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restart  作者: takuto
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1話新たな高校生活

いきなり時間が飛びます。

稜汰りょうた君~」


僕の名前を呼びながら走ってくる彼女は、谷口葵たにぐちあおいだ。彼女は僕ら2年C組の副委員長をしている。僕があまりクラスに馴染めていないのを気にかけてくれている様だ。


「うるさいな…俺のことはほっといてくれ。」


いつものように僕は彼女を追い返す。

僕は今の体に生まれ変わってから、前世の様な失敗はしないと決意した。

1人称も「俺」に変え、トラブルに巻き込まれないように、いつも1人で本を読んでいる。

前世や転生のこともあって、少々のことでは驚かなくなった自信がある。それでも稀に、「僕」と言いそうになる。根本は変えられないということに、悔しい半面、僕は僕で良いんだ、と嬉しくなった。

顔や声が違うのにもずいぶん慣れた。今では前世よりも気に入っている。

彼女は嫌いじゃないけど、あまり人に関わりたくない僕にとっては、有難迷惑ありがためいわくだ。


「またまた~本当はかまってほしいんでしょ~?」

「…ほっといてくれ。あと名前で呼ぶのやめてくれないか?あまり好きじゃないんだ。」


僕が素っ気なく返すと彼女はしゅんと落ち込んだ。


「はぁ…分かったよ横山君。そうそう、来週のクラス会には参加してよね。いつも来ないの横山君だけなんだよ?」

「分かった分かった。」


それだけ言うと、彼女は自分の席に帰り菊地さんと喋りだした。菊地千晶きくちちあきは僕の中学校の時から同じ学校に居た知り合いだ。たまに僕にも話しかけてくれる。


「おいおい、お前あんな可愛い子に対して、それはダメだろ~。」

まことはダメかも知れないけど、僕にとっては別にいいんだよ…」


真がいつものように話しかけてきた。新井真あらいまことはこのクラスの委員長をしており、面倒見が良く、中学の頃からクラスで浮き気味だった僕によく話しかけてくれる。

僕は次の5時限目の授業の用意をしながら答える。この体に生まれ変わるまでは、高校生をしてたから、今まで勉強にはすんなりついてこれた。しかし、これからは今まで以上に勉強をしなくてはならない。友達と話している暇などないのだ。


「お前なんか考え事してる?…お前ってマイペースだよな…誕生日プレゼント、ここ置いとくぞ。」

そう言って真は新しいシャーペンと消しゴムの入った袋を置いた。

「お、ありがとな。そろそろ戻ったほうが…ほら、チャイムなってるぞ」


僕はそう言って彼を追い返す。彼が毎年くれる誕生日プレゼントには、毎年この季節の花を添えてくれる。…女子力高ぇなオイ…。

今年は紫陽花あじさいで、持ち帰りが大変だったが、とても嬉しかった。

授業が終わり家に帰ると母、横山邦恵よこやまくにえと父、横山恭弘よこやまやすひろが出迎えてくれていた。


「「ハッピーバースデー、りょう!!」」


この光景を見ると感じる。今年も誕生日が、6月6日が来たようだと。そう言えば、前世より長生きしてるな…毎年祝ってくれるのが恥ずかしく、顔が少し赤くなる。


「ありがとう、父さん母さん…」


僕は小さな声で言った。


「わわっ、どーしたのこれー!」


この家の暴君、僕の妹の横山彩香よこやまさやかが帰ってきたみたいだ。


「あ、そっかー今日はお兄ちゃんの誕生日だー。おめでとう!」

「あぁ、ありがとうな。」


こんなに可愛い妹に言われると少し嬉しい。


「賑やかだから、ウチのお兄ちゃん(ゴミいちゃん)にやっと友達ができたのかと思ったよー」


前言撤回。とても酷い妹だ。


「俺にも友達くらいいるよ!フッ見ろ、友達に貰った誕生日プレゼントだ。」


そうして僕は真に貰ったシャーペンと消しゴム、それから紫陽花を見せた。


「ハッ、どーせあの新井真て人でしょ。彩香あの人嫌ーい」

「お兄ちゃんはいつも…ごにょごにょごにょ……」

「?最後聞こえなかったぞ。もう少ししっかり言ってくれ。」

「ゴミいちゃんにはもう言わない」


彩香は顔を赤らめてそういった。


「今日なんかお兄ちゃんに対して当たり強くないか…」


そんなやり取りをしているうちにご飯ができた。今日は僕のリクエストの鯖の塩焼きだった。

他にプレゼントやバースデーケーキはないので、静かな誕生日だったが、家族皆で食事をしながら会話するだけで十分楽しかった。そして僕の1日は終わる。父と母と妹に祝われた日が、この体に初めて転生した日、転生日が終わる。そして僕は17年間欠かしたこと無く今年も呟く。



「 リスタート 」




なにか無くてもコメント下さい。

週1投稿目指してがんばります。


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