第四話:まる捜索隊
飼い主は宰相に尋ねる。
「そういえば、ここって何の部屋?」
「城の大広間だ」
「外はどっち?」
「あっち」
ぞろぞろと外へ行く飼い主と城の者達。
城下町まで来ると、目の前を茶色いものが横切る。
柴犬だ!
「まる!?ん?なんか違う!」
あたりをよく見まわすと、
柴犬、柴犬、柴犬……
「すっごいいる!」
宰相はうなずく。
「この国は伝説の勇犬にあやかり、柴犬を飼う家庭が多いのだ」
「まるもこのあたりにいるかな?」
飼い主は大きな声でまるを呼ぶ。
「まるー!おいでー!」
すると、駆け寄ってきたのは、
たくさんの柴犬。
「な、なんだ!?いっぱい来た!」
宰相はうなずく。
「勇犬の名だからな。人気なのだ」
「うわああー!」
モフモフモフモフ……
飼い主は柴犬にもみくちゃにされている。
町の住人がそれぞれ自分のまるを連れて帰る。
「まる~ごはんだよ」
「まる。散歩に行くぞ」
「すいません、うちのまる、人が好きで」
しばらくして、柴犬達に解放された飼い主。
柴犬はすべてまるではなかった。
「ハアハア……うちのまるはどこにいったんだ」
宰相は提案する。
「こうなったのは、我々にも責任があるかもしれない」
「あんたらの責任だらけだよ」
「まる様捜索隊を編成しよう。隊長はそなただ!頼んだぞ」
「俺!?あんたらが探してくれるんじゃないの?」
「だって、飼い主じゃないと連れ戻せないでしょ」
「ぐぬぬ……」
宰相は言う。
「柴犬とは、本来飼い主に従順なのだ…今いないけど」
騎士団長は言う。
「まる様は我々にとっても希望の存在…今いないけど」
飼い主は言う。
「まるが懐いている俺にしかできない役ってことか…今いないけど」
──全員で一斉に虚空を見上げる。
……まる、ほんとどこ行った?
国の騎士団から捜索隊を編成。
メンバーは騎士団長と団員二名。
そして飼い主。
「あんた、騎士団長って言った?団長が離れていいのかよ」
「大丈夫です。副団長が優秀なので」
副団長がハキハキと返事をする。
「はい、団長の留守の間はお任せください!」
騎士団から声が上がる。
「団長がいなくても支障ありません!」
「長期不在でも何一つ問題ありません!」
「副団長さえいれば、まとまりますから!」
「団長さん、ドンマイ」
「お前ら!覚えてろ!」
宰相が呼び止めた。
「ついでにもう一つ頼みがある」
「なんなの」
「国王様が見当たらないので、いたら連れてきてくれ」
「は?公園で遊んでる子供か。ご飯の時間だよーってか」
「似たようなものだ」
「この国の危機って、国王不在のことだったりして」
──沈黙。
「それは重要機密事項だ」
「マジか。うちのまる探してる場合か?」
「まる様が見つかれば、他の問題も解決する!頼んだぞ」
「犬に頼りすぎじゃない?」
宰相と残りの騎士団に見送られ、一行は出発する。




