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異能を使って行うこと  作者: ノミの心臓を持つ男
第一章 異能覚醒編
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思想具現化

 八千代の部屋を後にした僕は、寝ているマシロを布団に寝かせた。

 八千代の言葉が正しければ、自分には思想を具現化することができる。

 剣とか銃とかを考えたが、そんなものは具現化しなくても存在する。

 もっと自分にお似合いのイメージを考える。


 自分の事を見つめると、どうしてもイジメが頭に浮かんできた。高校生活はほとんどがイジメと共にあった。

 イジメられた原因は人を助けたことだった。

ヒーローにでもなりたかったのかもしれない。

 僕自身イジメられているときにヒーローが助けてくれたならと、何度考えたことか……そんな者は存在しない。この世界に正義なんてありはしない。

 そんなことを思い出していると、一つのイメージが浮かんでくる。


「自然発現型の力さえ打ち勝てたなら俺は最強になれるんじゃないか?」


 単純な思いだった。

ただ強くなりたい。最初に願った思いが身を結ぶ。


「どうすれば具現化できる?」


 頭の中で漠然とイメージする。

漆黒の影がイメージよりも速く、僕を包む込んでいた。


「そうか、こんなにも当たり前だったのか」


 左手には大きな刃の爪が三本、右手には黒いグローブがハメれている。

 全身を護るように黒いライダースーツが僕を包み込んでいた。


「はは。できたな」


 見た目には厨二病と言われるかもしれないな。

少し恥ずかしい。でも自分にとってヒーローを否定しながらもその姿をイメージすると、どうしてもこうなってしまう。


「うわ~カッコいいね」


 寝ていたマシロがそんな言葉を口にする。

寝言かと視線を向ければ、マシロは座っていた。

 顔だけはマシロがくれた骸骨の仮面が融合されていた。全身に漆黒の影が纏りついた。


「ダークヒーローってところか」


 マントではなく背中には漆黒の羽が生えていた。


「ここまでイメージって具現化できるのか」

「それは君の思い次第じゃないかな?」


 マシロの瞳は眠くて虚ろな瞳ではなく、しっかりと見開かれていた。


「君はその子に何を願ったの?」

「全てから僕を護り、全てを消し去る力を」

「カッコいいね。男の子」


 マシロはそれだけ言うとまたもコテンと眠りについた。


 力を試したい。そう思った僕は、一人でミッションを受けた。


 ミッション内容。


 黒龍会グループ配下の赤蜘蛛会が、不穏な動きをしている。

 調査と出来うるならば妨害工作をしてほしい。

調査だけならば、金額は5万、妨害ができたなら30万の成功報酬を与える。

 場所はM市、港にある倉庫街。


「これだな。アイツらのほとんどが能力者だ」


 スーツの性能を知るためのミッション。

どれだけの時間持続できるのか、イメージ通りの力を発揮できるか、ミッション期間は一週間、まずは下調べのため、マシロをおいて部屋を出た。


「行ってきます」


 僕が出て行く寸前まで、マシロは寝ていた。

 

 赤蜘蛛会は、M市を縄張りにしているので、外に出てすぐにM市へと向かう。

 M市は翁の家からからそれなりに遠いので、徒歩で向かうと1時間ほどかかってしまう。

 そのため、電車を使うことした。現在の電車は個人用になっている。

 空中に線路が作られるようになってから、個人レールという名で呼ばれ、行きたい場所を指定するだけで、その近くの駅まで送り届けてくれる。

 料金は一律で先払いだ。

全て電気で動いているので、燃料も発生していない。


「あまり乗り心地が好きじゃないんだけどな」


 エレベーターが上下だけでなく、前後や左右に動いていると考えてもらえればわかる乗り物だ。

 正直動き出しのふわっとした感覚がどうも苦手だと僕は思う。


「ふぅ~ついたか……」


 M市は港街になっており、大きな船がたくさん停泊している。

 飛行機や船に関しては詳しくないが、文明の利器の発展は続いている。

 まぁ自動操縦や遭難防止など様々な改良がされているのは聞いたことがあるがやっぱり詳しくない。


「ここに来るのは初めてだけど、いかにもって雰囲気出しているね」


 マフィアや暴力団などの取引場所と言えば、港なイメージがあるので、闇取引をしていそうな雰囲気が出ている。

 ここを一軒一軒調査していくのだ。

そして怪しいこ妨人や物を探し赤蜘蛛会であれば、妨害もしくは破壊する。

単純なようで色々リスクの多い仕事だと思った。

 まず、どこに赤蜘蛛会がいるのかわからない。

次にこれだけ見通しがいいと逃げるのも苦労する。


「それでもワクワクするな」


 僕はいきなり具現化を成功したばかりのスーツを出現させる。まずは持続時間の実験だ。

 いったい何時間この姿を保てるのか、そして、保てなくなったとき、何がおきるのか、それが知りたい。


「じゃあ片っ端からいきますか」


 スーツに骸骨の仮面と付けた変質者が港街を徘徊し始めた。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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