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第五話:焼き芋の村

まる捜索隊は歩き続ける。


ポクポク…ポクポク…(足音)


飼い主が口を開く。


「……で、なんで徒歩なの?馬とかないの?」

「コストがかかる為、許可が下りません」

「そう……なんか、現実的……」


ポクポク……ポクポク……


団長が飼い主に話しかける。


「そうだ、自己紹介まだでしたね」


飼い主は即座に否定する。


「いや、いらないでしょ。団長、騎士A、騎士B。俺は飼い主。十分、十分」

「マジかこの人」

「コミュニケーションどうなってんだ」

「いいか!」


飼い主は強い口調で主張する。


「この物語に必要なのはまるの名前だけだ!俺たちはオマケだ!付属品だ!」


騎士たちに衝撃が走る。


「飼い主殿……おかげで目が覚めました!我々は記号で十分です!」


出だしから混迷を極める「まる捜索隊」。


一行は歩く。ひたすら歩く。ポクポク歩く。

草を積んだ馬車に追い抜かれる。

外回りの騎士に挨拶される。

柴犬がすれ違う。

もちろん、飼い主のまるではない。


飼い主はつぶやく。


「なんてむさ苦しいパーティだ…異世界に来て、男4人チームなんて……」


飼い主はため息をつく。

「一人くらい女性いてもよくない?」


団長は飼い主の嘆きに答える。


「すみません。国の方針で、騎士団は圧倒的に男性が多いのです」

「ふーん。どういう方針なの?」

「訓練が少々特殊でして…」


Aが会話に混ざる。


「厳しいですからね。油を沸かした風呂に入るんですよ」


「えっ」


Bも話す。


「剣山で腕立て伏せもしますよ」


「ねえそれって……男j」


飼い主の言葉を、団長が遮る。


「犬塾と言います」


「いや、なんか見たことある訓練なんだけど……男じゅ」


騎士三人が口をそろえて言う。


「犬塾です」


「ちなみに、騎士団本部の本棚に『犬塾』の本が全巻そろってます」

「それ漫画だろ!?男じゅk」

「犬塾です」



──雑談をしながら歩くうち、一行は村に到着した。

村中に立ち込める焼き芋のいい香り。


村のあちこちにのぼりが立っている。

『焼き芋まつり』


飼い主は焼き芋の香りを胸いっぱいに吸い込む。


「まるは焼き芋が好きだった…この村にいるかも!」


早速、手分けして村の調査を始めることにした。

飼い主は村人に話しかける。


「すみません、柴犬をみませんでしたか?スタンダードな茶色いやつ」

「柴犬?柴犬ならあちこちいるよ、ほら」


なんと!柴犬がわりといる。


「ぐぬぬ……ここでもウォーr…いや、まるを探せ、か」


旅が長引けば、同じ事が続くだろう。


「早くまるを見つけなければ」


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