異世界から転移した少年、日本の学園祭に参加してみた。
書き足していきます!
『おめでとうございます!!アナタは異世界に転移する権利を得ました!!受け取り拒否はできないので、今すぐお送りしますね?ご安心ください!異世界言語と一般常識を特典としてお付けします!さらにさらに!いきなり異世界に飛ばされても、戸籍が無ければ大変ですよね?でも、大丈夫!戸籍も用意しました!!』
いきなり声が聞こえたと思ったら、異世界!?なんで俺なんだ!!まだやりたいことがあるんだよ!!
『やりたいこととは?』
もうすぐ魔法学園の学園祭だったんだよ。友達はいなかったけど、楽しみだったんだぞ!
『友達なら、今のアナタの力で作れますよ!そ・れ・に!これからアナタが行く世界にも魔法学園があるので、そちらの学園祭に参加してください!!今のアナタの年齢のまま参加できますよ!!』
それなら、まぁ……いやいやいや!?やっぱおかしいだろ!?
『男なんですから!グズグズしないでください!!もう送りますからね!?拒否権は無いんですから諦めてください!!それでは、行ってらっしゃーーい!!!』
おい!!!ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!!!
2019年 2月29日
そうして俺は、謎の女(?)と心の声で会話しながら、時空の扉に吸い込まれて行った。
目が覚めたら……知らない天井が。
「ここはどこだ?ベッドの上か……?」
「起きたの?」
「ん?」
「ちゃんと起きたみたいだね、フレア君」
「なんで俺の名前を知ってるんだ?ここはどこなんだ?お前誰だ?」
「わぁ、質問が多いね。まずは1つ目の質問に答えるね。君はこの世界、『地球』に来る時に女性の声が聞こえたんだよね?」
「あぁ」
「私が君のことを知っているのは、私も向こうの世界の住人だったから。毎年、誰かしらが地球に送られてくるんだけどね。前回、ここに来た人は、次回来る人のサポートを任せられるの。だからね、フレア君がこの世界で不自由無いように暮らせるように、サポートする側もある程度は情報を貰っているんだよ」
「じゃあ、次は俺がサポートするのか?」
「そうだね」
「なんの説明も無かったぞ」
「私も無かったよ。前任者から聞いたからね」
「あの女、適当すぎるだろ……」
「それには同感。2つ目の質問の答えはさっき、ちょろっと言っちゃったけど。ここは『地球』という世界の、日本っていう国の私の家。フレア君は来年が来るまではここで暮らしてもらうよ」
「え」
「ていうか、戸籍が私の親戚の子って設定なんだよね。別々で暮らしてもいいけど……一緒に暮らしてた方がサポートしやすいからさ」
「なるほど」
「3つ目の質問、私が誰か……だけどね。フレア君が通っていた王立魔法学園の卒業生だよ。今は日本で騎士をやってるからお金の心配はいらないかな。元の世界の名前はクルア・レブナント。今の名前は天野 光。フレア君には、天野の姓を名乗ってもらうよ」
「天野 フレア?」
「天野 陽太 ね」
「陽太……レブナントって侯爵?」
「そうだね。フレア君とは関係ないことだけど、レブナント家ってどうなったのか知ってる?」
「確か、次女が帝国に嫁いだって」
「ふーん……。私はまだ彼氏もいないのに……」
「いないんですか?」
「煽ってる?」
「い、いや、そういうつもりじゃ」
「この世界に来たのは去年だからさ、恋はこれからだよ」
「へぇ……」
この世界とは関係ないとはいえ、侯爵家の人間にタメ口はマズいと思って、敬語を使うことにした。そうでなくても先輩だし。
「フレア君はこの世界での目的は決めた?」
「魔法学園があるらしいので、入学して学園祭に参加したいです」
「魔法学園ね。今は15歳だから、高等部の1年生になれるね。魔法学園なら私が推薦できるから問題無さそうだね。推薦はしてあげられるけど、学力と魔法力は必要だからね?魔法力は問題ないと思うけど」
「学力は教科書さえあれば、『知恵』を使ってなんとかなりますね」
「『知恵』!?超レアスキルだよね!?羨ましい!!」
「カンニングみたいなもんですよ」
「言わなかったらバレないよ」
「元侯爵令嬢の現騎士の発言じゃないですね」
「王国の騎士と違って、この国の騎士は騎士道精神なんて持ってないからね。基本的にダンジョンには潜らないから、山とか森の魔物倒したり、護衛したり、治安維持に努めたりかな。統率の取れた冒険者ってイメージでいいよ。上司は皇族と総理大臣だね」
「皇族なのに、皇国ではないって不思議な国ですよね」
「皇族は飾りみたいな感じらしいよ。政治をしてるのは議員だね」
「魔王国形式?」
「そんな感じだね」
「学園に入学するに当たって注意点とかありますか?使ってはいけない魔法とか属性とか」
「超級魔法は使用禁止だね。使っちゃいけない属性はね……目立ちたくないなら光と闇はやめた方がいいかな。使うにしても光にしときな?」
「あまりいいイメージを持たれないってことですよね」
「そうだね……。向こうとは違って、魔族は敵だと思われているからね。闇魔法は魔族か、ハーフしか使えないってことになってるよ」
「ハーフ差別とか……」
「残念ながらあるね……」
「希少属性なのに勿体ないよね。地球での魔族は敵かもしれないけどさ、ハーフとして生まれてくる子供は関係ないっての」
「ハーフ差別はイジメじゃないのかよ……」
「日本人ってそういうところがあるからね。親が犯罪者なら、子供にも罪があると思ってる。馬鹿だよね」
「『知恵』でこの国の歴史にアクセスして見てるんですけど。過去に色んな国に攻め込んだ結果、魔法で領土丸々島国にされたそうですね。戦争犯罪者の子孫なら、そいつらも悪ですかね」
「過去のことなんて忘れてるよ。何度も言うけど馬鹿だからね」
「面倒な国ですね」
「そうだね……。ただ、異世界言語は日本語に訳されてるから、私たちはこの国で暮らすか、他国の言語を勉強するしかないね」
「俺は……」
「うん、ずるいよね。逃がさないからね?1人だけ、この国から逃げるなんて許さないよ?」
「学園祭に参加できるならどこでもいいですよ。友達も欲しいですね」
「逃げようとしても、君は未成年だからね。国籍変更はまだできないよ?最低でもあと5年だね」
「逃げませんって。次の年の転移者をサポートしないといけないんでしょう?」
「ちゃんと話聞いてたようだね」
「俺は冒険者になろうかな」
「ん?なんで?騎士にならないの?」
「魔物と戦うのが好きっていうのもありますが、高等部に入学しても、今年は光さんの家で暮らすとして。来年からは一人暮らしですから、金は必要ですよ」
「あー……まぁ、いつまでもここにいていいけど、次の年の子のことを考えると、お金は必要かもね。魔物と戦うのが好きってことは、元々冒険者をやってたの?」
「そうですよ、Bランクでした」
「たっか!」
「5年もあれば、誰でもBまでは行けますよ」
「うーん……私は騎士のことしか知らないけど、そんな簡単に上がらないと思うけどなぁ」
「美徳種と大罪種があるので余裕でs」
「大罪種!?憤怒?暴食?傲慢?強欲?」
「『暴食』ですね」
「それって、誰でもは無理だよね!?」
「ギフトに恵まれましたね」
「ねぇ……騎士にならない?卒業後に推薦するからさ」
「騎士ってダンジョンには潜らないんじゃないんですか?」
「基本的には、ね。副業として冒険者になってる人はいるよ」
「元の世界じゃ、ありえないですね」
「少なくとも、王国の騎士と冒険者は仲悪いからね」
冒険者にもなっていいなら、騎士でもいいかな。一般常識の中に「俺TUEEEE」って単語があるんだが、無双出来るほど強くはない。『知恵』も『暴食』も戦闘に使えないことは無いが、サポート向きだからな。
さすがに、光さんに1年間養ってもらうのは気が引けるからな。ちゃんと稼がないと……。
「これからはフレア君じゃなくて、陽太君って呼ぶね?」
「分かりました」
「うんうん。じゃあ、服とか買いに行こっか。騎士団に寄って、推薦届も出さないとだし」
今の服も冒険者の装備だから、外に出る分にはなんの問題もない。『地図』というスキルを使いながら、服屋へ向かう。このスキルがある限り、迷子になることはないだろう。ダンジョンの中だと知らないが。
「ここがウニクロっていう服屋さん。下着とかも売ってるからね、私が見ても気にしないなら、着いていくけど。気になるなら、お金渡すから買ってきていいよ」
「気にしないです」
「じゃあ、一緒に行こうか」
服は同じ種類の服の色違いを2セットあればいいかな。下着なんて履ければ全部同じだろ。
「決まりました」
「おー、早……い……。2セット?少なくない?同じ服の色違いだよね?下着はしょうがないけどさ」
「着てて違和感なければなんでもいいので」
「……私が選ぶね。友達欲しいなら、オシャレにも気を遣わないと!」
「オシャレ……」
「ほらほら!こっち来て!」
着せ替え人形にされました。最初に選んだ服は1セットだけ買って、あとは光さんが選んだ服買ってもらった。
「着る機会あるかな……?」
「冒険者活動だって毎日するわけじゃないでしょ?」
「え!?」
「え……毎日するつもりだったの?」
「以前は毎日してました」
「よく体壊れなかったね」
確実に勝てる戦いしかしてこなかったので、あまり疲労感が無かった。