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陰陽師 本田桃

作者: 脚田キング

あらすじ:

ある日、描いてある絵や文字を動かせる能力に目覚める本田桃。父親のパワハラから自由になりたい彼女はその能力を使うが、絵が下手なので、上手くいかず。そこで、同じクラスて絵の上手い麻木優さんに絵を描いて貰うように頼む。


冒頭

長野県の田舎にある町


『ねえ、知ってた?この町の栗野神社の近くにあるトンネルに描いてある鬼の絵があるでしょ。あれにお願いすると願いを叶えてくれるんだって。』



場面変わり学校


友達a「ねえ、桃ちゃん。来月頭の土日東京のディズニーランド行かない?」


桃「え?行きたい!」


友達a「じゃあ!行こうよ!」


本田桃は長い黒髪を持つ高校1年生の女子生徒。


その日の夜 自宅

桃「お父さん、来月頭に友達とディズニーランド行ってきてもいい?」


父親「ええい、ダメだ。畑の手伝いがあるから。わかったか?」

父親は桃のお願いを聞くと、すぐに否定してくる。


桃はがっかりしたが、父親は桃の方を見ることはない。


桃:「はい。」


桃の頬に涙が流れる。


桃の家は古い家だった。父親は農業で生計を立てている。

桃が幼い頃からずっと土日は農業の手伝いをさせられるのが日常であった。

中学生の頃に手伝いたくないと反抗したことがあった。

しかし、父親は怒鳴りつける。


父親「じゃあ、どうやって食っていくんだ。それなら、自分で学費と生活費を出せ。」


いつも何か反抗的な態度をみせると、学費や生活費を理由に脅してくる。

次第に桃は父親に反抗しなくなっていった。


翌日場面が移り授業中


国語の先生「そういうことでここの文章の意味は、、」


桃はノートに包丁を持った棒人間の絵を描いている。


凄くイライラしている様子


桃「死ね、くそじじい。くっそ」


桃は次の日でもイライラが止まらない様子。

するとそんな桃をみて国語の先生が、


先生「桃さん、授業中、そんな怖い顔しないで。女の子はニコニコしてないと」


と声をかける。


イラっとする桃


桃「ムカつくな、このじじい。」


すると、ノートの棒人間が浮き上がってくる

しかし桃はそれには気づかない。


桃「足元に包丁でも刺してやろうか」


と桃は心の中で呟く。

すると、急に先生が


先生「あ、痛。」

先生はつま先が痛いという。

チクリと刺されたと。


ハッとする桃


桃:「もしかして、私の願いが届いた?」


その日の帰り道


桃「今日のあれは何だったんだろうな。私がそう思ったから起きたのか?それともただの偶然か。」



目の前の交差点に子猫がいる


目の前から車が来ているが、運転手は気づいていない


桃「あ、危ない。止まれ!」


すると、道路標識の止まれ!の文字が突然浮き出てくる。


そしてそれをみた運転手は驚き、車を急停止する。


子猫はのんびりと交差点を渡る。どうやら助かったようだ。


桃「今の何なの?文字が浮き出た?」


土曜日 


畑仕事を手伝わされている桃

リンゴの木の周りの土を桑で掘る作業をしている。


桃「あー、めんどくさい。誰か代わりにやってくれないかな」


畑に接する道路では工事が行われていた。人の代わりに止まれ!のポーズをしている絵がある。

それをみる桃。


桃「ねえ、あんたそっちの仕事じゃなくて、私の仕事手伝ってよ」


すると突然その絵が浮き上がり、こちらにやってくる。そして、桑を持ち、作業を開始しし出した。


桃は驚く。


桃「私が念じただけで、絵や文字が動く」


それから数日間で桃はこの不思議な能力について色々実験をした。

その結果わかったことは、2つある


1つ目は、元々絵があった場所から離れるほど、絵は動きが遅くなる


2つ目は、絵や文字は描かれた目的や意図に沿わないことに使われた場合、すぐに元の場所へ戻るということ


例えば、先ほどの工事現場の絵はすぐに車がやって来ると作業をやめ、元の場所に戻っていく。


桃「ねえ、まだ仕事終わってないじゃん」


工事用の止まれの絵「車止めるの仕事」


桃は自宅でノートに色々な絵を描いている。しかし、上手く絵が描けない。


桃「はぁ~私の画力じゃなぁ。誰かいないかなー、絵が上手い人」


場面変わり 同じ日の同じ時刻のある女子生徒の部屋


女子生徒の名前は麻木優。


優は部屋でアーサー王の絵を描いている


アーサー王とは、5世紀後半から6世紀初めのブリトン人の君主です。「アーサー王物語」という物語に登場し、ヨーロッパでの英雄で、彼に憧れた歴史上の人物は多く存在する英雄である。アーサー王が剣を持っている絵画を描いている。


すると、母親がドアを開け、少し部屋に入って来る。


母親「また、そんなよくわからないもの描いてないで、勉強しなさい。絵なんて描いても将来役に立たないんだから。来年受験でしょ。」


優「。。。。」


母親が部屋から出ていく


優「ねえ、アーサー王。困っている人を助けてよ。私は絵の勉強がしたいだけなの。。」


翌日学校のお昼休み


次の授業の準備をしている優の後ろに

桃「ねえ、麻木さん」


麻木が驚く。普段話すこともない本田桃から話しかけられたからだ。


麻木「どうしたの?」

桃「私あなたにお願いがあるの」


放課後

桃「すごーい!これめちゃくちゃリアル。ありがとう!」


優「でもこの絵って何に使うの?」


描いた絵は、ムキムキの労働者の絵だった


桃はあ~と言い、

桃「あたしマッチョが好きで」


優「そうなんだ」

苦笑いする


桃「でも麻木さんって本当に絵を描くの上手ね。高校は美術系に行くの?


優「そうしたいけど、親が反対するの。絵なんてやってもお金にならないって。」


桃「ふーん。優ちゃん家もそんな感じなんだ。でも勿体ないな。絶対才能あると思うんだけどな!」


それを聞いて、嬉しそうな顔をする優


その日の帰り道

桃「これで来月ディズニーランド行ける」


どうやら桃はこの絵に畑仕事をやらせ、自分はディズニーランドに行くことを思いついたようだ。


次の週の月曜日の夜

進路について父親と話している桃。


父親「えい、だめだ。」


桃「私は東京の大学に行きたいの」


父親「うるせえ。おめえは、地元で就職して、土日は畑仕事で手伝いに帰ってくるからダメだ」

父親は声を荒げている。


桃「なんで、全部お父さんの都合に合わせないといけないの。。」


涙声の桃


父親「そんな金うちにはない。もし行きたいなら、受験費から入学金やら、学費、生活費から自分でどうにかやれ」


それを聞くと、立ち上がり、玄関へ向かう桃。


桃「もうこんな家にいたくない」


桃は家から出て、ひたすら走る。


1時間後


桃「ハアハア。結構遠くまで来ちゃった。ここって確か」

神社とトンネルがみえる。時刻はもう遅い。辺りは暗くなっている。


桃「ここって、確か鬼の絵がある」

トンネルの中に入っていくと、等身大程の鬼の絵がある。


それを見つめる桃。


桃「これって確か。願いを叶えてくれる。。」


父親の顔が浮かぶ。


桃「あたし自由になりたいの。土日は畑の手伝いじゃなくて、友達と遊びに行きたいの。将来は東京で暮らしたいの。なんで邪魔してくるの」


桃の声が震えている。

そして覚悟を決めたかのような桃


桃「ねえ、鬼さん。私あなたにお願いがあるの。」


少し間が空く。


唾を飲み込む桃


桃「私のお父さんを殺してほしいの。」


すると、鬼の絵が浮かび上がる。


等身大の鬼がそこに現れる。


鬼「我は人の願いを叶えるために描かれる。そなたの願いを叶えよう」


そして動き出す鬼。桃の家の方に向かいゆっくりであるが動き始める。


それを観て、桃は笑い転げる。


桃「やったー。やっとこれで自由だ。自由。。。。」


父親との過去を思い出す桃


2年前の母親の葬式


桃は父親の横で泣いている。そんな桃の頭をさすり、父親が言う。

父親「桃、父ちゃんがいるからな」


桃「私知ってたよ。お母さんがなくなったあともすぐに畑に出て仕事してたことも。私を育てるためだって。


でも段々感情のコントロールができなくなっていったことも。お母さんがいなくなって話聞いてくれる人がいなかったからでしょ」


過去回想終わり


桃「やっぱダメ~。さっきのなし」

桃は歩いている鬼の元へ走って追いかける。

鬼のスピードは速くないため、すぐに追いつく。


桃「止まれよ、鬼!」


しかし鬼は止まらない。


桃「言葉で言っても止まらないなら。」


歩道にある「止まれ」の標識に桃が命令する。


桃「鬼を止めて」


止まれのマークが浮かびあがり、進む鬼を妨害する。


しかし鬼は持っているこん棒でそれを押し退けて進む


桃「あーーーーーやばい、このままじゃ本当にお父さん殺されちゃう。どうにかしないと。どうすれば。。。」


桃は考えると、あるアイデアが浮かんだ。


桃「鬼を止める絵を描いて貰うんだ。優ちゃんに」

 

走り出す桃。そして、麻木家に来る。


桃は優とはあまり親交はないが、幼稚園から一緒だったため、家の場所は知っていた。


優の家につくと、桃は玄関のチャイムを鳴らす。


ピンポーン


優「はーい、どちら様?」

優の声がする。


すると桃は急いで、


桃「ハアハア、優ちゃん、鬼を止める絵を描いて。」


優「えっ?鬼」

優は急なお願いに驚いている様子。それにも関わらず桃は早口で言う。


桃「お父さん、殺されちゃうの、鬼に。だから、早く絵を描いてほしいの。鬼を殺せる」

桃の深刻な声を聞いて、緊急なことが起きていることを察する優


優「待ってて」

そして、玄関のドアが開くと、優が額縁に入ったアーサー王の絵を持って来た。


優「昨日完成した作品なんだけど。これで止まるかな。困ってる人を助けてほしいって思いでずっと描いてたの」


それをみると桃は嬉しそうな顔をする。

桃「うん、ありがとう。これで止めてみせる」


そして絵に対して桃が能力を使う


桃「この能力のことは後で説明するね。」


そして一呼吸置く


桃「アーサー王。鬼を止めて」


すると絵から剣を持つアーサー王が浮き出てくる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


急いで家に着くと既に鬼が家に入っていた。


桃「おとうさーん」

桃が叫ぶと中から声が聞こえる。


父親「来るな、桃。逃げろ」


桃が涙を流す。お父さんがまだ生きていた。


桃「今助けるからね」


アーサー王が鬼に切りつける


場面変わり。その数日後 

夕暮れ時、屋上にいる桃と優


桃「あの日からお父さんは少し私に優しくなった。けど、やっぱりうざいときもあるんだ」


棒人間同士を戦わせている桃


桃「優ちゃん、私この能力使ってこの町抜け出そうかな。なんて、えへへ」


優「それはダメだよ。」


桃「そっか。はぁー」


優「ねえ桃ちゃん。私さ、絵の高校進むことにした。あの日の後、アーサー王の絵を見たお母さんが何か感動しちゃって、是非進みなさいって」


優は嬉しそうな顔で報告する。


桃「ふーん、よかったね」

どこか他人事の桃。


優「ずっと毎日描いてきたの。それが認められた気がするの。だから、私ね、桃ちゃんにも同じことしてほしいの」


優が桃の方を向いて言う


桃「同じこと?」


優「うん、同じこと。つまり、桃ちゃんも今日から勉強頑張るとか。そういう方法でこの町から抜け出してみない?成績よければ学費免除になるらしいし」


桃が前を見ていう


桃「そうね。」


そして戦わせている棒人間をみる


桃「じゃあしばらくこの能力はお預けだ。」


優に笑顔を見せる。


優も笑顔を返す。


桃「あっ、そうだ、来月ディズニーランド行かない?」


優「えっ!行きたい!」


桃「行こうよ!」


摩訶不思議な体験を通して、彼女たちは成長していく。


「陰陽師 本田桃」 おわり

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