『散らされたブラウス、剥がれたスカート』みーかの貞操とココロの傷
『散らされたブラウス、剥がれたスカート』みーかの貞操とココロの傷
それは、オレが能力を使って本格的に稼ぎ始め、ようやく型にハマりビジネスとして成立し、軌道にのったところで、まだオレにまとわりつく霧を充分には払うことの出来なかった頃の話だ。
それでも、オレの能力を求める奴らは後を耐えず、オレは忙しい日々を過ごしていた。
そんなある日の事。
「私のお父さんが話したいことがあるみたいなんだ。突然で悪いけど都合着かないかな?」
なんて、みーかが珍しくオレにお願いなんてするものだから能力にまつわる話だろうととあたりをつけ、深くは考えずに承諾することにした。
幼なじみのお父さんといってもあまり面識がない。
オレたちがまだ幼い頃に何度か顔をあわせた事がある程度でどんな感じだったかも覚えていない。
「おう。構わないけどいつの話だ?」
「今からなんだ。急でごめんよ、私もさっき頼まれたばかりで詳しいことは分からない」
「問題ないよ」
そういうわけでオレたちはみーか家に向かった。
いつもなら警戒して何人か同行させたところだが、まさか幼なじみの家にそんな物臭な奴らを連れていくのは気が引けてたので二人で切りだ。
その結果がこれだ。
「んんっ、うっ、嫌っ、やめてよ! ううっ、どうして私にこんなことするの」
オレの目の前で脂肪のカタマリがみーかをその有り余った腹で取り込む様に押しつぶして押さえつけている。
たまらずオレは叫んだ。
「やめろおおお! みーかを放せ!」
「うるせえ! 殺すぞ! 暴れるんじゃねえ」
オレの左手をひねりあげ、右手を押さえつけながら、膝で踏み付け押さえている男が声を荒げた。
殺されたって構うものか。
このまま見ている事しか出来ないなら死んだ方がましだ。
しかし、いくら暴れてみても一向に男の手から逃れられる気配は無い。
「君は私にどうしてこんな事をするのかと言ったな? それはな、そこの男が気にいらないからだよ。もっとも、君の様な女の子を弄ぶのは私の趣味だがね」
脂肪のカタマリはそんな事をのたまうとみーかのブラウスを無理やりにはぎとると更にスカートに手を掛ける。
「やだ、やだ、やだ! いやだよ! やめてよ!」
ふーっ、ふーっ、ふーっ。
見ていて興奮したのかオレの上に乗った男の鼻息が荒い。
オレの首筋や耳にそれが掛かって本気で気持ち悪い。
「君は両親に売られたんだ。結構したよ。2000万だ。叫んでないでサービスするべきなんじゃあないのかねえ。嫌がる少女を無理やりというのもたまらんものがあるがね」
たかが2000万で娘を売るのか。
そんなわけ無いだろうとオレは考える。
しかし、それまで必死にスカートを抑えていたみーかが、心当たりでもあったのか、その言葉を聞いて脱力しスカートをはがれてしまう。
「私が売られた? 売られた? 私が?」
「耳を貸すなみーか!」
しかし、オレの言葉はみーかに届かず下着まで許してしまう。
「あっ! ダメ! だめぇえ!」
みーかはっとしてようやく最後の砦を抑えるがもう遅い。
「うぴぴぴぴぴ、いい、やはりっ、女は若ければ若いほどっ、いいっ、最高だ!」
「やっ、や、やめっ、てよ……。うっ、ううっ」
脂肪のカタマリは、みーかの上で、気持ち悪い腹を前後にたゆんたゆんと揺らしながら気持ち話うい声で笑う。
その時、とうとう来ると頃まで着てしまったため、オレの上に乗った男ももうオレが暴れる事もないと思ったのだろう、男の腕がゆるんだ。
「おあああああああ!!」
「あっ! てめえっ!」
ごきっ!
捻り上げられた腕からこの室内に届く程の音がなり、オレの左腕がいかれる。
しかし、事はなせた。
男は慌ててオレの腕を持ち直そうとしたため手と手が触れた。
オレはこれを待っていたのだ。
「転生」
オレは経った一言早口でそう呟いた。
いつもなら一言で能力を使うことなんて間違ってもしない。
酷いことになるから。
「ぎゃああああああ!」
男は男は地の底にあるであろう門を目指して地に沈んだ。
「な、なにを?」
脂肪のカタマリが行為を中断して驚愕する。
それはそうだ、オレはこれを誰かに見せた事などない。
オレの手に触れただけで相手は何の痕跡も残さずに消滅する。
こんな事いえるわ毛が無いだろう。
いくらオレでも社会に存在を許されなくなる。
転生させる能力そのものもこれに近い、しかし、いつもはそれを悟られ無い様ゆっくりと呟いている。
もっともまだそのあたりまで勘付くやからは現れていないが。
「お前もくだばれ!」
オレは脂肪のカタマリに駆け寄ると右腕をその鼻めがけて打ち出した。
オレの突きなどたかが知れているし勢いもない、だから鼻を狙った。
「ひぁっ!」
脂肪のカタマリは反射的に鼻を手でかばう。
すると必然手と手は触れるのでーー。
「転生」
「あぁぁえ? あああああ? あぎぎぎ! あああー!!」
かくして完全犯罪は成立し、男二人は地の一滴も残さずこの世から消えてなくなり、みーかの貞操も本当にきわどい所で守る事が出来、一件落着……。
とはいかず。
「こわかった! こわかったよ! ううっ。あーん!」
みーかの心に傷をのこしてしまった。
更には。
「嘘……。だよね?」
事はそれだけでは終わらず、住宅ローンに自動車ローン、あらゆる金融機関、友人、家族、親戚、果ては税金の滞納から、各種公共料金の請求まで。
合わせて約1億9千万円の負債が彼女の身に降りかかる。
無論全てオレが片付けたが、この事実は彼女に十二分の追い討ちを駆けた。
二度とこんな事になら無い様彼女を法的に物理的に彼女と引き剥がし、オレの親に頼んで養子にいれてもらった。
だから、彼女はみーかはオレの妹なのだ。