頑張った俺を誰か褒めてくれ
お久しぶりです。
こちらの方に創作意欲がわかず、少し間が空いてしまいました。
「彼は次回作に出てくる攻略者なの。でも、今回みたいなほのぼのとした学園恋愛ゲームじゃなくて、恋愛とアクションを交えたゲームなのよ。確かゲームの開始は彼の国で革命が起こるところから始まるの。あの様子じゃ彼女も次回作が出る前に来ちゃったみたいだから、この先のことは知らないみたいね。」
俺が近づいてきたことにすぐに気がついた王妃は会場のすぐ近くにある部屋へ俺を伴って移動する。
そして、先ほどの爆弾発言。
完全に眼中になかった……。
確かに仲良さげだなとは思ったけど……。
一応、あんなでも友人はいたしある程度仲が良かったようだ。
まぁ、時々不可思議な言動や行動には疑問を持っていたようだけど。
それより
「俺の今までの頑張りは・・・」
「お疲れ様」
俺の疲れ切った言葉に王妃はサラッと声を掛けてきた。
いや、でも結果オーライってことだよな。決して俺の頑張りが無駄になったわけじゃない!・・・と思いたい。
というか、だったら早くあいつを連れて行ってくれれば良かったのに。
「今じゃなきゃ駄目だったんでしょ。あの子がこの国では使えない、むしろ悪影響があるという印象を持たせなきゃ、いくら異世界人が国を出られるとはいえ他国のしかも王族についていくなんて簡単には通らないでしょ」
たぶん陛下も許可を出すと思うしねーと、俺の考えなどお見通しなのか王妃が話し出す。
俺も今の話を聞いて少し冷静になる。
確かに今じゃ無くて良かったと思うが、面倒ではあったと思う。
異世界の情報が国の役に立つなら手放すのも惜しい。だが今回の騒動もそうだが、これまで何かマナミの知識が役立ったかというと正直微妙ではあった。
一瞬でその場面を記録できる機械だとか食べ物はこんなのがあったとか話していたが、正直どういうメカニズムで出来ているか、どう料理するのかなど肝心の詳細をマナミが分かっていなかった為、初めは興味を持たれたが結局全て実現は難しいと終わってしまった物が殆どだった。
もしウィルという青年がこの結果も踏まえて時期を見ていたとしたならば、今がその最大のチャンスだろう。
今までのことを踏まえ状況を整理している俺に対し王妃は優しげな表情をこちらに向けてくる。
「後の事は陛下たちに任せなさい。どちらにしても、彼女がこれ以上あなたたちに関わることはないわ」
「姉さん・・・」
そうだよな。もう良いんだよな。
これ以上ヒロインだとか次回作がどうとか、それは俺がどうこうすべきものではない。
そっか、もういいんだ。
そう思うと一気に体の力が抜ける気がした。
こんなに体に力が入っていたのかと思うほど、無意識の内に体が強ばっていたらしい。俺は近くの椅子に座る。
そうだ、姉さんにもお礼を伝えないとな。
俺は改めてお礼を言う為、床に向けていた視線を姉に戻す・・・が、何故か王妃は先ほどの優しげな表情とは違い、何か企んでいるような不気味な笑みを顔に浮かべていた。
「ね「というわけで、これから気兼ねなくティファナとラブラブになれるわね!」
「・・・・は?」
呆然としている俺を放置して、王妃は一人語り出す。
やっぱり断然ティファナよね!あ~ゲームでは見られなかった王子とティファナのラブラブストーリーがこれから始まるのね!!しかもそれを間近で見られる王妃ポジションっ!なんて最高なの!あ、別に邪魔するつもりは毛頭ないから安心して!私はいつでもそっと陰から見てるだけだから!!だから心置きなくラブラブイチャイチャしていいのよ!そうだわ、今度陛下と一緒にクラスチャーナへ視察があるんだけど、あんた達も一緒に来なさいよ!これ決定ね。クラスチャーナといえば、海沿いの町だから海でのイベントが盛りだくさんよ!普段は服で隠されてる体をお互いが見れる絶好のチャンス!これを活かさない手は無いわ!大丈夫その時も私は岩場の陰からそっとじっと見てるだけだから。遠慮無くガンガンいっちゃって!!そうとなったら、陛下に相談しなくちゃ!!
一気に最後まで話したかと思うと王妃は足早に部屋を出て行った。
・・・うん。姉は今も昔も姉のままだ。
人の話は聞かず、勝手に進めていって、しかもそれに人を巻き込んでいく。
というか
「見るのは決定なのか」
俺は椅子に全体重を預け天井を見上げた。
これから先、今までと同様いやそれ以上の努力が必要になることは確実だった。
なんで姉、いや母親に対して、自分と婚約者の逢い引きを見世物にしなきゃいけないんだっ!!
作中で王妃となっていた部分は姉に変更しています。
これ以前のものも少しずつ変更していきます。
あと一回で終わりのはず・・・。




