第七話:茶色いしっぽ
まる捜索隊は、村の端を探すことにした。
飼い主が気絶しているAに声をかける。
「A、起きろ」
「……」
返事がない。
Bが助け起こす。
「A、焼き芋ドリンクだぞ」
Aののどに、濃厚焼き芋ドリンクを流し込む。
粘度、高い。
とろみ、濃厚。
味、激甘。
果たしてのどに詰まった焼き芋は取れるのか!?
ドロ~……
「ブハッ!!し、しぬっ!!」
「起きたな。じゃあ行こう」
「え…ちょっとは心配とかして……?」
飼い主はノーリアクション。
団長はちょっとだけAをかわいそうと思った。
──村の端。
村の端は、中心部とはまったく違う雰囲気だった。
草木が生い茂って、薄暗い場所だ。
「うぅ、嫌な感じ。不気味だなぁ」
飼い主は緊張気味。
団長がパンフを見ながら話す。
「ここは墓地が近くにあります」
Aも続けて話す。
「例の噂がありますね」
嫌な予感。
「……例の噂って?」
飼い主の背後に忍び寄ったB。
低い声で
「そこはねぇ~……お化けが出るんですよぉ~」
「うらめしやー!」
飼い主の振り向きざまのストレートパンチがクリーンヒット!
「ガフッ!」
Bは回転しながら倒れた!
「びっくりしたぁ!やめてよぉ!お化け苦手なんだから!怖いなあもう!」
「う、うらめしや…は…お化けの…セリフ…(ガクッ)」
Bは動かなくなった。
団長が提案する。
「まずは他を探してみましょう。まる様が見つかれば、墓地に近づく必要もありませんし」
「うん、そうしよう」
「ああ、Bを連れて行かないと」
「起きろ、B。だめだ。目を覚まさない」
「仕方ない。A、そっち持て」
「了解」
団長とAが、Bを両側から抱えて引きずっていく……。
「どうでもいいけど、雑な運び方だな」
「そうですか?じゃあこうします」
団長がBの頭を、AがBの足を持って運ぶ。
団長が飼い主に尋ねる。
「どうですか?」
飼い主の返事は
「どうでもいい」
──墓地から離れた場所。
墓地から離れると、少し開けた場所に出た。
さらさらと小川の流れる音がする。
川を眺めていると、飼い主は一瞬目を疑った。
茶色いしっぽが、水面にゆらゆらと揺れながら流れていく。
「しっぽ!?まるか!?」
飼い主は走って流れるしっぽに向かっていく。
「おーい!まるー!」
団長とAもそれに続く。
まだ目が覚めていないBはその場に置いて行かれた。
「まるー!」
飼い主は叫びながら願った。
どうかまるであってくれ。
これ以上、話を長引かせないでくれ。
五話完結のはずがどうしてこうなった。
「まるー!まるー!」
何度もまるを呼ぶ飼い主。
茶色いしっぽまで辿り着くと、
小川の中でくつろぐ柴犬の姿があった。
びしょ濡れだけど、間違いなく本物の、まるだ!
「まる!」
まるはゆっくりと飼い主の方を見ると、
「へっへっへっ……」
と、笑顔になった。
飼い主はびしょ濡れになるのも構わずに、
川の中のまるを抱きしめた。
「よかった、本当によかった…長旅にならずに済んだ…」
団長とAは、その様子を見て感動の涙をそっとぬぐった。
Bは、痛みの涙をそっとぬぐった。
川から上がった飼い主。
「じゃあ、帰るか」
「そうですね」
騎士三人は思った。
「捜索隊、4人も必要だったかな……?」
次回、最終回。




