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辺境伯令嬢は薬草園でまったりスローライフ ~追放?破滅?いいえ、今日もハーブティーが美味しいです~  作者: 和三盆


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第1話 「薬剤師、辺境伯令嬢になる」

「……ここ、どこ?」


目を開けた瞬間、見知らぬ天蓋付きベッドとレースのカーテンが視界に入った。

白い天井、金の装飾。まるで洋館というより、ゲームの中の世界みたいだ。


「お嬢様! お目覚めになられたのですね!」


部屋に飛び込んできたメイドの少女は、涙を浮かべながら私――いや、「アメリア様」と呼んだ。


……アメリア? どこかで聞いたような。


混乱する頭で、ベッド脇の鏡を見て、思わず息をのんだ。

そこには金色の巻き髪に深い青の瞳を持つ美しい少女が映っていた。

どう見ても私じゃない。


「うそ……。まさか、転生……?」


そう呟いた瞬間、記憶が流れ込んできた。

乙女ゲーム『フローラル・クロニクル』。

私が数年前にプレイしていた恋愛ゲームだ。

その中でアメリア・フォン・ハーヴェストは、主人公の恋路を邪魔する悪役令嬢。

最後は婚約破棄され、辺境へ追放――そして破滅する。


「いやいやいや、待って。破滅とか勘弁して……!」


前世の私は28歳、薬剤師として働いていた。

仕事は好きだったけど、毎日終電、休日出勤、上司の理不尽……。

倒れるまで働いた結果がこれ? 転生って、現実逃避の究極形では?


でも、目の前の現実は本物だった。

つまり、私の“今”は――この世界のアメリアとして始まったということ。


数日後。

婚約者である第二王子から「婚約破棄」の宣告を受けた私は、形式的に涙を流しながらも、心の中ではガッツポーズをしていた。


(よし、これで破滅フラグ回避開始!)


辺境行き? むしろ最高じゃない?

人間関係も煩わしくないし、自由に研究できる。

なにより――薬草がいっぱいある!


◇◇◇


そして辺境。

予想以上に荒れ果てた土地に降り立った私は、周囲の使用人たちに笑顔で言った。


「今日から、この地に薬草園を作ります!」


「……は? 薬草、でございますか?」


「ええ。病気も怪我も、薬で癒せます。みんなが元気になれば、土地も人もきっと活気づくわ」


前世の経験が、ここで生きるなんて思ってもみなかった。

荒地を耕し、薬草の種を植え、水をまき、陽の光を浴びせる。

手は泥だらけ、服もボロボロ――でも、心は不思議と晴れやかだった。


「お嬢様、そんなことをなさらなくても……」


「いいのよ。これは“生きるため”の仕事だもの」


土の匂いが心地よい。

久しぶりに、自分の手で“何かを育てている”と実感できた。


風が吹き、ハーブの香りがふわりと漂う。

その香りの中で、私は確信した。


――ここから始めよう。

破滅フラグなんて、私の薬草園の肥料にしてやるんだから。

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