屋台二日目
「コウスケっ!私Cランクになったよっ!コウスケは今日どうだった?」
宿屋の食堂。
三人で夕食を摂っている時だった。
「・・・ヨカッタネ。」
エルネの質問にそう答えるコウスケ。
「ねぇ、ロイド?コウスケ何かあったの?」
様子のおかしいコウスケを見て疑問に思ったのか、エルネはロイドに聞く。
「屋台の売り上げが芳しく無かったらしい」
そう答えるロイド。
「へぇ、コウスケなら上手くやるかと思ってたけど」
「エルネ君。誰でも最初は失敗もあると言うものだ。なに、コウスケ君の事だ。すぐに上手くやるさ」
「そうかもね」
そう言って二人は、ボーとしている様にも、何かを考えている様にも見えるコウスケを眺めながら夕食を済ませた。
~~
次の日
コウスケは走りながら屋台を引いていた。
「クソッ!寝坊したっ!これじゃあまた最後尾になっちまう!何でこんな日に限って起こしに来ねぇんだ、エルネのヤツはッ!!」
最近はエルネが起こしに来ていたので油断していたコウスケ。
何の気まぐれか、コウスケが早く出て良い場所を確保しようと思っていた日に起こしに来なかったのだ。
自分で起きなかったコウスケが悪いのだが。
文句を良いながら走るコウスケ。
ようやく辿り着いた最後尾には、昨日と同じパン屋があった。
その隣に自分の屋台を並べるコウスケ。
「何だ若ぇの。てっきり前の方に居るのかと思ってたら・・・昨日より遅くねぇか?」
パン屋の店主が呆れた様に言ってきた。
「・・・寝坊しちゃって」
肩を落としながらそう言うコウスケ。
ここでは昨日の二の舞だ。と落ち込む。
「気合いが足りねぇんじゃねぇか?まぁ、今日は売れるといいな?」
そう言って笑っている隣の店主。
その声を聞きながらコウスケは準備を始めるのだった。
「ハァ、今日もあんまり売れなかった・・・」
片付けをしながらため息を吐くコウスケ。
今日も惨敗だった様だ。
「そんな落ち込むなって。ホレ、残り物だがやるよ。メシまだだろ?」
コウスケを見て惨めに思ったのか、隣の店主がそう言いながらパンを一つ差し出す。
「あぁ、ありがとうございます。じゃあお礼にコレを。こっちも残り物ですけど」
パンを受け取ったコウスケは、交換するように串焼きを渡した。
「オウッ、悪ぃな」
コウスケの串焼きを受け取った店主は、そう言って一口噛じる。
「・・・えれぇ美味いな。これだけ美味きゃ向こうに行きさえすれば売れんだろ?」
そう言って街の中心部を見やる。
「ありがとうございます!」
誉められた事で少し自信を取り戻したコウスケ。
自分も少し遅い昼食を食べようと串焼きを手に取る。
そこで、隣から貰った素焼きのパンと串焼きを見る。
コウスケは徐に具の無い素焼きのパンを裂きだした。
上下二つに別れたパン。
その間に串焼きを挟み、串を引き抜いた。
そこへ、魔法鞄から葉物野菜を取り出し挟む。
最後にマヨネーズを少し掛け、一口頬張った。
「美味そうな食い方してんな?オレも真似させてもらうぜ」
そう言って隣の店主もパンに挟む。
それを見たコウスケは、野菜とマヨネーズを差し出す。
「よかったらコレもどうぞ」
「いいのか?悪ぃな」
そう言ってコウスケと同じ物を作り食べる店主。
「美味ぇな、オイッ!こっち売った方が儲かるんじゃねぇか?」
そう目を見開きながら言う店主。
それを聞いたコウスケは少し考える。
「そのパンって毎日そのくらい余るんですか?」
「ん?あぁ、こりゃあ具も入ってねぇからな。今日はまだ売れた方だ」
そう言って頭を掻く店主。
「明日は早起きして向こうに店を出そうと思います。もしいい場所が取れたら、明日そのパン全部売ってくれませんか?」
「・・・コレ売んのか?」
食べかけだった肉挟みパンを少し掲げ、そう聞いた店主。
「おじさんの舌を信じてみようかと」
ニヤリと笑うコウスケ。
「バカ野郎!オレに責任被せるんじゃねぇよ!・・・まぁ、いいぜ。売ってやるよ」
店主もニヤリと笑う。
「沢山売ってきます!」
「おうっ!楽しみにしてるぞ」
食べ終わり、片付けも終わった二人は屋台を引いて別々に帰っていった。
その日の夜。
宿の食堂で夕食を摂る三人。
「今日は普通ね、コウスケ!沢山売れたの?」
昨日とは様子の違うコウスケにエルネが聞いた。
「あぁ、全然売れなかった」
サッパリと言うコウスケ。
「・・・売れなかったのよね?どうしてそんなに普通なの?昨日はあんなに落ち込んでたのに」
腑に落ちないエルネ。
「明日は売れるからな」
自信に満ち溢れた顔で言い切るコウスケ。
「・・・大丈夫?手伝いに行こうか?」
売れると言い切ったコウスケに、気味の悪さを感じたエルネは心配してそう言った。
「エルネは心配しないでランク上げ頑張れって!大丈夫、大丈夫」
そんな会話をしながら食事を終えた三人。
ロイドは終始本を片手に食事していた事に、二人は気付かなかった。
部屋へと上がったコウスケは、明日は早いと言って早々に眠りに就いた。
態々[創造の産物]で目覚ましを作り出すほどの念の入れようで。
まぁ、この目覚ましは明日の朝。仕事を全うするまでの命になるのだが、それは明日の話だ。
こうして、コウスケの屋台二日目が終わった。




