今日はとっても暑かった
夏休みも半分が過ぎ、気温が上がり始めている。
今日の昼間は、うだるような暑さなんて表現じゃ当てはまらない。
太陽が放射する熱気で、足もとから火がつくんじゃないかって気がするよ。
ちょっと気を抜くと意識さえ蒸発しかねない。
平均気温だけなら50年前と比べてもそんなに変わらないんだが、なにぶん成層圏に浮かんでいるアレのせいで気候がおかしくなり過ぎている。
アレの影で覆われた所と、そうじゃない所の寒暖の差は極端なんだよね……
さらに天気予報だと、今年のアレは大陸寄りに流れているらしい。そういや先週あたりゴビ砂漠で積雪1メートル行きそうって、ニュースで言ってたなぁ。
あっちの人には悪いけど、その雪を少し分けてもらいたいぜ……
俺は看護婦さんが作ってくれた朝ごはんを食べて、最後に検診と採血を済ませると、ようやく病院から出してもらう事が出来たんだが。
これがまた、太陽の光に押しつぶされそうな暑さだ。
途中にコンビニが無かったらどうかなっていたかもな。
「ただいまー」
おお、家の中はエアコンがばっちり効いている。いやぁ、快適だ。
婆ちゃんが、電気代を気にせずにエアコンを回していられるなんて、良い時代だねぇと笑っていたけど、まさに真理だと思うよ。
それというのも原子力電池が普及しているからだな。
「ふぅ、溶けずに済んで良かった」
俺はコンビニで買ってきたアイスを冷蔵庫に押し込むと…… こういうのは、がっちり冷やしてからの方が旨いもんな。
これで1時間も冷やせば、食べごろになるだろう。
「お兄ちゃん、おかえりー。昨夜は入院って…… もう大丈夫なの?」
「ああ、念のためってとこだ。で、母さんは?」
「婦人会のお食事会に行ってくるって」
帰ってきた俺の声が聞こえたんだろう。
志帆が廊下をぱたぱたと台所に走り込んできた。
うんうん、元気でよろし…… なんちゅーカッコしてんだよ。
「仕方が無いじゃない、私の部屋の原子力電池が故障してるんだからぁ」
そういや、そんな事を言ってたな。それにしても原子力電池ってのは、めったに故障しないんだけど、故障したらしたで厄介だ。
あればっかりはメーカーで修理してもらうしかないからなぁ。
……それで、この格好か。
「ねえねえ、お兄ちゃん。どぅお、似合ってる?」
……っく。
フリルたっぷりのオフショルダーって、たしかにこう… くるものがあるね。
特に純白と言うのがポイントが高い。ネットでグラドルがこういうポーズしてるのってさ、破壊力は抜群だと思わないか。
このまえ学校でラガッツァが見せてくれた画像でも、こんなの着てたのが……
そういやグラドルが来ている水着ってオーダーメイドは少ないんだそうだ。
大半の売ってる物って言ってたな。たしかに人気インフルエンサーも愛用しているモデルがコレ! と言われれば、飛びつく人もいると思うよ。
野球選手のレプリカユニフォームみたいなもん…… ちょっと違うか。
だって野球選手のレプリカユニフォームなら誰でも着ると思うんだ。
野球中継見ていると、観客席にレプリカユニフォームを着てキンキラキンの大うちわを持ってる女の人が一杯いるし。
だけどグラドルの着ている水着を着てみようなんてヤローは、あんまりいないと思うんだよね。
そういう趣味の持ち主は俺の周りには…… 結社の連中ならやりかねないか。
でも、俺は間違いなく着ないと思う。うん、着ないな。
でも看護婦さんが着たら似合うだろうなぁ。惑乱さんもなかなか……
……だがなぁ。
「うひゅひゅひゅ~ これはどぅお?」
俺の目の前でこれでもかと悩殺ポーズを決めているのは、志帆なんだ。
ふりふりがたっぷりついた水着なんて、マジで売ってたんだなぁ……
グラドルが着ているのと同じモデルとは、けっこう攻めてるじゃないか。
だがしかし!
あれは、志帆の…… 板こんにゃくみたいな体型には似合わん。
はっきり言って水着を着ているんじゃなくて、ふりふりに着られている。
何を言って良いか分からなくなった俺は、志帆の頭を軽くぽんぽんと撫でると、無言で台所を後にしたんだ。
そして、自分の部屋に入ると……
静に扉をしめた。
今年の水着はハイウエ&オフショ… いやいやキャミ系もいいな。
ううん、ロングフレアも捨てがたい……




