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異能を使って行うこと  作者: ノミの心臓を持つ男
第一章 異能覚醒編
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シスター

 マシロが家に入り浸るようになって、すでに一週間が過ぎていた。

マシロの手には二つの仮面が握られており、怪訝な顔でマシロを見ていた。


「それでなんですか、それ?」

「バックンってさ。いつも誰かと戦いにいくよね?」

「まぁ自分の力を試したいので」

「それじゃあ。いつも誰かに狙われちゃうでしょ。だから用意したんだよ」

「用意って……それを付けろと?」

「そうだよ。バックンが一人じゃ寂しいと思って僕のも用意したんだから」


 そういって取り出した仮面は、蝶の形をしている物と骸骨の形をした仮面だった。


「物凄く悪趣味ですね」

「そうかな?仮面って言ったらこういうものじゃないの?」

「はぁ~それでマシロはどっちを付けるの?」

「もう~マシロさんでしょ。僕はね。やっぱり骸骨の方かな?カッコいいし」

「そうか、なら俺が骸骨で。マシロは蝶な」

「えーなんで!」

「だって骸骨の仮面は顔全てじゃなくて目だけだろ。蝶の奴は無駄にデカい」


 マシロの仮面を指さして指摘する。

動くときにデカい仮面とか動きづらい。


「む~確かにこれはバックンのために用意したものだから、仕方ないね」

「いいのか?」

「うん。だって蝶は蝶で、気品があるじゃない。僕のような大人の女性には似合うと思うんだ」

「……マシロがいいならいいか……」


 突っ込みどころ満載なような気がしたが、何も言わないでおこうと思った。


「それで、今夜はどこにいくの?」

「そうですね。今日は野良能力者を探してみようかと思います」

「野良能力者?そんなのいるの?」

「どうでしょうね?僕も下は野良能力者ですよ」

「ああ。なるほど」


 マシロはどこか納得したような顔をしているので、とにかく出かけてみようと外に出る。

家を出るまでに廊下を歩いていくと向こうから蛇が歩いてくる。


「おうおう。働き者だねバックン」

「げっ蛇だ。蛇は嫌いだからアッチ行ってよ」

「つれねぇな。マシロちゃん。俺はお前のこと可愛いと思ってるぜ」


 蛇は舌を出して、マシロに手を伸ばす。

僕は蛇の腕を掴み、睨み付ける。


「止めとけ」

「ハァ~お前にそんなことを言われる権利があるのか?」

「あるな。マシロは俺の教育係だからな。手を出すなら俺が相手をするが?」

「へっ。粋がいいじゃねぇか。まぁ今日は気分がいいからな。さっさと行けよ新人」


 蛇は僕の腕を振り払い。奥へと進んでいく。


「バックン。蛇とかかわったらダメだよ。あいつは性格悪い上に強いから」

「ええ。一度体感しています」

「えっどういうこと?」

「なんでもないです。それよりも気分転換に行きたいので少し走りますよ」

「えっえっ待ってよ」


 マシロを振り切るぐらい僕は走ったが、マシロは難なくついてきた。


「もうそんなに急いでどこに行くんだよ」


 僕は無言で走り、繁華街があるN市にやってきた。


「もう。いきなり走り出すからびっくりしたよ」

「ハァ~すみません。ちょっと感情を抑えられなくなって」

「ふ~ん。大丈夫?」

「ああ。それよりも、マシロは誰が能力者か知ってる?」

「全然わからないよ」

「そうか、なら適当に裏通りでも歩こうか」


 運よく能力者が能力を使うところに出会えればいいが。

繁華街では日々多くの人が行き交い、喧嘩や殺し。売春や麻薬、様々な事件がN市では起きている。


「なんだか、この辺って僕には場違いな気がするんだけどね」

「まぁそうですね」


 マシロの姿はどう見ても中学生なのだ。

中学生が繁華街にいては警察に補導されてしまう。


「だったら、フードでも被っててください」


 マシロはパーカーを着ていたので、フードをかぶせる。


「うわっ!もう乱暴だな」


 マシロが何やら呟いているが、僕は路地の後ろに見える二人組に興味が湧いていた。

二人組は当たりをキョロキョロと窺うようにビルとビルの間に入っていく。

 二人組を追いかけるように、姿を隠して様子をうかがう。


「どうしたのバックン」


 マシロの声を遮り見つめていると、二人組はターゲットを見つけたようだ。

ターゲットは若い女性で、シスターのような衣装を着ている。 

 こんなビル群の合間にどうしてシスターがいるのかわらかないが、どうやら二人組はシスターを襲うらしい。


「どうしたの?助けないの??」


 マシロは口を塞いでいたはずなのに、いつの間にか抜け出して聞いてくる。

二人組とも距離を置いているので問題ないが、空気を読んでほしいものだ。


「あいつらが能力者なら飛び込む。もし能力者でないのなら放っておく」

「え~相変らず鬼畜だねバックン」

「関係ない奴には興味がない」


 そう言いながら、僕はマシロにもらった骸骨の仮面をつける。

マシロにも仮面をつけるように促して、様子をうかがう。


「へへへ、おいおい。こんなところにシスターが嫌がるぜ兄貴!」

「おう。DK。本当だな。しかもかなりの上玉だ」

「へへへ。金髪だぜ金髪」

「くくく。今日俺達の世話はこの姉ちゃんにしてもらおう」


 二人組がシスターに接触する。


「なんですかあなた達は!」


 シスターが悲鳴を上げる。


「へへへ。シスターさんよ。俺達に施しをくれよ」

「くくく。そうだぜシスター。俺達も迷える子羊なんだぜ」

「あなた方が迷える子羊?」

「へへへ。そうだぜ。シスター」

「くくく。頼むよシスター」


 二人組はシスターの逃げ場を奪うようににじり寄っていく。


「そうですか、迷える子羊ですか……」


 そんな二人組に対してシスターは笑顔で二人に振り返る。


「ならば救いを差し上げましょう」


 シスターが両手を広げると目映い光が二人組を包み込む。


「なっなんだ?」

「へっ?」


 二人組は光に包まれると、急に力無く膝を突き倒れた。


「ふふふ。よかったですね。これであなた方も救われましたね」

「なんだ。あんたの方が能力者だったのか」

「はい?骸骨さん?」


 僕はシスターの前に降り立つ。

二人組を一瞬で無力化した能力者、どれほど強いのか興味がある。


「今度は僕と遊んでくださいよ。シスター」

「あなたは……仮面をつけた能力者ですか……いいですよ。あなたにも救いを差し上げます」


 マジかで見るシスターは、恐ろしいほど綺麗だった。

 

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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