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友達と本屋に行った俺

 夏休みと言っても、特に何かがあるわけじゃない。

 学徒としての本分は学ぶこと。学問を修める事だが、ただそれだけだ。

 俺は通学していない分だけ、季節の変化には疎くなったような気もすけど。

 まあ、暑いから夏休みなんだろうな……


「なあ星崎君。帰りに本を買うのに付き合ってほしいんだゆ」

「本だって? それなら駅ビルの…… ああ、あっち(・・・)の店かぁ」


 俺とアイゼンは、ドゥーラ城下にある商店街をぶらついていた。アイゼンが専門書を欲しがっているんだけど、本屋さんの店員が苦手だとか。

 俺も時々は利用しているから全く知らないという訳じゃないけど、あそこの店員はクセ強だからアイゼンとは相性が悪いかも知れない。


 それに本屋の親父って言ったら、けっこう柔和な顔をしていると思うだろ?

 だけど、この本屋だけはなぁ…… いちおうヒト族だって噂だけど。


「いらっしゃい。用件は何だ?」


 店に入るなり、こうなんだぜ。

 病院の看護婦さんに教えてもらって初めてこの店に来たのは3年前──中学校に上がった年の今ごろだったかなぁ。あんな怖い思いをしたのは…… 2B弾をばらすのに失敗して、病院で看護婦さんに叱られた時くらいだと思う。


 ──子供用の本なら、駅ビルの本屋にいくらでもあるだろう?

 ──違うって。宿題の資料とかをネットで探すのが面倒になったから来たんだ。

 ──ふん、こらえ性の無い奴だな。まあいい、何が欲しいんだ?


 たしか、こんな感じだったかな。

 ちなみに、この人は口が悪いが顔も怖いし、なによりもごっつい筋肉ダルマだ。

 本屋の親父と言うよりも武器屋の大将じゃないかっておもっちゃうよ。

 それに対してアイゼンは生粋のドワーフ族だけど、広い意味でのコミュ障だ。


 だから、だろうな……


「ああン?」「ああああああのぉ……」


 だから、こういう事になるんだよね。

 ちなみにアイゼンがラガッツァと一緒に来た時は、買い物にすらならなかったそうだ。そりゃ、初対面からあれじゃ、誰だってビビるよね。

 この店で扱っている本が専門書じゃなかったら、とっくに潰れてるよ。


「おい坊主、こいつは何が欲しいんだ?」

「アイゼン、何の本だっけ」「……・;─v─m・……」


 アイゼンは蚊の鳴くような、ようやく聞き取れるくらいの小さな声で欲しい本の名前を教えてくれた。欲しい本は他にもあるのを知っているけど、何冊も買うだけの余裕が、特にアイゼンの精神力がとSUN値がヤバい。

 俺は慌てて欲しい本のタイトルを言ったんだ……


「大ナマズは乱舞する って本なんですけど」

「そいつはたしか蘭華書房が出している地学の専門書だな。取り寄せておくから来週になったら、また来い」


 これ専門書と言っても、かなりコアな部類になるからなぁ。タイトルだけど見ると地震学というよかオカルトっぽいんだけど。専門書は奥が深いなぁ。


 前金を払って店を出た俺たちは、そのまま大通りをぶらついている。

 夏だなぁって思うのは、服屋の店先が──夏服や水着で──花盛りだからかな。

 他にもなんか…… おいアイゼン、これ凄くないか? ほとんど紐だろ、コレ。

 はぁ? 興味がない、だと? お前もとことんだなあ。


「……今日は助かったんだゆ。疾風くんのお陰で欲しかった本が手に入るんだゆ。お礼にコーヒー奢るけど、どうかな?」


 イビム発祥のスターボックスはコーヒー豆を高温のスチームでぶしゅーって抽出するローマンスタイルだから、お値段ちょっと高めなんだ。

 そのスターボックスでマイカップだとぉ…… このブルジョアめ。


「タダ券があるんだゆ。お姉ちゃんからせしめたんだゆ」「初めて聞いたぞ」

「誰も信じてくれないけど、僕のお姉ちゃんは社会人なんだゆ」


 本屋から出た俺たちは、表通りにあるコーヒースタンドでひと休み中だ。

 俺は妹持ちだけど、アイゼンは姉持ちだったとはなぁ。


「さっそくお姉ちゃんを見つけたんだゆ」「んん?」


 女性のドワーフで、アイゼンよりも年上って事は…… いないぞ?

 この表通りは駅前広場に繋がっているから、通行人も多い。たしかにドワーフ族もそこそこ歩いているけどさ。


「んんんんん? お前のお姉さんなら、そこそこの年齢だと思うんだが」

「……あそこのクレープ屋の前にいるのが、そうなんだゆ」


 クレープ屋? ……うん、カップルがいるな。

 あの体格なら小学生っぽいが… 着てるのは学生服… なら中学生か。

 一緒にいる女子は私服だから小学生の妹か何かに見えなくもない。

 注文したのは、またこりゃでかいクレープだ。まるで団扇みたいに見え……


「あの大きさを… ぺろりかよ。すげぇなあ」

「……あれが僕のお姉ちゃんだゆ」


 世の中は不思議で一杯…… だ。

ナマズは、とっても美味しいお魚さんなのです。

鯉こくの、ぶはぁっとくる濃厚さは魅力ですが、ナマズはその対極です。

ちなみに鯉もナマズも、出産後の栄養食。……いささか古典的過ぎかな。

でも、そのくらいに美味しいし、何よりも栄養たっぷりの食材なのです。

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