落として落とす!リアルラック!
短いです。
なんかもう…すいません。
月一更新にします
パッ、と景色が切り替わると、俺は噴水のすぐそばに立っていた。
周囲からの奇異の視線をなんとなく感じる。
当然だ。何せインナー装備だもの。
このゲームの特徴として、PvPで敗北したプレイヤーのアイテム、もしくは装備一式はその場でランダムにドロップする仕様となっている。
さっきのをPvPにカウントするのはどう考えても無理そうなものだが、一応そういう扱いになっているらしい。
非常に納得できないが。
そんなわけで、まずはロストしたアイテムの確認が必要だ。
震える指を何とか落ちつかせ、パネルを呼び出す。
・所持金
0G
・所持アイテム
なし
・装備可能アイテム
なし
「えぇ・・・・ちょっ、えー・・・・・」
いやな予感はしていたが、なんと俺はアイテムはおろか、所持金まで完全にロストしてしまったらしい。
確かドロップは完全ランダムのはずだから、これが起きる確率はまさに奇跡に等しいレベルなんだろう。きっと。
全然嬉しくねぇけどなぁ!
もはや乾いた笑いしか出てこない。
フラフラとした足取りでギルドに入る。
「おい…あいつさっきの布装備野郎じゃね?」
「あー・・・おそらくPKでもされたんだろーな。ご愁傷さまだぜ」
心なしかギルド内がざわついている気がする。
当然だろう。インナー装備でギルドにくるのはタダの変態ぐらいしかいない。
傷心状態で人と会話したくなかったので、NPCの受付に並ぶ。
必死に恥ずかしさを我慢しながら待つと、ようやく俺の番が来た。
報酬を受け取り、ついでにそれで低級回復薬を5つ程買ってギルドを出る。
ちなみに、低級回復薬はギルド価格で一本50Gである。
今回の報酬は250Gだったので、再び一文無しになってしまった。
武器は一番安い木の棒で300G。
装備は一番安い皮の鎧が350G。
一文無しのビギナーには厳しすぎる世界であることをよーく実感できる。
転移ポータルを通り、ついたのは『始まりの草原』。
周囲を見渡してみるが、さっきのPK野郎どもはいない。
ついほっとしてしまった自分がかっこ悪くて嫌になる。
だが、それも俺がもっと強くなるまでの間だけだ。
今はレベリングと資金稼ぎに集中することにする。
ゲームセンス皆無の俺がしかも武器無しで倒せる敵はブルスラとその派生ぐらいしかいない。
ここは堅実に、ブルスラのみを狙って戦うことにした。
「そうと決まれば・・・おらっ!」
近くにいた個体に狙いを定め、思いっきり足を振り下ろす。
なんともいえない感触を足の裏に感じたが、何度も押し付け続けると、それもすぐに消滅した。
次、近くにいた別個体に不意打ちを行う。
「ふんぬっ」
ぐりぐりして倒す。
踏みつけ。「ほっ!」ぐりぐり、倒す
踏む「ふっ!」ぐりぐり、倒す
ぐっ、「…」ぐりぐり、倒す…
そんな単純作業を夢中になって三時間も続けると、レベルもすでに8へと上がっていた。
低級回復薬も尽きたため、いったん街へ戻ろうと転移ポータルが設置されている場所へ移動する。
そして移動を開始した瞬間、すごい勢いで何かが俺に突っ込んできた。
「なにこれちょまっ」
避けられるはずもなく、めでたく本日二日目の死亡。
そして俺を跳ね飛ばした何かは、そのまま猛烈な勢いでどこかに走り去っていってしまった。
そしてばら撒かれる所持金。
一周回ってもう笑えて来る。
「ハハハハハハハハハハ…」
蘇生待機時間が切れ、俺は街へと死に戻った
REAL BREAK ONLINEキャラ紹介
「ぶるすらーまん」
弱きを助け、強きをくじく。らしい
外見は、ブルスラがヒーローっぽいマントをまとっただけ。
名前の間抜けさとあいまってマスコット的立ち位置に収まっている。
ゲーム内では、「始まりの草原」で「ブルスラ」を「六時間以内」に「百体以上」倒すと「0.01%」の確率で出現する。
ちなみに倒すことも可能だが、まずプレイヤーでは反応がほぼ不可能な速度に加え、経験値がブルスラ以下ということもあり、まず手を出すものはいない。
万が一倒すと、成長し復活して襲ってくる。
このほかにも、特定の種族狩りに対するアンチ枠が多数存在している。