妹は兄について熱く語る
私は世界中の誰よりも、お兄ちゃんが好き。
でも、お兄ちゃんにとって私は2歳年下の妹ってだけなんだよね。
だって今の私には女性としての魅力なんか──中学校に上がったばかりの小娘にそんなものがある筈はないもん。
でも、そこは大丈夫! お母さんもおばあちゃんも胸が大きい。
それに、私は知ってるんだ。こういうのは遺伝するものだってね。
……今のところ、遺伝子が仕事をしているって実感はないけれど。
この前の身体測定では、身長だってクラスの真ん中くらいだった。
だからと言って、諦めている訳じゃない。
この私がチビのチンチクリンのまま終わるなんて、あり得ないのよ。
だって私はまだ小学校を卒業したばかり。
私の伸びしろは、いつだって100パーセント!
なめんなよ、ナインズを。ってね。
うん、テレビじゃ私たちの世代は1989年生まれだからナインズだって言うけど、なんかムカつくなぁ。無いんじゃなくて、有る筈なんだ。
私はねぇ、バインバインのナイスバデーに育つ筈なんだよ。
そうなれば、お兄ちゃんだってイチコロだよ。
でもね、身体だけが大きくなってもねぇ…… 頭の中身が育ってなかったら、ただのアーパー娘じゃない。
そんなのは、テレビを見れば分かると思うのよね。胸とお尻をぶよんぶよんと振りながら、馬鹿丸出しの物言いをするタレントが何人もいるじゃない?
顔が綺麗だから、ちやほやされているみたいだけどね。
私はそんな女にだけはなりたくない。
あんなモノに成り下がった私は、とてもお兄ちゃんと一緒にいられない。
お兄ちゃんと一緒にいるためには、心身共にオトナにならなくちゃ。
大事な事だから、もう一度言うけど。
私の伸びしろは、いつだって100パーセント!
でも私の周りには、すでに伸びしろを使い切ったような子もいるけどね。
たとえば…… 速水さん。幼稚園に入る前からの仲良しさんで、変なヤツだ。
胸は大きいくせに、身体のラインはすごく細い。
だって下の2サイズは、私とほ・と・ん・ど、同じだもん。
お母さんはファッションモデルをしているから、その関係で色々と……
うんにゃ! やっぱり遺伝子か?
遺伝子が立派な仕事をしているに違いないわよ、その大きさはっ!
男子はアレを有難がって拝んでいるけど、それは現実を知らないからよね。
わたしゃ知ってるんだ。あの子が時々背中と腰に膏薬を貼っているのをね。
大きいと言えば、近所に住んでいるお姉さんも… かな。
惑乱さんって言うんだけど、ぼんきゅっぼんな体型をしてる。
ええと、惑乱と言うのは筆名──ペンネームというやつで。あの人の事を端的に説明するなら…… イキオクレって言えば、分かってくれるかな。
でも使わなくなった教科書をもらったり、勉強を見てくれるのよね。
なんで教科書をくれたり勉強を見てくれるのかは、よく分からないけれど……
そう言えば、教頭先生の苗字も…… そっか、たぶんそういう事なのかもね。
その惑乱さんは漫画家だそう。でも、どんな所に連載してるのか分からない。
それこそブーケットからお兄ちゃんが読んでいる少年チャランポまで。本屋さんに並んでいる本はぜーんぶ目を通してみたつもりだけど…… 見つからない。
そういう意味では、あの人は謎のひとだ。
……それは良いとして。
お兄ちゃんといつまでも一緒にいるためには、いくつもする事があるってこと。
だからこそ、今の私に出来る事は何でもやっておかなくちゃ。
特に重点的にするべきことが2つあるのよね。
ひとつは、お兄ちゃんに悪い虫が付かないようにすること。
惑乱さんはこのあたりは実に好意的に接してくれる。お兄ちゃんに近付く害虫退治のアイデアをくれるし、もちろん私も結果だけは話す事にしている。
惑乱さんにとっては連載している漫画のネタになるんだって。
だから、お互いにウィンウィンなカンケイと言う事で…… いいよね?
そして、もうひとつは私が早く大人になる事だ。
私の身体の半分は、お母さんの遺伝子で出来ているし、伯母さんだって。
けっこう… うんにゃ、早見さんのお母さんよりも大きいからね。
だから、あの2人の血を引いている私だって…… 期待していいはず。
だから、もう少しだけ待っていてね。
オ・ニ・イ・チャ・ン。
星崎君の妹ちゃんの名前は志帆──Shit! Hot! じゃありませんよ?
そして、これでも小学校を卒業したばかりの、おませちゃんなのです。
将来が楽しみですねぇ…… くぷぷぷぷ。




