第8幕 恐怖のクリスマスプレゼント
怖いわ!
第8幕 恐怖のクリスマスプレゼント
ここは剣士エージの屋敷。
今日はクリスマスイブである。
毎年この日は、エージの屋敷でチヨコとクリスマスを祝うのが習慣となっていた。
「あーどうしよう、どうしよう、またチヨコがとんでもないプレゼントを持ってきたらどうしよう!」
チヨコは魔導師である、毎年、クリスマスイブにはエージにプレゼントをあげているらしいのだが…
「一昨年はゴブリンの耳で作ったネックレスを、オレに渡してきて、『これはな、凄い呪術が使える高級品のゴブリンネックレスだ!』とか言って渡してきたし、去年は、オークの金○を漬け込んだアワモリという東洋の酒を持ってきて『これを飲めば精力絶倫、魔王など一撃で倒せるぞ!』と言って何か勘違いしてるし…今年なんかは期待していろよと言っていたからなあ…」
と部屋の中をウロウロと落ち着きが無いような感じで歩いている。
コンコン
ドアをノックする音がした。
「あー来たよー!どうするんだ!あーもー!どうぞ!」
エージは仕方がなさそうに声を掛ける。
「おーエージ!メリークリスマス!」
と部屋に入ってきたのは魔導師のチヨコだ。
パーン!
魔法っぽくクラッカーを鳴らしながら部屋に入ってきた。
魔導師らしく漆黒のローブを着ている。
「よ、よ、よく来たなチヨコ!」
「はっはっはっ、当たり前だ!年に一度のクリスマスだからな。今年のプレゼントには色々と候補があって考えるのに苦労したぞ!」
「こ、候補?」
「そうだ、例えばだな『魔王の生首の置物』とか…」
「は?いや、それ不気味でしょ?そんなの部屋に置いてたらオレ絶対に病んじゃうよ!」
「ふっふっふ、そう言うと思ったんで辞めた。」
「やめたのかよ!ふぅー!」
息を深く吐くエージ。
「でな、違うやつを考えた。」
「えっ?違うやつ?それは…」
ドキンドキンと心臓が波打つ。
「それは『クリスマス定番のトナカイのはくせい』だ!」
「定番じゃねえよ!トナカイってサンタさんが乗っているソリを牽いてる動物んでしょ!それのはくせいって、めちゃくちゃ可哀想じゃん!」
「ふ、ふ、ふ、だと思ったんで、これも辞めた。」
「やめたのかよ!心臓に悪いわ!」
「それで、ワイは考えに考えた。エージが欲しがっている物を!」
「オ、オレが欲しいもの?それで?」
「ワイはとうとうひとつの答えを導きだした。」
「えっ?マジで?」
「そう、一度、エージが行きたいって言ってた、あの『人食いドラゴンの縄張りツアー七日間の旅』、それのチケット。」
「止めてくれよ!オレ、ドラゴン倒せる程強くないし!そんなこと一言も言ってないから!絶ーっ対!言ってないから!」
「はっはっはっ、!と言うと思った。なので、これもやめた。というか、実はそれ結構人気のツアーでな、チケットが高騰してて入手が中々出来なくなってな。買えなかった。」
「ふぅぅぅーー!って人気なのかよ!」
「ああ、なので、もう仕方がなくてな、定番の物しか用意が出来なかった。すまない。」
「て、定番?用意した?い、いやあ、そ、そ、そんなに気を使わなくても、い、いいんだぞ。それにその定番とか言うのも、な、なんか凄いやつなんだろ。」
「いやあ、ホントに申し訳無い。こんな定番なもので悪い。」
チヨコはそれをエージの部屋のテーブルの上に置く。
ドンと置かれた物を見るエージ。
「こ、これは、ま、まさか!?」
「そう、そのまさかだ!」
テーブルの上には大きなクリスマスケーキが置かれていた。
「メリークリスマス!!エージ」
再びクラッカーを鳴らすチヨコ。
「あ、はは、メ、メリークリスマス、チヨコ」
半べそをかいているエージ。
二人のいる部屋の窓から雪がちらついているのが見える。
今日はホワイトクリスマスだ!
シャンシャンシャンシャンシャンシャン…
(トナカイの鈴の音)
【クリ&カリの反省部屋】
エ「チヨコさん、メリークリスマス!」
(*>∇<)ノ
チ「アホ!コントの時はメリークリスマス言うたけど、ワイはクリスマスって言うたら、バイクで激走しまくりや!」
ヽ(♯`Д´)ノ!
エ「いやいや、もうエエ年なんですから、止めてください。黒山さんに言いますよ。」
( ̄▽ ̄;)
チ「それはマジで止めてくれ。」(。・`з・)ノ
チヨコ、エージ、お疲れ様でした。
また機会があれば会いましょう。