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異能を使って行うこと  作者: ノミの心臓を持つ男
第一章 異能覚醒編
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能力者キラー

 -間 香澄ー


 ビルの光に照らされる夜の街を走り抜ける二つの影があった。

一つは小さな女の子、もう一人はまだ成人を迎えていない男の子の二人組だ。

 二人とも顔には仮面らしきものを付けており、追いかけるのはこの国が誇る警察組織。

警察異能犯罪班の人間が二人の不審人物を追いかけていた。


「くそっ!また逃がした」


 報告を聞いたハザマ 香澄カスミは吠えていた。

最近になって翁の孫たちの活動が活発になってきた。

 特に、仮面をつけた二人組に翻弄されている。

二人とも動きが速く。恐ろしく強い。ここ一カ月で13件もの犯罪を犯したと情報が入っている。


「どうしてここまで用意周到にことを運んでいるのに逃がすんだ」

「仕方ないですよ」


 間の隣でお茶を飲んでいる男は、異能犯罪班顧問を務める小峠ことうげだ。

毛が一本もない頭がキラリと光る。間にとっては直属の上司なので、邪気にもできない。


「どうして仕方ないのですか?小峠顧問」

「だって向こうは強んですよ。一人一人で当たっても負けてしまうんだ。包囲網を広げれば広げるほど人数が少なるこちらの方が不利じゃないですか……」

「それは、そのために迅速な集合が行えるように陣形を汲んでいます」

「うむ。でも間に合っていない。それでは仕方ないだろう」


 小峠は優しそうな顔をしているお坊さん満たないみためだが、言葉を発すればネチネチと小言をいう奴なのだ。


「だいたい。君の作戦は穴だらけでは?もっとこう他にないのかね?」

「他とは?」


 間も若干苛立ちを覚えながらも上司である小峠に質問を聞き返す。


「それを考えるのが君の仕事だろう」

「そうですね。重々承知しています」


 結局代案などないのに、文句だけ言うオッサンに苛立ちを覚えただけで終わってしまった。

間は作戦失敗を連絡して、全員に解散を告げる。


「今日は皆早めに帰って寝ろ」


 仮面二人が暴れ回るようになって、街自体は平和になっていた。

それも仕方がないのかもしれない。彼らが標的にするのは能力者なのだ。

 彼らの別名は能力者キラー。自分達の力を示すように能力者ばかりを狙っている。

それは黒龍会やイノセント教団にも被害が及んでおり、警察以外でも彼らの行方の捜索が行われている。

 しかし、彼らの住処と言われている翁の家は現在も場所が掴めていない。


「蘭。後は任せていいか?」

「大丈夫ですよ。今日は遅番で先程来たばかりですので」

「頼む」


 間は司令室を蘭に任せ行きつけの飲み屋に足を運ぶ。

仕事終わりだと言ってもよ酔うことはできない。だが、少しぐらい嗜むぐらいはいいだろう。


「オヤジ!おでんと酒」

「おっ香澄ちゃん。久しぶりだね」

「ええ。ちょっと仕事が忙しくてね」

「はい。ガンモと大根。後はコンニャクとすじでよかったかい?」

「とりあえずそれで、あとは適当に頼むわ」

「あいよ」


 行きつけのおでん屋で酒を一気に流しこむ。


「やっぱりこれよね。フレンチを食べながらワインもいいけど。お酒にはおでんが最高」

「ははは。そう言ってもらえると何よりだよ。オマケで卵もつけとくよ」

「オヤジさんありがとう」

「香澄ちゃんみたいな美人さんにお礼を言われると照れちまうな」


 オヤジさんが喜んでいるのを片目に、店の中のお客に視線を送る。

店はカウンターが7席ほどで、L字型の店には香澄以外にも二人の男女がきていた。


「見ない顔ね?」

「ああ。最近常連になった子達でね。ただ面白いのが、子供っぽい女の子が成人で、しっかりしてる男の子が未成年なんだぜ」


 オヤジさんに言われて男女をもう一度見れば、確かに女性の方はまだ中学生ぐらいに見える。

一瞬立ち上がって注意しようかと思ったが、オヤジさんの言葉を思い出して思い止まった。


「本当にあれで成人?」

「ああ。ちゃんと免許書も持ってて見せてもらったから間違いねぇよ」

「へぇ~世の中わかんないもんだね」


 私は二杯目のお酒をチビチビと飲み始める。


「オヤジさんお勘定お願いします」


 男の方が礼儀正しく声をかけて、スマホを掲げる。

殆どが電子マネーになった世の中なのだ。見慣れた光景だった。

 しかし、間にはどこか違和感があった。

見慣れた光景のはずなのに、何かがおかしい。


「はいよ。じゃここにタッチしてくれ。領収書はスマホに送られていると思うから」

「はい。確かにではご馳走様でした」


 二人の男女が出て行き、間は少年を見つめるうちにあることに気付いた。


「あっ!」

「どうしたんだい香澄ちゃん」

「あっいえ」


 ここでオヤジさんに打ち明けたらオヤジさんに危険が及ぶかもしれない。

香澄はお会計を済ませて、急いでおでん屋から飛び出す。


「くそっ!見失ったか……あれは多分だけど鏡よね」


 香澄は高校生大量殺戮犯を見つけたと思った。

最初こそ小さい女性に目を奪われたが、よく見れば男の方は奴じゃないか。


「まだこの街にいたのか。絶対あんたを追い詰めてやるからね」


 間の足は署へと向いていた。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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