それは唐突に。
読んでる内に書きたくなったので、書き出してみました。
転生、悪役令嬢もの!
とにかく趣味に走ります!
「あ、」
「?どうかいたしましたか?殿下?」
「…すまない、少し目眩がしただけだ」
「まぁ!大変ですわ。お部屋にお戻りになって休まれた方が良いのでは」
「あぁ、すまないがそうさせてもらう」
どうぞ、お気を付けてと見送られ、まっすぐに学園内にある寮の自分の部屋へ足早に向かう。
そして、自分の部屋のベッドに座る。そこで今しがた思い出した内容を整理する。
あー…ちょっと待って。
あ、うん、そうだったな。あー、てことは、俺攻略対象じゃん。え、マジで?あのヒロインにアタックされるの?
えーマジ勘弁。あいつ、見た目はとりあえず可愛いのに、性格メチャクチャだし。
いや、でも俺狙いじゃないかもしれないし。他のキャラもそれぞれ人気があったはず、まぁ一番人気は俺だったけど。
あ、ナルシストとか自意識過剰ってことじゃなくて、俺こと『ルーティクス王国、第二王子 エリオット』のこと。
てかティファナ、マジ美人だったなぁ、今はまだ幼さも残ってはいるけど、充分美人の類に入る。もっとよく見ておけば良かったっ!
ゲームより実物の方が良いよなぁ、やっぱりタイプだわ。
今さっきまで一緒にいた俺の婚約者に想いを馳せ、顔がにやけているのがわかる。
端から見たらどうしたっ?!って思われるだろうが、今この部屋には俺しかいない。つまりどれだけ可笑しな行動をしようが、表情をしていようが関係ないということだ。
まぁ、普段は物腰が柔らかく、それでいて決断をする時ビシッと決める。正に王子様のような…いや正真正銘王子なんだけど。
それは容姿でも言えることで、日が当たると本当に輝いているように見える金髪に王族にしか受け継がれないというコバルトブルーの瞳、うん、俺イケメン。
なんで、俺がさっきから自分のことを他人事のように考えたり、攻略対象やらヒロインなんて言葉が出てくるかっていうと、俺が転生者だってことをさっき思い出したからだ。
いつ、なんで死んだかなんてことは覚えていない。
ただ、何故かこのゲームのことだけははっきりと覚えている。
それこそ、ストーリーから、攻略対象の攻略法、エンディングまで。
ここで一つ、前世が女だったわけじゃない、とりあえず記憶にあるのは健全な男子高校生だった。もちろん、そっちの趣味があったからということでもない。
じゃあ、なんで俺がここまで詳しいのかと言うと、それは姉のせいだ。
5つ上の姉がこのゲームをとても好きで、好きで…男の俺に熱く語ってしまうくらい大好きだった。それこそウザいくらいに。
それくらいで、攻略法まで覚えているものかと思うだろう。
俺は実際にプレイもしている。それも何度も。俺も好きになった…というわけではなくて、そもそもはこのゲームの特性にあるのだ。
なんでも、姉いわく一回その人のルートを行っただけでは全てのイベントは起きず、またスチルもコンプリート出来ないのだとか。
そこで、俺が駆り出されたというわけ。
つまりある程度まで進めていってイベントが起こる前でストップしておくという作業をさせられたのだ。(もちろん、イベントは先に見た姉に後でじっくり語られながら見せられた)
そんなに好きなら自分で進めた方が良いのではという意見はもっともだ。俺も初めはそう思った。だが、一回目をプレイして何故姉が俺に命れ…お願いしたのかがわかった。
ヒロインだ。
このヒロイン、設定では異世界(現代日本)から来て国に保護されるわけだが。その性格が「純粋」「明るい」「物怖じせずに誰とも仲良くなる」と、ありきたりな感じだった。
それがゲームを進めていくと、まぁ酷い。
初めこそ異世界にいきなり来て不安な様子があり、涙ぐみながらこの世界でも頑張ろうとするところまでは良かった。
その後、学園(今俺がいるところだ)に入り、国の歴史やら礼儀作法なんかを学んでいくわけだが…
確かに王族だの貴族だの肩苦しいことも多い、今はさほど多くないが王族である俺に取り入ろうとする輩もいる。
そういったただ楽しいだけの世界ではないわけだが、ヒロインは元の世界を基準に「これは可笑しい」「何故そんなことをしなくてはいけないのか」など口に出していくわけだ。
この時点で俺は、ないわぁ~、この世界観をちょっと考えたらわかるだろ。てか、ここで日本の法律出すなよ。っと突っ込んでいた。所詮ゲームと思いつつも突っ込み所満載過ぎて笑えた。
そして、俺がもっともこいつないわぁ~と思ったのが、エリオットルートのエンディング直前の断罪場面。
そこでエリオットの婚約者のティファナが俺や俺の友人(攻略対象)たちから断罪され、学園から追放されるというものなのだが、ヒロインがされた罵倒や中傷といったものは、ヒロインとしてゲームをしてきた俺は全てを見てきた。だが、その内容は「婚約者がいる方にむやみに近づいたり気軽に触れたりしてはいけない」だの「貴族には貴族のしきたりがある」だの言ってしまえば、正論しか言っていない。まぁ多少の嫉妬ともとれる言動はあったが、それは婚約者として、まして想いを寄せている相手のことであるならば仕方ないといえる範囲だったし。
見た目も中身もタイプのティファナを何度も断罪しなければいけなかったのは、本当に心が傷んだ。それとは、逆にヒロインに対しては憎しみ、とまではいかないまでもなんの興味も持たなくなっていった。
どうやら、ヒロインに対しては姉も同意見だったらしい。世間では純粋で可愛いとか好評だったらしいが、まぁひねくれた意見を持った者もいるということだ。
そんなこんなで、俺はとても詳しくなってしまった。登場人物のプロフィール位は余裕で言えてしまう位に。
と、そこまで来て俺は考える。
確かヒロインが現れるのは冬の長期休みが明けて、少し立ったくらいだったはず。
この学園は一年の間に、日本の学校と同じような夏休みや冬休みにあたる長期休みがある。今は丁度冬の長期休みが明け、学園に戻ってきたところだ。
…来る。
ここがゲームと同じならば、日付からみてヒロインが来るのは…明日だ。
うおぉぉ、マジか!!
まだゲームだったからそこまでムカつくとかなかったけど、あれが現実として現れ接してきたら…
うん、ムカつく☆
よく攻略対象の男たちはあれに落ちたな。
でも、俺は前の記憶が戻ったからそう感じるが、この世界では斬新というか、今までなかった存在として興味を持つかもしれない。
ゲームでのエリオットはティファナに対し親しみは持ってはいたものの恋愛感情までは持ってはいなかった。ヒロインと出会い初めて恋に落ちるという設定だった。
…でも、それはあくまでゲームの設定だ。
俺は違う!
俺は、ティファナとラブラブになるんだ!!
王は10上の兄がなることは、既に決定しているから、学園を卒業後はティファナと一緒に王となる兄を支えていこう。
ヒロインが誰ルートを狙うかは分からないが、俺はティファナと甘い生活を目指します!
なので、ヒロインちゃん君のことはサラッと流させてもらいます。
突発的なものなので、いつ更新するかは気分次第になるかもしれません。