2話 クライマックス・ガール 後編
「大丈夫かい?お嬢さん」
どこからともなく現れたバイクに乗った少女は、真世の目の前にいた獣人を派手に跳ね飛ばし、華麗なターンを決めて真世の目の前に止まる。そして微笑みながら真世にそう投げかける。
「え?ああ、はい」
「怪我が無いならいいんだ、立てるかい?」
金髪の少女が差し出した手を真世は取ろうとする。が、その手は届かない。
「腰、抜けちゃったみたいで、立てないよぉ」
「なんだなんだ、しょうがない奴だな」
「もう囲まれちゃってるし、どうしよう・・・」
「そうだな・・・しょうがねえな、それじゃアタシの勇姿をそこで見てな!行くぜ!SIVADINE、起動!」
『了解です』
バイクから飛び上がり、、叫んだ彼女に呼応するかのように、バイクからも声が聞こえる。そして、バイクが少し膨れたように見えたと思ったら、バイクがバラバラに分裂した!
「え?これはなに?」
「へへ・・・こいつはアタシのとっておきだ!」
バラバラに分解したバイクのパーツが鎧のように彼女の身に着いていく。全てのパーツを身に纏った彼女の両腰からハンドルのグリップ部分のパーツが射出された。それをキャッチして強く握ると、グリップ部分だった部分から光が放出され、光の刃を形成した。
「すごい・・・かっこいい!」
「だろ?なんせ自慢の母さんが作ったんだからな!」
バックパックと両足の装甲が開き、内側からスラスターが展開される。そこから噴出された推力で、彼女は獣人の群れに突っ込んだ!
「振り切るぜ!!」
彼女が光の剣を振り抜くたびに、獣人が一人吹き飛ばされる。少し経てば、立っているのは金髪の少女ただ一人になった。
「すごくつよいのね!」
「まあ、こうやって生きてきたからな、アタシは・・・ところでさ、アンタはどこから来たのさ?」
見知らぬ土地にいきなり飛ばされたため、返答に困る真世は
「日本ってとこだよ」
「知らないな・・・アンタもどっかの世界から飛ばされてきたってクチか?」
「え?」
「なんかな、最近たまにあるらしいんだよ。どこから来てるとかどうやって帰るとかは知らないし、実際に会ったのはアンタが初めてだけどな」
「そんなこと・・・でも、別世界なんてほんと・・・?」
「アンタが異世界転移者なのかどうかは知らないが、世界はいくつもあるらしいんだぜ」
「ど、どどどどうしよう、私、この世界で生きていけるかなあ!?」
「まあ、なんだ。行く当てがないならアタシと一緒に放浪するか?後ろの席は空いてるぜ」
「ほんと?ありがとう!ええと、今更なんだけどさ」
「なんだよ」
「あなたのお名前、教えてほしいな!」
こうして、少女・大綱真世は新しい世界で、金髪のバイク乗りの少女・ラレア・オンフィールドと共に行動を共にすることになるのであった。