第1話 出会い 前編
始まります。
いつか彼女にも素敵な出会いがあるのでしょうかー?
「危ない···っ」
バイトの帰り道。
たくさんの荷物を持った人が階段を登ろうとしているのが見えた。少しよろけていたので、危なそうだなぁとぼんやり思いながら歩いていたら、その人はホントに落ちそうになったのだ。
「碧希は反射的に受け止めに走った。
「よ、避けてください····っ」
バタタタタっカラン
「大丈夫?」
碧希が下敷きになる形で、なんとかその子が怪我しないよう助けることができた。
「あ、ありがー」
その子が起き上がろうとすると
フニ♡
「!?ごっごめんなさい!む、胸を···」
真っ赤になって両手を上げて起き上がったその子を見て、たまきはふっと笑みがこぼれた。
「大丈夫だよ、女同士でしょ?それより会ってすぐ女だって分かってもらえてうれしいかな。胸触れば分かるか(笑)」
碧希が戯けて言ってみせると、
「うっ···す、すみません···悪気はないんです」
その子はシュン···となって謝ってきた。
「あっ違うよ!怒ってないからね?!···あ。荷物バラバラだね、手伝うよ!」
「あ、ありがとう。助けてもらった上に手伝ってもらって···」
「バイト中なの?大変な仕事だね。こんな大きな荷物···」
「すぐそこまで運ぶだけだから大丈夫ですよ。この辺り横断歩道のところまで行くより歩道橋のが早いからって使おうとしたらこんなことに(汗)」
片付けながらそんな話をしているうちに
ダンボールへの収納が終わった。
「ありがとう、助かりました。次は無理をしないで階段を使わずに行きます。本当に、さっきはごめんなさい、ありがとうございました!」
「·······いいえ、気をつけて」
最後まで丁寧に、感謝の言葉を述べてその子は去っていった。
(いいなぁ。あの子は私とは大違いだ。同じショートヘアでもあの子は、ちゃんと女の子に見える。
····今、髪を伸ばしたら少しは女に見えたりするのかな?
小さい頃より体つきも変わってるし、ロングヘアーで制服なら···
明日、亜紀に聞いてみようかな···)