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次の目的地

翌朝、宿の食堂で朝食を摂る三人。


「何か顎が痛ぇな?昨日何かしたっけ?」


食事を摂った事で顎の痛みに気付くコウスケ。


「昨日あれだけ喋ればそうなるでしょ?」


昨日の帰り道、ギルドから宿まで喋り続けたコウスケ。


それが原因だとエルネは言っている。


「まぁいっか。それで?どうする?」


エルネを見て言うコウスケ。


エルネも何の事か分かったのか


「今?ここで?」


そう返した。


「さっさと済まそうぜ?今日は買い物に行きてぇんだ」


「分かったわよっ」


ここで何の事か分からないロイドが


「何かあるのか?」


そう聞いた。


これにはエルネが答えた。


「コウスケと勝負してるの。どっちが多く稼げるか」


「エルネ君。それはまた無謀な戦いを挑んだな?」


ロイドは直ぐにどちらが勝つか分かった様で、そう言った。


「どうしてよっ?分からないじゃないっ!」


エルネはそう言うが、コウスケはニヤニヤと笑っている。


それに腹が立ったのか


「でっ?どっちから言う?」


ぶっきら棒にそう言った。


「多分、エルネから言った方が面白い」


尚もニヤけたまま言うコウスケにエルネは


「何か納得行かないけど・・・いいわっ!私は7500ギルよっ!」


そう言い放つ。


7500ギル。日本円で七万五千円程。


半日害獣駆除をして七万五千円なら、かなり割りの良い仕事だろう。


そこそこの宿にも八日以上泊まれる。


Dランク冒険者には十分だ。


「コウスケは?幾ら稼いだの?」


自ら地獄へと飛び込むエルネ。


「俺か?俺は450万ギルだ」


それを聞いたエルネは固まった。


450万ギル。日本円で4500万円程。


特許権を売り渡したと思えばこんなものだろうか。


まぁ貰い物のチート能力を使っているので、これがコウスケの実力か?と聞かれれば怪しい所ではあるが、コウスケにはそう言った後ろめたさの様な物は感じられない。


何故ならば


「アレェ~エルネさん?全然勝負になってませんよぉ?桁が違うじゃないですかぁ~」


この通りだ。


「エルネ君。コウスケ君と勝負するならAAAランク辺りまで行かねば張り合えんぞ?」


ロイドはそうエルネに諭す。


「・・・いいわよっ!なってやるわよっ!AランクでもSランクでも、なってやるんだからッ!それで、コウスケをブッ倒すんだからッ!!」


そう高らかに宣言するエルネ。


(えっ?それはどっちの意味で?)


一瞬、Sランクになったエルネに物理的にブッ飛ばされる光景を幻視したコウスケ。


しかし、エルネが高ランク冒険者になどなれる筈が無い。と自分に言い聞かせ


「そりゃいいなっ!Sランク冒険者に、商人に、学者。旅仲間の肩書きとしては十分格好が付くな?」


そう茶化した。


エルネに対してだったのだが、反応したのはロイドだった。


「貴族様に、護衛に、執事の間違いじゃないのか?」


「この前と一緒じゃねぇかッ!メイドが護衛に変わっただけろッ!」


いつかロイドが言っていた冗談を覚えていたコウスケは、そうツッコむ。


「ロイドが執事なんて無理でしょ?」


「エルネがメイドも無理だな!」


この日の朝食は、エルネとの勝負の結果発表もあり、かなり賑やかだった。



賑やかな朝食を終え、宿を出た三人。


この日は三人共、買い物に出掛ける事に決めたらしい。


商業区まで揃って歩く三人。


「そう言えばコウスケ。この街の後はどこへ行くのか決めたの?」


エルネが次の目的地を聞く。


「まだ決めかねてるんだよねぇ・・・どっちがいいと思う?」


「コウスケが決めて!って言ったでしょ?まぁ私が決めてもいいんなら、どっちと言わずエルフの里に向かうけどねっ!」


「うっ・・・ロ、ロイドは無いのか?どっか行きたいトコとか」


エルネに聞いてはマズかった。とロイドに話を振るコウスケ。


「いずれは、と思っている場所ならひとつあるな」


ロイドのその言葉にコウスケは


「おっ!いいねぇ、どこだ?ってか、もうそこ行っちゃおうっ!」


そう言った。


「ちょっと!どうしてそうなるのよ?そんなに里に行くの嫌なの?初めは行きたがってたじゃない?」


コウスケの言葉に噛み付くエルネだったが


「いやいや、ロイドの意見も聞いとかねぇと、なっ?公平にだよ、公平に!」


コウスケはそうエルネを宥める。


「・・・まぁいいわ、時間はたっぷりあるもの!ねぇ?但し、約束は忘れないでよっ!」


そう釘を刺す。


「・・・・・・で?ロイドの行きたいトコって?」


エルネの言葉を聞いたコウスケは、たっぷりと間を取ると話を戻す。


どうやら聞かなかった事にするらしい。


「・・・もう話してもいいのか?」


「あぁ、聞かせてくれ」


コウスケとエルネのやり取りが終わるまで待っていたロイド。


コウスケの向こうに鬼が見えているロイドは、躊躇いからコウスケに確認を入れるが、コウスケは気付いていないのか聞かせてくれ。と言ったので話を進める。


「私がまだこの大陸を旅して回っていた時、風の噂で魔法全般を研究する施設が出来たと聞いた事がある。当時は出来たばかりの研究施設等には興味も湧かなかったが、今も残っているなら話は別だ。そこへ行けば私にとって抜けていると言っていい、400年分の魔法史を知る事が出来るかも知れないからな。まぁ、残っていれば。だがな」


ロイドの話を聞いたコウスケは


「へぇ?何か面白そうだな?」


どうやら興味を引かれた様だ。


コウスケの背後で怒りを露にしていたエルネだったが、ロイドの話を聞いてふと疑問に思ったのか口を開く。


「・・・それって何処にあるの?」


「当時興味を持たなかったからだろう。全く記憶に無い」


エルネの疑問にそう言い切るロイド。


「じゃあダメじゃんっ!」


エルネは呆れる。


「いや。まだ分かんねぇぞ?他の土地に居ても噂が流れてくる位だ。相当大規模な施設だったんじゃねぇか?もしそうなら、今も残ってる可能性はあるだろ?んで残ってんなら、ダンジョン都市みたいに周りに街出来てんじゃねぇか?エルネ、それっぽい名前の街がねぇか探してみろよ?」


そう言った後、地図を持っているエルネに目をやった。


「そんな名前の街あったかなぁ?」


そう言ったエルネは、歩きながらではあったが地図を広げる。


「無ぇか?研究とか魔法とか付いてる街」


「う~ん・・・」


「学問、等もあり得るだろう」


「う~ん・・・」


「学問か・・・おっ!学校とかになってるかもな?」


「成る程。研究施設と教える場が併設されていれば効率はいいだろうな?」


コウスケとロイドの会話を聞きながら、出てくる言葉を探すエルネ。


「う~ん・・・あっ!これは?学術都市」


それらしい名前を見つけたエルネは声を上げた。


それを聞いた二人は


「いや、もうそれだろ?」


「違っていても、興味は引かれるな?」


そう言った。


「どこにあんだ?」


コウスケはエルネに場所を聞く。


「首都から北の方だねっ!どうする?行くの?」


「え?・・・いいのか?」


「私はいいよ?じゃあ、次は首都まで戻って、北ルートで北の港街まで行こっか?」


そう言うエルネ。


随分とすんなり了承したエルネに、少し違和感を覚えながらも


「いや、まぁエルネが良いなら良いけど・・・ロイドもそれで良いか?」


「勿論だ」


こうして旅の予定も決まり、この日は買い物をした後は其々自由に過ごし、明日の出発に備えた。


因に、エルフの里行きが先送りになる事が決まったにも関わらず、エルネの機嫌が良かったのを見たコウスケは背筋に冷たい物を感じたとか・・・。


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