規則正しい生活は大切です
郵便局から帰ってきた私は、いつものように昼寝をする訳でもなく。
原稿を描きあげた身体も心も疲れきっていて、とにかく眠くて仕方が無いというのに勝手に身体が動いている。
虚ろな目をして、壊れた人形のようなカクカクと。
たぶん、そんな感じに見えると思うのよ。
死ぬほど疲れているけど、寝ちゃだめだ。
いま寝たら…… 死むられりょ……
あああああ…… 先輩はすんごく怖い。
優しそうな笑顔の裏側には得体の知れないなにかが隠れている。
あの人の前では、たとえ大蔵省の地下にある大金庫の扉だって岡本研究所よりもっと…… いいや『無いに等しい』じゃなくて『無い』かも。
だってだってだって。
私、見たもん!
先輩がスチール製のアパートの扉を通り抜けるところ。
いやあれは特撮でも催眠術でも無いって!
こっちの世界より500年進んだ世界から人間を狩りに来た異次元人みたいに。
むしろ、その方がなんぼかマシってもので……
「きれいに片付けているようねぇ?」「ひぐぅっ!?」
噂をすれば影… だ。
ここは間違いなく扉は閉めたし、鍵もかけている。もちろんチェーンもね。
それに、築30年の建物はコンクリートの箱のようなものだ。壁の厚さは薄いところでも3寸(10センチは)はある。
「せせせ先輩、おはようございます……」
「はい、おはようさん。もうお昼だけどね」
仕事が終わったらお掃除洗濯あーんど、ごみは集積所に置いてくる。
こんなに『健康的』な生活を送るようになったきっかけ。それは私が冗談と言うか、何も考えないで志帆ちゃんに渡したエロ水着。
それがお盆明けに志帆ちゃんが熱射病で入院した原因でもある。
(で、レシピの間違いがバレたら、確実にヨモツヒラサカに観光旅行よね)
実際のところ、水着の件というより生活態度が問題視されたようだけど。
「とりあえず差し入れ。その様子だとご飯、食べてないでしょ?」
「へへー ありがたやありがたや……」
基本的に先輩は優しい。とっても面倒見がいい人なんだ。現に仕事明けでヘロヘロになってる私にご飯を持ってきてくれたりするんだから。
でも怒らせると…… 閻魔大王ですら瞬殺しかねない。いや、できるはずだ。
何を言ってるのか分からないって?
自分でも何を言ってるのか分からないわよ。
でもね、その片鱗が目の前でニコニコしているの。
って、先輩?
嘘です、冗談です。
駆け出し漫画家の小粋なジョーk……
うぎゃあああ……
ああああ…………
オソウジスルノハ、トテモ タイセツデス。
ソウジキヲカケテ、オセンタク ヲ シマショウ。
オウチノナカ ハ、セイケツニ……
「……あんた何やってるのよ」「へっ?」
気が付いたら夕方になっていて。
目の前には瑞希が呆れた顔をして立っている。
あれれれれ。まさか瑞希も壁抜け……
「ンなはず無いでしょ? この前、合鍵くれたじゃない」
そうだった?
あの時は明け方まで脳みそ破壊されたかと思うほどのお仕置きされて、はっきり言って記憶があいまいだ。まったく、もう……
こちとら初めてだってのに、あんな狂暴な(自主規制)……
「聞いてる? 昼過ぎからどんだけメールと電話を入れたと思ってるのよっ!」
「え… あはははは……」
彼女はメールや電話反応しなかった私を心配して、仕事が終わったら真っ先に来てくれた違いない。なのにそこで見た光景は。
掃除の終わった部屋で、ヘソ天で惰眠をむさぼる私の姿ときたもんだ。
だけど、それは仕方が無い事だと思う。
先輩怖い。お仕置き怖い。
「で? 私は怖くない、と?」
いいいいいえええええ…… 決してそんな事は。
べべべべ別にそおぉいう事ではなくてえええぇえ?
やめでぇええええ!
駄目になった身体に移植する材料として、地球人を狩りに来る宇宙人の話。
イギリスのテレビドラマが有名ですが、日本にもそういうモノもあったりして。
こういう作品が生まれた背景にはキャトルミューテーションがががが……




