貴方に何度だって出会う為に
読もうと思ってくれてありがとうございます!!
初投稿です。
1部ノンフィクションです。
悲しいですが、ハッピーエンドだと思っています。
最後まで読んで頂ければ幸いです。
私たち、何度離れ離れになっても会える気がするの。
だって貴方の匂い覚えているから。
僕は、その子を見た瞬間、時が止まったかのように感じた。
隣を歩く2人の足跡も僕の足跡に続いてピタッと静かになった。
横で「いくよ。」と声をかけられても動くことが出来ない。
柵の向こうで波の光のようにきらきら輝く女の子をじっと眺めていた。
目を吸い込まれて、心臓の音がすごくうるさい。
とうとう抱っこされてお家に帰ることになった。
柵の向こうに居た女の子はただ静かにじっと僕を見つめていた。
その日から僕は2人に外に行こう、と毎日誘うようになった。
決して近所ではないが、毎日通る住宅街に彼女はいた。
やれやれとため息を着きながらもニコニコして一緒に出かけてくれた。
何度も何度もそこを通る度に止まちゃう僕に段々2人も待ってくれるようになった。
毎日彼女の家に着くまでに綺麗な葉を探したり、お花を探して持っていく。
今日こそはと持って柵の前に立つと、何故か心臓の音がうるさくて震えて、渡せない。
どうして?としょんぼりしていると
「コロは、恋してるんだね」と微笑まれながら頭を撫でられた。
心臓のうるさい音の原因は『 恋』だったんだ。
飲みたくは無いけど、お薬飲まなくて大丈夫かな。とウロウロしていると「大丈夫だよ。」と美味しいおやつが出てきた。
明日こそ渡すんだ。そしてお名前はなんて言うの?って
あわよくば、あの子のことをもっと知りたい。
―
毎日変な男の子がくる。
毎日お花や葉をもって手でギュッと握りしめては
しばらく私を見たあとしょんぼりして帰ってく。
最初はジロジロ見られてる感じがしてすごく嫌だった。
だけど毎日来ては身震いし帰ってくそんな男の子が少し可愛く思えてきた。
おばあちゃんに柵から外に勝手にでちゃダメだよ。
と言われているので静かに縁側に座って本を読む。
いつ、あの子来るかな。
今日はおばあちゃんに頭を整えて貰った。
可愛いリボンを2種類出されてどっちがいい?と聞かれる方を見ると
茶色のふわふわしたリボンと
水色のふりふりのリボンがあった。
こっちのリボンにしよう。
何だかあの男の子の色に似てるから。
ふふっと笑いながら結んでもらうと、あらあらとおばあちゃんが嬉しそうにしていた。
なんでか分からないけどおばあちゃんが嬉しそうなら私も嬉しい。
そんな風に、縁側でおばあちゃんとお話してると
また男の子が来てくれてた。
おばあちゃんがあらあらと立ち上がると柵の方へ向かう。
私変じゃないかな、と
おばあちゃんの後ろをゆっくりついて行くと
男の子の顔がぶわっと赤くなった。
「あらこんにちは」
「いつもすみません。うちのコロがここに来ると動かなくなっちゃうんですよ。」
「いいんですよ。この子も私がこんなんだから、散歩にも行けなくて、、1人でぼーっとしてること多いからお友達が増えたみたいで嬉しいわ。」
ほらおいでとおばあちゃんの手に導かれるように男の子の前に立つ。
「こ、んにちは。」
おばあちゃん以外の人と滅多に話さないから少しだけ声が裏返ってしまった。
恥ずかしくて熱くなった顔の頬を撫でる。
すると「これ、あげる!」と目の前に綺麗な花が束になってあった。
「ありがとう。」と頬を緩ませながら言うと「うん、」とそっぽを向いて歩いてってしまった。
横にいた2人も慌てて頭を下げて帰っていく。
おばあちゃんは花をじっと見つめると
「これはカタバミね。すごく綺麗。折角だから飾りましょうか」
と綺麗なガラスに入れてくれた。
その日からおばあちゃんは花の名前を本と一緒に教えてくれた。
また明日もきてくれるかな。
男の子は毎日来てくれた。
毎日何かをもって。柵を挟んで少しずつお喋りするようになった。
「私はシロよ。あなたは?」
「僕はコロだよ。」
今日はね。と持ってきた花を見せてくれた。
「ありがとう。今日も綺麗」
「君の綺麗な白い毛に似合うと思って」と嬉しそうにお話してくれた。
頭に乗っけてもらうとうん。やっぱりと言って微笑んでくれた。
そろそろ行こうと2人に言われると
またね、と帰っていく。それがいつも帰る合図のようなものだった。
見慣れた光景が少しずつ寂しく感じた。
柵を掴んで、見えなくなってく彼らを眺める度に、
私もお外出たいなと思うことも増えた。
外の暮れる時間をみて、そろそろかなと柵の近くで待つようになった。
真っ暗になるとお家でおばあちゃんと寝ちゃうから
少しでも長く話せるように、なんて。
おばあちゃんに言われなくてもリボンをもってお願いするようになった。
少しでも彼の前でキレイでいたくて。
「恋する乙女ね。ふふっ」
とブラシで優しくとかしてくれる。
恋ってなんだろ?
毎日お花とあった事を教えてくれた。
昨日はこんなのたべたよ、とか。
昨日のは安いってわかるんだよなーーとか。
そんな話を聞くのが、彼に会うのが楽しみで仕方なかった。
そんな毎日が続いた時、
後ろで「ドタンッッ」と物が倒れると大きな音がした。
慌ててドアを開けるとおばあちゃんが倒れていた。
どうしたらいいの?なにがおきてるの?
わけも分からずに傍で泣き叫んでいると
「お邪魔します。ごめんなさい!!」と彼と2人が柵の中からお家に入ってきた。
ドアが空いていたから気づいてくれたみたいだった。
大丈夫だからね。と私をなでる女の人とすぐに呼ぶと男の人とどこかに電話をかけ始めた。
少し時間が経った後、大きな音がする車と一緒におばあちゃんがどこかへ運ばれていった。
女の人がおばあちゃんの親戚の人にも電話してくれてたようで家に沢山の人もきた。
おばあちゃんじゃない人が家に居るのが少し騒がしくて、怖くて、安心できなかった。
そんな騒動の間、彼はどこかへ行ってたらしく、息を切らして私の前に駆け寄ると、
ジャーキーと、お花を目の前にポンっと置かれた。
「これ食べておばあちゃん待とう?また会いに来るね」
そう言うと彼は2人の「帰ろうか」の合図とともに帰って行った。
空が暗くなってきたので、お家の中に入った。
お花とジャーキーをギュッと抱きしめて。
さっきまで怖かったのが嘘みたいに体がほわほわした。
隅っこで小さく丸まって目をつぶった。
それから、少しの日が経つと沢山のダンボールに、お家の中の物が入れられていった。
先程まで家に来ていた沢山の人は黒い服を身にまとっていて私も一緒に車に乗せられた。
暫くすると、煙臭い所についた。
人はみんな降りてくが、私は車に取り残された。
暫くするとポツポツと雨の匂いと共に煙の匂いがしなくなったので
ほっと静かに目を閉じた。
早く帰りたい。早く彼に会いたいな。おばあちゃんにいつ会えるんだろう。
どのくらい寝たのか分からない。
目が覚めるとまた、違うところにいた。
クルマから降りるといつもの木の匂いでいっぱいのお家とは違う沢山の匂いがした。
すごく落ち着かない。
私は外の芝生に座った。
ジャーキーとお花を傍において。
いつか一緒に食べたいな、なんていもしない彼を思い浮かべるようになっていた。
お外に出して貰えるようになった。
少しずつ周りの道を覚えた。
長く歩くわけじゃないけど、すごく嬉しかった。
今度は私が会いに行けるから。
ブラシは別にしてもらえなくても良かった。
おばあちゃんが優しくしてくれた感覚が残ってるから。
早く会いたい。おばあちゃんと彼に。
どんどん会いたい想いが膨らんでいく。
私すごくワガママになってるな。なんて少し嬉しかった。
いつものように暗くなったので目をつぶっていると
急に頭がギュッと引っ張られた。
思わず飛び起きると小さい人と大きな人が私の毛を引っ張ってきた。
こらこらなんて笑いながら止めない大きな人たちを見て、
すごく痛かった。
何度も何度もされたとき、もうやめて!と思いっきり支えられていた大きな腕を噛んでしまった。
もう頭にはおばあちゃんの感覚がなくなってしまった。
手は話されたけど、じんじんとした痛みにすごく悲しくなった。
どこにいったの。おばあちゃん。
わたしの毛をまたとかしてよ。綺麗って言ってたのに。また、ボサボサになってきちゃったよ。
暫くすると柵の外にだされた。
ジャーキーとお花と一緒に。
その後ガシャンと柵を閉じられた。
大きな噛んでしまった腕の人だった。
「ほっとけば反省して噛まなくなるだろ」
そんな事を言って玄関まで行くと、振り返らずに扉を閉めた。
私、外を自由に歩いていいってこと?
彼に会いに行けるってこと!?
今までは気が向いた時にしか出して貰えなかった。
合わせて歩かなきゃ行けなくて行きたいところにも行けなかったから。
少しずつワクワクしながら足を早く動き出した。
少しだけ久しぶりに走り出した足が何故か痛いけど、
会いに行ける! と思うと、全然痛みなんて無くなった。
前のお家に帰ろう。おばあちゃんにあって、それで、
彼に会うの。あの二人にも。
少しだけお花とジャーキーに残ってる匂いを頼りに歩き出した。
薄くなったけど、まだ覚えている。
彼の匂いを辿って。
雨が降った時には匂いが消えないようにすぐに隠れた。
神様にお願いした。おばあちゃんがよくこうしてた。
「彼に会えますように」って。
家に連れてこられた時より、
空が前よりキラキラしていて、はやく、はやく、とリボンを揺らしながら走った。
歩いて居ると知らない人に声をかけられることも増えた。
知らないおばあちゃんにおいでと呼ばれたので駆け寄るとジャーキーとお花を取られてしまった。
やめて!と叫ぶとそのおばあちゃんが頭を撫でて
大丈夫だから、ちょっと待ってね。と布に包んで背中に載せてくれた。
少しだけ首は苦しいけどすごく歩きやすくなった。
リボンも解れていたのか、ぎゅっと取れないように結んでくれた。
ありがとう。と声をかけるとこれもおたべとご飯を出してくれた。
ずっとご飯食べてなかったから、すごくお腹がぽかぽかした。
ぺこりと挨拶をするとニコニコしながら見送ってくれた。
おばあちゃんみたいな人はすごく優しいんだな。
なんてニコニコした。
ずっと歩いていると、少しずつ耳が聞こえづらくなって言った。
目もぼんやりとし始めた。
だめね。こんなんで
顔を洗えてないからかなと、川で顔をつけて乾かしてもあまり変わらなかった。
早くお家に帰っておばあちゃんにお風呂に入れてもらわないと。
それから会いに行かなきゃね。綺麗なままで会いたいから。
少しずつ、休憩時間が増えた。足が痛い。
足から血が流れるようになった。
前より声をかけられることが減ったし、前より食べれるご飯も減った。
ご飯を探す手間が減って良かったかしら、なんてまた歩き出した。
もうどこを歩けているかあまり分からなかった。歩いているのに歩いていないみたい。
ポスッと誰かにぶつかったように感じた。
あらごめんなさいと横に退けようとすると急に目の前が真っ暗になった。
目が覚めたとき足があまり痛くなかった。
足を見ると爪が短くなっていた。
首の開放感あることに慌てて驚き立ち上がると目の前にジャーキーと花が置いてあった。
ほっと安心するとまたジャーキーの傍で横になった。
体もほわほわしていた。すごく綺麗になったみたい。
おばあちゃんに会えたのかな。なんて嬉しいのにあまり体が元気なかった。
暫くすると2人の声と共にご飯が前に出てきた。
少しずつ食べさせてくれてすごく暖かかった。
おばあちゃんじゃないみたいだけど、すごく優しくておばあちゃんを思い出しては悲しくなっていた。
もう会えないのかな。
それでも少しだけ、もう少しだけ休憩しようかな。
頭を撫でてくれた人の手は暖かくて静かに身を委ねた。
ブラシで優しく溶かしてくれた。
リボンつけてもいいかな?とおばあちゃんが前につけてくれたリボンを出してくれた。
洗ってくれたのか凄く綺麗。
ありがとう。お願いと頭を差し出した。
私綺麗かな。
一緒に写真というものを撮った。
撮った瞬間紙になって出たみたい。
あまりぼやけて見えないけど、絶対かわいいから大丈夫だよね。
もう少し、もう少しだけ
段々体が重くて自由が効かなくなって、眠い日が増えた。
少し寝たらいこう。
少し寝たら、とどんどん眠くなっていく。
私はおばあちゃんに、あの人達に、
彼に、会いに行かなきゃいけないの。
ふと目が覚めたとき足が全然痛くなかった。目も凄く見える。
今までずっと眠かったのが嘘みたい。
これなら、と布の上に置かれたジャーキーと花をもって外に歩いた。
鼻が今日すごく効くの。
本当は花を私から新しいの渡したかったけど、
この花を2人で大事にしたいの。
一緒に名前をおばあちゃんから聞いて、2人で探して、
自然と足が前に出ていき、ある場所で足がとまる。
私たちと同じくらいのお家だった。
大丈夫かな、っておばあちゃんのリボンを確認すると、
彼にジャーキーとお花を見せながら笑った。
「そこにいたのね。」
そこにはまた、新しいお花を照れくさそうにもって待ってくれてる彼がいた。
「やっと会えたね。すごく会いたかった。
君のおばあちゃんには会えたのだけれど君に会えなくて。」
「おばあちゃんもいるのね。早く綺麗にまたしてもらわないと。リボンあなたもつけましょ。お揃いの。
お花の名前教えてもらわないと。それに、このジャーキーも、一緒に食べましょ?」
2人で手を握るとおばあちゃんの元に走っていった。
何回だって見つけてやるんだから。
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おばあさんを救急車に電話したあと
シロちゃんがすごく鳴き声を上げていた。
コロは、と辺りを見回すとお家から自分の大好きなおやつの袋とお花をって来ていた。
このままじゃ食べれないけどと悩んでいると大事そうに袋ごと加えて
顔をスリスリしていた。
コロはビクッとして固まっていた。
暫くするとおばあさんの緊急連絡先という紙に書かれた番号に電話した人達が来た。
これで大丈夫かな、と長居するのもなんなので家に帰ることにした。
珍しくコロも素直に帰ってくれた。
毎日毎日同じルートを散歩するが、一向におばあさんとシロちゃんは見えなかった。
コロは毎回しょんぼり耳を垂らすので、可哀想になり、美味しいおやつを渡すようになっていた。
だが、そのおやつも食べずに外の犬小屋に貯めてしまう。
大量の虫が湧いてることもあった。
ある日おばあさんの家の前をいつものように通ると、話し込んでる人達がいた。
あの、と声をかけようとすると
「だから、もうこんな家潰せばよくね?財産にもならないし。」
「あの犬は?」
「うちで預かってるよ。無駄にでかいけど子供の遊び相手になるし。この家からドックフード持ってったからまぁ困ることないし。」
あまり聞いてていい話ではなかった。
コロがガルルと威嚇を始めたので慌てて連れて帰った。
コロにも伝わっていたのかな。
それから暫くして、コロの視力と聴力は激しく衰えていった。
だけど毎日散歩はやめなかった。
少しずつ足も衰え始めて、痛いと夜中泣き叫ぶことが多かった。
足が痛くても旦那と支えていつものルートを少し短めにゆっくり歩いた。
1歩1歩支えながら。
家の跡形も無くなったシロちゃんの柵の前で暫くじっとするとまたゆっくり歩き出した。
凄く見ていて辛くて毎日涙が出るようになった。
暫くして、歩けなくなり寝たきりになった彼は衰弱し、とうとう目を開けなくなった。
思ったより写真が少なくて、飾れる写真がなかったこともすごく泣いた。
旦那は一緒に静かにそばに居てくれた。
数年の時が立った時、いつものように旦那と散歩をしていると、1匹の犬が目の前でよろよろと倒れた。
すごく弱っていて息がしずらそうだった。
旦那とゆっくり抱き抱えて急いで病院に連れていくと、
もう歳ですね。と言われた。
一応のお薬を貰って、家に帰った。
背中に乗せていた袋を開くとすごく悪臭が酷かった。
腐敗して膨張してるジャーキーと、枯れて乾燥した花が入っていた。
あなた、これ、と旦那を呼ぶとまた2人で泣いてしまった。
伸びきってくい込んだ足の爪や、身につけていた布とリボンを洗い、旦那にはお風呂でゆっくり痛くないように洗ってくれた。
その間も目が覚めなくてすごく心配だった。
少しの時間が経つと、ゆっくり起き上がり、ジャーキーの袋を慌てて探していたシロちゃんを見てほっとした。
取れなかった写真をいっぱい取り、毎日スプーンで少しずつご飯を食べさせて、毛をブラッシングして優しく撫でると静かに眠る。
コロの時と同じように眠る時間が増えた。
そんな日が続いたあと、ふとシロちゃんがゆっくり歩き出した。
フラフラとしながら、旦那は静かに玄関の扉を開けた。
ゆっくり着いて行くとコロの小屋の所で止まった。
小屋は捨てられなかった。そこからいなくなってしまう気がして。
ジャーキーとお花を置いて、ゆっくりと中に入っていき
目をつぶると、もう目が開くことはなかった。
玄関には2人の写真が飾られている。
私たちの家族写真として。
このお話を最後まで読んでくださりありがとうございます。
本当に感謝しています。
コロは私の飼っていた犬であり、近所のおばあさんの家の犬に恋をしてそのおばあさんの家の柵から動いてくれませんでした。
そこには白の大きい犬がいて、毛並みがふわふわでとても綺麗な犬でした。
毎日コロが見続けていると自然とその白い犬も近寄ってきて毎日柵越しに見つめあっていてもどかしい気持ちをしていました。
ですが、ある日その家のおばあさんは倒れてしまい、白い犬もいなくなってしまいました。
コロは、その後何度もその家を通りかかる度に止まって、空き家になってしまった白い犬がいた所ををぼーっと眺めていました。
今私の家のコロは亡くなってしまいましたがそんなコロが幸せにしていたらいいなと思って書きました。
18年もそばに居てくれたコロには涙が止まらなく、犬小屋を暫く眺めてしまう様になっていたので、その描写も取り入れました。
ここまで私情で申し訳ありません。
たくさんの人に読んでいただけると嬉しいです。
ありがとうございました。