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異能を使って行うこと  作者: ノミの心臓を持つ男
第一章 異能覚醒編
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ツヨクナリタイ

 目覚めた僕は自分の部屋に帰ってきたことを知った。大分見慣れた天上がそこにある。


「あっ気付いたんだね。よかった」

「マシロが助けてくれたのか?」

「そうだよ。あんな危険なお姉さんに特攻をかけるなんてバックンは無謀だね」

「そうか……僕は負けたのか……」


 本当の強者と戦ったとき、自分がいかに無力なのか思い知らされた。


「もう~。バックンは危なっかしいね。ねぇバックン?どうしてそんなに強い人と戦いたがるの?」

「・・・」

「言いたくないならいんけどさ。ねぇ、バックン。強くなりたい?」


 マシロの言葉に僕はマシロの顔を見る。


 ツヨクナリタイ


 心からそう思っている。

そして、そう願ったはずだった。


「強くなりたい!」

「そう。じゃあいい人を紹介してあげるよ」

「良い人?」

「僕は君の世話係だからね。僕自身が君を鍛えてあげれれいいんだけど。僕って天才だからさ。人に何かを教えるのって苦手なんだ。でも、人の世話が得意な人がいるからその人を紹介してあげるね」


 マシロは仕方ないなという感じで僕のことを見ていた。


「バックン。いつか君がどうして強くなりたいと思ったのか教えてね」

「そんなもの……聞いても仕方ないさ」


 僕はマシロから顔を背けて、眠りに就いた。


「君が目覚めたら、その人を紹介するね。だから今はしっかりお休み」


 マシロの小さな手が頭に乗せられる。嫌な気分にはならなかった。意識がゆっくりと奪われる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 目が覚めるとマシロはいなくなっており、台所にはカップうどんが置かれていた。


「これを食べたら声をかけて」


 書置きを飲んで笑ってしまう。

料理のできないマシロなりの気遣いなのだろう。

まぁカップうどんは僕のだが……うどんを食べて簡単に冷凍ご飯レンジで温め汁と合える


「温まるな」


 食べ終えてほっこりしていると、扉が開かれる。


「バックン遅いよ。僕は待ちきれなくて、自分で来てしまったよ」

「マシロはせっかちだな」

「マシロさんでしょ。もう。それよりも早く準備して」

「どこか行くのか?」

「何を言ってるんだよ。君が強くなりたいっていうから君に師匠を紹介してあげようと思ってね」

「師匠?」


 僕はマシロにそんなことを言ったかと考えるが覚えていない。


「意識が朦朧としてたんだろうね。それで君は強くなりたいの?なりたくないの?」

「・・・なりたい。強くなりたい」

「よし。じゃ行こう」


 マシロに手を引っ張られ部屋を飛び出す。

部屋着用のジャージで引きずられて、家の奥へと入って行く。


「着いたよ」


 翁の家はいったいどれくらい広いのかわらかないが、かなり奥までやってきた。

僕が住んでいるような作りの家ではなく。厳重なロックのかかった扉の前でマシロが立ち止まる。


「よし。気配はある」


 マシロは徐に扉を開けようと手に力を入れるが、赤いランプが光り出す。


「わっ!びっくりした。八千代さん。見てるなら開けてよ」


 マシロはランプに向かって話しかける。

明らかに警戒を伝える赤いランプのはずなのだが、マシロには関係ないようだ。


「マシロ!君には何度説明すれば分かるのだ。私は一人が好きなのだ。だから邪魔をしないでほしいのだ」


 扉が開き、八千代と呼ばれた人が出てきた。

茶色い髪に大きな丸眼鏡。白衣を纏った妙齢の女性が姿を見せる。


「あっ八千代さん。来ちゃった。こんにちは」


 完全に拒否られているはずなのに、八千代と呼んだ女の人の言葉をスルーして挨拶をする。

てか、来ちゃったって……いいのか本当に。


「いつも君は突然なのだ。うん?今日は連れがいるようなのだ」

「そうだよ。こちらはバックン。新しく翁の家に住むことになった人だよ」

「うむ。それは失礼したのだ。私は前橋マエバシ 八千代ヤチヨしがない研究者なのだ」

「研究者?」

「そうなのだ?うん?マシロに聞いてきたのではないのか?」

「はい。無理矢理連れて来られまして……ハハ」

「ふむ……君は面白い素質を持っているのだ。よし。中に入ることを許してやるのだ」


 マジマジと顔を見たかと思ったら八千代の興味を引いたらしく。

部屋へと招き入れて貰えた。

 しかし、思ったことはマシロもこの人も話を聞かないタイプだった。


「どうした?はいるのだ。マシロはもうくつろいでいるのだ」


 言われてみればマシロはすでにいなくなっており、部屋の中にある畳のスペースに置かれたコタツの中に入っている。

 しかも置かれているミカンを剥いていた。


「失礼します」


 なんだか疲れるので、気にしないことにして中に入る。

研究者というだけあり、部屋の中はゴテゴテした物で溢れていた。

一言で言うならば……


「汚い……」

「うん?そうなのか?これでも今日はマシな方なのだ」


 胸を張る白衣の女性は、物凄く残念な人に思えた。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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