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『オレのハーレムと夜の生活』オレは自分でカラダを動かさない

『オレのハーレムと夜の生活』オレは自分でカラダを動かさない


 水族館を引き上げたオレは別宅へ向かうべくしてナカジマに車を走らせた。


「みーかの様子は?」

「落ち着いていますよ。と言うよりカウンセラーの話ではもう彼女の心は十分回復しているし、今日の様な襲撃があって驚かない方が異常で、心乱されるのは当然の事。むしろ、あのぐらいで済んでいるのが不思議なぐらいだそうです」


 確かにその通りなのかも知れないが、オレの回りも普通じゃない。

 彼女の前であんな事が起きるのは今日に限った話ではない。

 だからといって彼女ももう慣れているんだろうとはオレには思えない。

 彼女は強がっているんじゃないかと思えて仕方が無いのだ。

 だがオレはそんな考えを口に出すことはせず頷くだけに留めた。


「そうか」

「はじるしはみーかに対して過保護過ぎるのでは?」


 この話はこれで切り上げたいのだがナカジマはそうさせてはくれない様だ。

 だから、もう興味が無いと見せかける為にこれに対しても頷くだけに留める。


「そうだな」

「はじるしはいつも、貴方とみーかの関係は義理の兄妹でそれ以上でもそれ以下でもなく、その距離は友人程度だとおっしゃっているじゃないですか」


 どうやら本格的にお説教は続く様だ。

 オレも、覚悟を決めてまともに対応するべく思考を働かせる。

 ナカジマの言う通り彼女にはいつもそう言っているし、そうあるようにオレは振る舞っている。

 関係を強めたいと思うが、立場や金や権力でみーかの意志を潰して得られるような関係になりたい分けでは無いとも言っているんだが。

 ああ、しかし彼女の事で常に頭がいっぱいと言う意味でみーかにとって重いという話か?


「オレはみーかが大切でしかたないんだがそれは悪い事なのか?」

「さあ、どうなんでしょうね? ああっ! 今日は頑張ったのに派手に失敗したところでしたね」

「うるせえよ。何でお前今日はそんなに刺々しいの?」

「いつもの事ですが?」

「いつもの三倍は刺々しいわ」


 ああ、これはお説教じゃなくて八つ当たりと言うモノなんじゃないか。


「そうですね。みーかが心配なら付き添えばいいのにそれをせず、様子をみに行く出もなく」


{およそ五分でオレのハーレム御殿みーかには内緒な! に到着します}


 カーナビがナカジマの言葉を遮り、奴までもオレを責め立てる。

 冗談で言ったつもりだったのだが、本当にナカジマはこれをカーナビに設定して変更してはくれない。 


「あまつさえ、他の女のところに行くなどと言われればつのる物も当然あります」


 だがしかし、毎日作られ溜め込まれるモノから生まれる思いをぶつられる者が必要なのでこればかりは仕方が無いと割りきってもらいたいものなのだが。

 罪悪感が無いのかと言われれば当然あるしやめなければならないとも思う。

 だから、オレは今日はやめようかと切り出そうとするが。


「じゃあ……」

「いいえ、それも困ります、貴方に奉仕する事で対価を得る女の子達はもとより、スケジュール変更で一体どれだけの人間が迷惑被ると思ってるんですか。貴方の身は軽くはなく、貴方の回りには多くの人間が貴方にひもずけられて振り回されているんですよ?」


 ナカジマはオレにどうしろというのだ。


「想定はしているんだろ?」

「システムそのモノを変えていただきたいのですが?」

「変えればいいじゃないか」

「良いのですね?」

「あ、やっぱなし! オレとみーかが結ばれる日が来るまでは今のままで我慢してくれ」

「来るんですかねそんな日は?」

「お前……」

「さあ、付きましたよ? 思う存分すっきりしてきてください。朝には貴方を本宅のベッドの上に転がして起きますので」

「お、おう」



 車を降りたオレを出迎えるのは被る事なく着飾り付けられた女の子達。

 整列し2列に分かれ道を作る彼女たちは、オレが道を歩き、通りすぎて少しすると道の外側を駆け足で通り抜けオレを追い越し建物の中へと入っていく。

 

「おかえりなさいはじるし。ご夕食の前にまずは運動を」

「ああ、頼む」


 建物の前で待っていた女、ここを任せている女だ。

 名前は知ら無いし覚えるつもりもない。

 それは彼女だけで無くここにいる全ての女の子たちも同じだ。

 オレはみーか以外の女と思いでは作らない。


 女は、オレをトレーニングルームに案内すると専用の台に座らせ女の子を呼びつけオレの服を脱がせる。

 そして、動きやすいようにトレーニングウェアに着替えたオレは台に横になり眼前に備え付けられたディスプレイでニュースや明日の予定などを確認する。

 ニュースといっても大衆向けに創られたモノではない。オレがオレの為に作らせたもので、興味を引くように操作されてもいないし感情を煽り立てるものでもない。

 淡々とした情報が並べられているだけだ。

 

「っしょ、っしょ、痛くないですか? 不快じゃないですか?」


 オレの四肢にあてがわれた女の一人がオレのカラダを動かしながらそう問うてくる。

 時間は有限だ。

 オレはトレーニングするのに自分でカラダを動かす事はしない。

 女の子たちにやらせるのだ。

 その間にオレは情報を得る。

 これがオレのスタイルだ。


「悪くないそのまま続けてくれ」

「はい」



 それが終われば今度はフロだ。


「失礼しますね」

「ああ」


 台はそのままにトレーニングルームからバスルームに移動したオレのトレーニングウェアを女の子たちがぬがしていく。

 移動といっても、ガラガラと台を押して等とマヌケなことにはなったりしない。

 トレーニングルームの一部がエレベーターになっていてそのまま下の階がバスルームになっているのだ。

 オレは女の子がオレのカラダを洗う最中もディスプレイから目を離さず彼女たちを瞳に移すこともない。

 石鹸を塗りたくられごしごしとしごかれて行くがオレにとっては自分でカラダを洗うのと変わらず、特に思うこともない。

 別にこれが初めてと言う訳ではないのだ。

 オレは毎日ここに来ている。



 泡の一つも余計な香りも残さずに洗浄されたオレはバスローブを掛けられ、今度は自分の足でたって食堂に向かう。

 流石にねころがったまま飯を口に放らせる様なことはしない。

 ちゃんと食卓にすわって女の子に飯を口に放らせる。


「あーんしてください」

「……」


 いや、これは慣れない。

 恥ずかしいし、みーかに対する背徳感があってだな。

 しかし、くわぬわけにはいかぬので口をあけて放らせる。


「おいしいですか」

「ああ」


 味は悪くないが、こうして喰うのは頂けないな。

 食事はトレーニングと違ってニュースを見ながらというわけではないので放らせる必要はないしこれはやめさせようと頭に留めておく。

 何を思ってオレはこんな事をさせようと思ったのかと後悔する。



 そんな後悔の時を終えれば夜のマッサージだ。

 凝り固まったコリを解し、翌日には疲れを残さない。

 オレは日々戦場にいるような忙しい生活を送っているのだ倒れるわけにはいかないのだ。


「やあ、やじるし待っていたよ。私が誰だか分かるかい?」

「ん? お前は?」


 オレに馴れ馴れしく声を掛けてくる女。

 ここの女にオレはそんな事を許してはいない。

 しかも、彼女はオレと面識があるという素振りを見せている。

 だがオレはこの女を知らない。

 いや、知っているのか?

 初めてあった訳ではない気がするが、オレはオレと出会う女の事など記憶に残さない様に努めているからそんなことは珍しいことではない。


「いや、わからないならいいんだ。すまないね」


 そう言って女はオレのカラダを解し始める。

 気になるところのあった女だったが特にそれ以上何も言わなかったのでオレはそのまま続けさせた。

 女の腕は良く、オレは……。

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