化したスズメバチによって引き起こされた今回の惨劇。
だがこれは序章にすぎなかった。