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異世界に行ける様です

「オイッ!これで最後だ」


「あ~いじゃあ持ってっていいスか?」


「なるだけ高くって言っとけ!」


「へいへいっと、じゃ行ってきマ~ス!」


軽トラに積み込んだトマトを出荷場に運ぶためエンジンをかけた。


「にしてもアッチ~なぁ」


そう独り言を呟いた男は、松波浩介29才、無職。


トマト運んでんじゃん!って? 違う違う、これはオレが農家やってるわけではなく、オレの叔父がトマト農家なのである。


いつもは叔父一人でやっているが3回に1回位、1日の収穫量が豊作で一人で回せなくなる。


そんな日は叔父から「ヘルプ!!」と電話が掛かってくる。そんな日だけ手伝い、バイト代をせしめているのである。


期間限定尚且つ〈ある時はあるがない時はない〉ため稼げる金額は通しでも10万行けばイイ方である。


その10万のほとんどをタバコに費やし、衣食住は完全に親にパラサイトなのである。故に無職なのである。




「にしてもアッチ~なぁ」


夏の強い日差しの中走り出した軽トラ、慣れた道を走っていると不意に荷台からガタッっと音がした。


「やばっ崩れたか?」


焦って走りながら後ろを確認するが崩れた様子はなかった。安心して視線を戻したときにはもう遅かった。瞬間、意識が途切れた。







目を覚ますとそこは自分の部屋だった。が、違和感がある。


隅に溜まっていたホコリが無かったり、黄ばんでいたカーテンが真っ白になっていたり、まるで自分の部屋を忠実に再現したような。


そんなことを考えていると不意にテレビがついた、そこには白髪に長い白髭のじいさんが映りじっとこちらを見ている。


「ビックリした、え~とリモコン、リモコンっと」


「なんじゃ、案外冷静じゃな」


「リモコンどこ置いたんだよオレ」


テレビの中の人が喋るのは普通の事なのである。


「お前はトマトを運んでいる途中で事故って死んだのじゃよ」


「あった!ってこれはレコーダーのか」


「聞けッッ!こっち向けッッ」


「・・・・・・もしかして神様的な?異世界転生的な?」


「急に物分かりが良くなったのぅ。ワシまだ何も説明しとらんのに」


「転生して何すんの?行き先はどんなトコ?魔法使えんの?」


「ッ待て待て!普通先に死んだ事に取り乱したり、神様って?転生って?ってなるトコじゃろ」


「いーよそんなの!早く行こうぜ!」


「説明くらいは聞いて行ってもらわんと・・・」


「んじゃあ手短にな」


「・・・ハァ・・・おぬしの転生先は剣と魔法が存在する世界じゃ」


「キタァァァ!!」


「・・・おぬしが向こうに行ってしなければならない事は特に無い、好きに暮らすがいい。もちろんすぐに死んでしまわぬように力は授けよう」


「魔王倒せとかじゃないの?」


「んなもんは居りゃせんわ」


「・・・オレ何のために行くんスか?」


「もちろんワシにも意図はある。だがおぬしには強制はせんよ」


「・・・」


「その代わりなにも言わなくてもワシの想いを叶えてくれそうな魂を選んだんじゃからな」


「何でもいーや、早いとこやっちゃって!あとチートよろしく!!」


「力はワシが選んでいいのか?」


「全部任すよ」


「わかった。向こうへ行ったら確認するがいい。では達者でな」


テレビ画面がまばゆく光を放ったかと思った瞬間すでに見知らぬ森の中に立っていた。


(オォ!ここが・・・異世界か?)


木々が生い茂る森の中だが、日本の片田舎の森の中だ!と言われれば見えなくも無い光景に疑いたくもなる。


その時、目の前に一枚の紙がヒラヒラと落ちてきた。拾い上げ見てみると

『無事に着いた様じゃのぅ。とりあえず【ステータス】と念じればいろいろわかる様にしといたから確認しておくのじゃ。


PS 間違っても声に出さぬ様にな、その世界にそんな事できる者は居らんし、見える者はおぬしだけじゃ。あと人前でやると恥ずかしい』と書いてあった。


(あのじいさんか!?普通に声に出そうとしてたから助かったな。よしっ・・・【ステータス】)


すると目の前に半透明の板の様な物が浮かび上がった。


(まんまゲームとかのステータス画面だな。)


そこにはこんな感じで情報が並んでいた。


コウスケ・マツナミ  29

種族   人族

職業   異世界転生人

スキル  

全魔法習得 魔力増大 魔力ブースト 無詠唱 消費魔力半減 魔力回復力増大 生産マスタリー 格闘マスタリー

ギフト 創造の産物 鑑定眼 ボックス 



(オイオイッなんだこれ!この際、異世界転生人が職業かどうかは置いといて・・・魔法に寄りすぎだろ!しかも魔法に寄せといて格闘って!殴るのっ?三角帽子にローブとか着といて殴るのッ??)


「・・・ハァ・・・まぁいいか、十分チートだしな!困るこたぁ無いか。」


そう呟き、あるギフトに目が止まった。


(創造の産物って字違うくね?普通想像の方じゃね?)


すると画面が切り替わり【創造の産物】の詳細画面になった。


(仕様か?それとも鑑定眼か?まぁどっちでもいいか。)


【創造の産物】

一度でも手にしたことある物を魔力を使い作り出す事が出来る。ただし、素手で触れた事のある物のみ。


(・・・便利・・なのか?いきなり聖剣とかは無理って事か。でも増やしたい物があったらガンガン触ってけばいいか。他のは何と無く分かるしいっか。)


「フゥ・・・一服したいがタバコが無・・・作ればいいのかッ!」


早速【創造の産物】を使ってみる。・・・ピカァァァ


手にはタバコが握られていた。しかも、カートンで。


「スゲェ!マジか!?しかもカートン!」


急いでビニールを外し、一つ取り出すと残りをボックスに仕舞い一本取り出しくわえた。


「・・・火!誰か火!」


「・・・・・・・・・」


当然誰も居ない。


(・・・ハズカシッ!・・・でもどうするか・・・火を起こす、のは面倒だし、ライター、はこの世界では無粋だな。まぁアレだな!)


おもむろに指を出した。・・・ボッ


(出たッ!初魔法ッ!)


浩介が使ったのは初級の火魔法だ。本来は詠唱が必要だが無詠唱を持っているので必要ない。


(スパスパスパグリグリ・・・さぁてこれからどうすっかなぁ?)   


とりあえずウロウロしてみようと思い歩き出す。歩きながらどうしようかと考える。


(とりあえず森から出る事を目指して、今日中に無理そうなら野宿かな?薪とか集めといた方がいいな。)


薪を拾いボックスに入れながら歩く。


(ラノベならそろそろ魔物に襲われているヒロインイベントが起こるんだけど・・・)等と考えていると


「キャャァァァァ」


近くで甲高い悲鳴の様な音が響いた。


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