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弓の行方

「どれもこれもこの弓に釣り合う程の代物じゃねぇな!諦めなッ」


店主はそう言い放った。弓はすでに店に飾られ、「非売品」と札が提げてあった。


「そんな・・・」


落ち込むエルネ。


(やっぱりか。こうなる気はしていたが・・・)


店の中でモメても仕方がないので一度外に出て作戦会議である。


「やっぱりダメだったか」


「あれだけの品でダメですかい?こりゃあちぃと難しいんじゃ?」


「私あの弓が無いと困るよぉ」


「・・・もういっそ俺が作っちまうか?」


「旦那がトンデモねぇ物を作れるのはあの石を見て薄々気付いていやしたが、あんなモンの類いを世に出すのは危険過ぎますぜ」


「そうだよ。コウスケがあの弓を越える物を作るなんて考えただけで怖すぎるよ」


エルネには話してあったからいいが、案内人にはあの姿が消える石を見て気付かれていた様だ。


それにしても酷い言われ様である。


「じゃあどうすんだ?」


「元々盗まれた物なんだし力尽くで返して貰おうよ」


(この脳筋エルフめッ!)


「それはダメだ。強盗じゃないか」


「じゃあこっそり返して貰う?」


「それならあっしがやりますぜ」


「今度は泥棒に転職か?」


「・・・冗談ですぜ、旦那」


「無駄話はこれくらいにしよう。・・・エルネ、諦める事は出来ないのか?弓なら俺が作ってやるぞ?」


「あの弓は私だけじゃない、エルフにとって大切な物なの。例えコウスケが全く同じ物を作ってくれたとしてもあの弓じゃなきゃ意味が無いの」


「・・・意味、か。・・・ん?」


(全く同じ物?・・・その手があったか)


「二人ともチョット待っててくれ」


そう言って店に戻っていった。


「待ってよ・・・もうッ」



~~



店に戻ると


「また来たのか?何度来ても無駄だ」


「ここに有る事が分かったからもう諦めるよ。最後に手に持って確かめてもいいか?」


「・・・フンッ好きにしな。ただ、見張ってるからな」


「わかってるよ」


そう言って壁から外して観察する。


「なぁ?あんた初めからこれを売るつもり無かったよな?」


「あぁその通りだ」


「この先俺たち以外にも売るつもりは無いのか?」


「当然だ!ウチの家宝にして俺が死んだら一緒に燃やして貰う。誰にも渡さねぇよ」


「それを聞いて安心したよ」


「・・・訳わかんねぇ事を。さっさと帰れッ!」


店を出てエルネ達と合流する。


「何してたの?返して貰ったの?」


魔法鞄に手を入れる。


(【創造の産物】・・・少し試してみるか?)


全く同じ弓を作り出し、取り出してエルネに渡す。


「あっ!返してくれたのね!・・・違う、これじゃない。コウスケ、さっきも言ったじゃない」


(全く同じ物なのにやっぱり分かるのか?再現出来ない何かがあるのか?)


「わかってるよ。俺の計画はまだ先がある」


「??どうするの?」


「すり替えるんだよ。エルフには分かっても、あの店主には分からないだろ?」


「・・・それも盗むのと変わらないんじゃ?」


「店主にとっては全く同じ物なんだからいいんだよ」


「結局あっしの出番ですかい?」


「俺にはあの石がある事を忘れたのか?」


「あぁ・・・」


「でもでも、あの弓と同じ物を残して行くのはちょっと不安かも。悪い人の手に渡ったら危なくない?」


「俺たち以外にも売るつもりは無いそうだ。しかも自分が死んだら一緒に燃やしてもらうとまで言ってたから大丈夫じゃないか?」


「それなら安心?なのかな・・・」


「よしッ!決まりだ。すり替えは今夜だ」


「それでいいのかな・・・」


エルネは最後まで渋っていた。


そして、深夜。姿を消したコウスケが無事にすり替えた。


翌朝、


「ん~これこれッ!この手に馴染むカンジ、安心するぅ~」


最後まで渋っていたエルネのテンションは高かった。


(一晩寝ると記憶がリセットでもされるんじゃないだろうな?)


念の為、店を見に行ったが騒ぎにはなっていなかった。やはり気付かないのだろう。


ようやく旅を再開出来る様だ。


しかし、今回の事でエルネと旅をする事に色々と不安が多くなった。大丈夫だろうか・・・


この日はそんなエルネを連れて旅の準備をする事になった。


「エルネのテントとか、必要な物買ってさっさとこの街を出よう」


「??必要な物なんてある?私このマントがあれば何処でも寝られそうな気がするよ?」


「それはそうだろうけど。どうせなら快適な方が良いだろ?他にも着替えとか、食器とか」


「快適な旅なんて変なの。旅は不便なのが当たり前だよ?」


「俺は快適な方がいいだよ」


現代日本人舐めんなよッ!不便には滅法弱いのだ。


やけに渋るので「エルフたるもの常に自然と共に・・・」的な何かがあるのかと思ったら


「まぁ正直どっちでもいいんだけどねっ」


との事だった。


「じゃあ行くぞ」


「ハーイ」


買い物は順調に進んだ。テント、食器、着替え、ベッド、イス、テーブル、等々。


家具屋でベッドを選んでいる時は終始戸惑っていたが、後で分かるからと言いくるめた。


細かな買い物が終わると昼時だったので適当な店に入り昼食にする。


「あぁ~疲れた・・・大体何でベッドなんか要るのよ?」


まだ言っている。


「だからその内分かるって」


「そればっかり・・・それで?買い物はこれで終わりなの?」


「まぁそうだね・・・あぁそう言えば馬車を買おうと思ってたんだった」


「ッ!!ゲホッゲホッ・・・馬車なんて買うの?」


飲んでいた水で噎せた様だ。


「大丈夫か?」


「大丈夫よ。それより本気なの?」


「自分のペースでのんびり旅したいしな」


「そんな理由で馬車を買うの?」


「うん」


「うんって・・・コウスケってホント常識が通用しないわね」


(いやエルネに言われたくない)


そう思ったが言いはしない。すっかり食べ終わったので早速馬車を見に行く事にした。



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