暖かい涙*
「ちりんちりーん!」
「ちりんちりんじゃないもん!かれんだもん!」
「花鈴だからちりんちりーん!だろ!」
「ちがーう!チビリーダーはちんちくりん!」
「なっ!ちんちくっ…!?」
「あはは!智哉ちんちくりんだって!」
「あ、メガネリーダー!きょーもてじなしてくれる!?」
「花鈴ちゃんこんにちは。今日はこれを使った手品だよ!」
「ちんちくりん!お前はこっち!」
「てじなー!」
「なら、このピン取り返せたらな!」
「あ!かえしてよー」
ダダダダッ―
「あー、行ってらっしゃい」
……
「かーえーしーてー」
「こっちだよー!」
ドンッ!
「わぁ!」
「えっ!」
ドシャッ
「いたいっ…」
「ごめん。大丈夫?立てる?」
「いたい…うぅ」
「保健室…」
「どけっ、おい。大丈夫か?」
「ち…」
「あー、血出てんな。保健室行くぞ」
「ち…チビリーダー…」
「俺?立てねーの?ほら、おんぶしてくから」
「チビリーダー、だっこ」
「だっこ!?おんぶじゃだめなの?」
「だっこ…」
「あー、こいっ」
「んっ、あったかい」
「重いわ。ちりんちりん」
「デブだもん。ちりんちりんだもん」
「嘘だよ。行くぞ。こいつは連れてくから。迷惑かけて悪かったな」
「あ、いや大丈夫。お大事にね」
「うん」
……
「智哉がだっこしてるー!」
「うるせーよ」
「先生ー!智哉がだっこして1年生連れてきてるー」
「え?あらあら、どうしたの?」
「転けて擦りむいてるから、手当てしてやって」
「あらー、痛かったでしょう?」
「いたくてないたー」
「そっかー。でもお兄ちゃんいて良かったね」
「おにいちゃんじゃないよ?チビリーダーだよ?」
「チ…チビリーダー?」
「ここで言わなくていいの!このちりんちりん!」
「むー!かれんだもん!」
「あらあら、とっても仲良しなのね。手当てするからこっちにおいで。益城くんはこの子の分の記録書いててくれる?」
「わかった」
「きろく?」
「保健室に来たから書くものよ。後で教えるね」
「ちりんちりん、これだよ。ここが名前で…」
「花鈴ちゃん、手当て終わったよ」
「え?いたくなかったよ?」
「うん、益城くんとお話してたからじゃないかな?良かったね」
「すぐ終わったろ?書き方もわかった?」
「うーん、またチビリーダーにきく」
「もう、ケガされちゃ困るんですけど」
「なんでこまる?」
「遊ぶ時間減るから、もう行くぞ。先生ありがとうございました。失礼します」
「せんせ、ありがとうございました。しつれいします」
「今度は気を付けるのよー」
【何だか微笑ましい2人だったわ】
……
「チビリーダーいなくなるの?」
「卒業ってやつ。中学生になるんだよ。だから、明日まででさよならだ」
「あえなくなる?」
「そうだな。」
「さびしいな…」
「またいつか会えるさ」
「いつかっていつ?」
「また会いたいって思った時。」
「わかった。」
「「それまで、バイバイ」」
……
ドタッ…ガッターン!
「あいたたた、あれぇ?なんで泣いて…」
「花鈴どうした…て、何やってんだよ」
「いや、そんな呆れ顔しないで助けて」
「良い歳してベッドから転がり落ちるなんてなー」
「ほらっ、大丈夫か?ん?泣くほど痛い?」
「んっ、へーき。何か懐かしい夢見てたらしくて」
「それで涙?まだ暖けーな。ご飯出来てるから、顔洗って来いよな」
「はーい」
私は今、小学1年生だった時6年生だった先輩。チビリーダー…改め智哉さんと同棲生活を送るカップルとなった。―――