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今日も私は足を回す

作者: 白石丈

澄んだ空気、乾いた唇、ようやく冬の訪れを感じる今日。


私は今日も足を回す。


誰のためでもない、自分のため。



でも私が足を回せば喜んでくれる人いる。


私の家族や友人はもちろん、私よりも幸せなのにそれに気づかないで他人と比較したがる人。




人というのは難しくめんどくさい。


それはほかの動物よりもより進化してしまった「愛」が所以なのかもしれない。


愛は本来、子孫繁栄や社会構築に役立つことができる。


しかし人は進化の過程で言葉を話し文字を書くようになった。


そうすることで人は死んでしまった人を代々語り継ぎ、その紙に書き記してきた。


死んだ人を愛することは生物が生きる上で何の利益もない。


しかし、だから「愛」はうつくしいのかもしれない。




「大学行かなきゃ」





私はそうつぶやくと横で鳴り響いている目覚まし時計お止めた。

リビングに行くと母が相も変わらない笑顔で朝の挨拶をする。この人は本当に私の親なのだろうか。いや違う私は本当にこの人の子なのだろうか。




「向日葵、顔を洗って直してきなさい。その寝ぐせ(笑)」



「・・・・うん。」




向日葵という私の名前は私よりも母にふさわしい名前だと思う。母の朝日よりもまぶしい笑顔を見てそう感じる。




寝ぐせを直して、最近から始めたお化粧と呼べるかもわからないようなものを、なにもしないよりは良いかと5分ですまし。


母の作ったトーストをかじり、私は家を出た。



天気は快晴。私は細い川の横を通りながらゆっくりと息を吸い込む。


冷たい新鮮な空気がやさしく肺を包み込む。まってましたと言わんばかりに肺は取り込んでいく。



私は夏よりも冬のほうが好きだ。



それは自分のいつもの感情とその時の季節にギャップがあるのを好まないから。




冬の寒さは寂しさと似ていてとても近しいものを感じる。


夏のジメジメとした暑さはどうしても私の感情にはギャップを感じてしまってどうも苦手だ。



駅に着くといつもの駅員さんが私の足をを回す手助けをしてくれる。


電車に乗れば常に誰かの視線を感じる。



もう慣れたものだ。




電車の窓からから見える景色はいつもと変わらない。



でも天気が良いからどこか眩しくそして美しい。






目的地につくとまたそこの駅員さんに足を回す手助けをしてくれる。




いつもありがとうございます。





大学について今日もいつものように講義を受ける。

教授はいつもと同じトーンでいつもと同じペースで授業を展開していく。




周りを見渡してみると、寝てる人、スマホを見ている人、友人とうわさ話をしている人。

授業を聞いている人はおそらく3割ほどだろう。でも教授は何も気にしない。


これが大学であり。暗黙の了解なのだろう。




2限が終わりお昼休みになった。


多くの生徒は、食堂に流れていった。



私は一度大学を出て町はずれの小さなパン屋へ向かった。



茶色い重たそうなドアをゆっくりと引いた。



ドアについていた小さなベルが鳴り、奥にいる店長の低い声が聞こえた。





「いらっしゃい、一週間ぶりだね」





「こんにちは、今日もバニラコロネ・・・いいですか?」




ここは町はずれにある小さなパン屋兼喫茶店「小麦 白石」。先月ここに初めて来たとき店長にパンの感想を伝えたとき店の試作品であるチョココロネならぬバニラコロネの試食をすすめらっれたのだ。



それからというもののたまに来てパンの試作品を評価しているというわけだ。




「どうだい、味のほうは。今回はパンの生地を少し硬くなるようにしてバニラの冷たさと食感がマッチすると思うんだ。」










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