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高坂美月 童話・児童文学集

遊園地のおともだちたち

作者: 高坂 美月

心が疲れて、もうすべてどうでも良いと思ってしまった。


そんなとき、私は気づけば遊園地に迷い込んでいたのだ。


ここ、どこだ?


そう思ったとき、学校の制服のようなものを着た男女2名が遊園地の入り口で出迎えてくれる。


男の子は短髪の黒髪で、前髪をセンター分けにしていた。


白いシャツにチェック柄のネクタイ、ハーフパンツ姿だ。


女の子は前髪なしの金髪で、顎くらいの長さのボブヘアだ。


女の子も白いシャツにネクタイ、ベージュのスカートを身につけている。


「ここは悩める人のための遊園地なんだ」


男の子の方がそう言って、私の手を引いて案内した。


女の子もついていく。


「どのアトラクションに乗ってもいいし、アイスとかも食べていいよ。お土産も好きなの買っていってね」


女の子は私の頭にカチューシャを乗せながら言う。


館内を歩き回り、私が「ジェットコースターに乗りたい!」と言うと、2人は了承してくれた。


ジェットコースターに乗ると、一切の悩み事がなくなったような気分でスッキリした。


その後は男の子が「来てくれたお礼にアイス奢るよ」とのことだったので、3人でアイスを食べる。


男の子はチョコアイス、女の子はいちごアイス、私は抹茶アイスにした。


「……なんでここまでしてくれるの?」


私が訊くと、男の子は


「君が悩んでて辛そうだから元気になってもらおうと思って」


と微笑む。


私はアイスを食べながら考え事をしていた。


ーーこのまま楽しい時間が続けばいいのに。


ーー今だけは悩み事も忘れられるのに。


「どうしたの? 大丈夫?」


女の子に声をかけられ、私は我に返る。


「あ、ごめんね、なんでもない」


私が言うと、女の子は「なら良いけど……」と言った。


それから私たちはいろいろな乗り物に乗る。


メリーゴーランド、観覧車、空中ブランコなど。


3人で写真も撮り、このまま時間が止まれば良いのになんて思ったりもした。


気づくと空が暗くなっており、2人とお別れする時間が近づいてきた。


明日からまた悩みだらけの世界に戻らなければならないと思うと、涙が止まらなくなる。


私が泣いていると男の子は背中をさすってくれ、女の子はティッシュをくれた。


「大丈夫。悩み事なんてずっと続くものじゃないから。また辛くなったらここに遊びに来たらいいよ」


男の子が言うと、女の子も


「そうよ、私たちがいるし1人じゃないから。ここに手紙書いてくれたら返事するし」


と言って連絡先を書いた紙を渡してくれる。


ベンチで話をした後、少しして男の子がお土産にうさぎの風船をくれた。


こうして私は2人とお別れし、家に帰る。

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