第4話 二人で乗り越える試練
学園の文化祭が迫り、校内はいつになく賑やかだった。ルカとマリのクラスでも、準備が佳境に入っていた。教室は装飾で彩られ、みんなが一丸となってイベントの成功に向けて動いていた。
「文化祭まであと少しだね。今日中に飾り付けを終わらせないと」と、マリが少し焦った様子で言った。
「そうだね。頑張ろう、マリ」と、ルカは彼女を元気づけるように微笑んだ。
その時、クラスメイトの一人が駆け寄ってきた。「大変だ!装飾の材料が足りなくなったんだ!」
教室が一瞬静まり返り、全員が動揺した。このタイミングでの材料不足は、文化祭の準備に大きな打撃を与える。マリも一瞬戸惑ったが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「私たちでなんとかするしかないわ。ルカ、付き合ってくれる?」
「もちろん。急いで商店街に行って、材料を買ってこよう」と、ルカはすぐに答えた。
二人は商店街へと向かい、必要な材料を探し始めた。しかし、どの店も文化祭の準備で忙しく、在庫が不足していることを告げられた。
「どうしよう…このままじゃ時間が足りないわ」と、マリが心配そうに言った。
「諦めるのはまだ早いよ。もう少し探してみよう」と、ルカは彼女を励まし、商店街をさらに奥へと進んだ。
その時、ふと目に入ったのは花屋の看板だった。そこには「特別セール中」の文字が大きく掲げられている。
「もしかして、あの花屋さんなら何か手助けできるかも」と、ルカは思いつき、マリと一緒に花屋に入った。
中に入ると、いつも温かい笑顔で迎えてくれる花屋のお姉さん、紗希が出迎えた。
「こんにちは、ルカ君、マリちゃん。今日はどうしたの?」
紗希は二人の顔を見て、すぐに何か困っていることを察した。
「実は、文化祭の装飾の材料が足りなくて困ってるんです。何か代わりになるものがあればと思って…」と、マリが事情を説明した。
紗希は少し考えた後、にっこり微笑んで、「それなら、この花を使ってみるのはどうかしら?簡単にアレンジできるし、華やかな雰囲気を作れるわよ」と、数種類の花を見せてくれた。
「これなら、クラスの装飾にもぴったりだね」と、ルカも賛同した。
「ありがとうございます、紗希さん!この花を使って、素敵な飾り付けを完成させます!」と、マリも嬉しそうに言った。
紗希は優しい微笑みを浮かべながらも、その瞳の奥にはどこか寂しさが感じられた。二人が気づくことはなかったが、彼女は一瞬だけ視線を逸らし、小さなため息をついた。
「文化祭、楽しんできてね。これでクラスもきっと華やかになるわ」
紗希は少し遠くを見るような目をしながら言ったが、すぐに元の笑顔に戻り、二人に花を手渡した。ルカは紗希の微妙な変化に気づかなかったが、彼女の言葉に感謝しながら、急いで学校に戻った。
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装飾の仕上げとすれ違い
教室に戻ると、他のクラスメイトたちが心配そうに待っていた。ルカとマリが花を持って帰ってくると、皆が一気に安心した表情を見せた。
「よかった、間に合ったね!」と、クラスメイトが喜んで言った。
二人は急いで装飾の仕上げに取り掛かった。花を飾り付けることで、教室は一気に華やかになり、文化祭のテーマにぴったりの雰囲気が出来上がった。
「すごい!この花、教室にぴったりだよ!」と、他のクラスメイトも感嘆の声を上げた。
「紗希さんのおかげだね。彼女がいなかったら、こんなに素敵な装飾はできなかったよ」と、マリが嬉しそうに言った。
ルカも同意しながら、マリとの連携がうまくいったことに満足感を覚えた。
しかし、その夜、ルカは彩音のことを思い出した。文化祭の準備で忙しかったこともあり、彼女との約束を後回しにしてしまったことが心に引っかかっていた。
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彩音とのすれ違い
翌日、彩音がいつも通り朝食を準備していたが、その表情には少し沈んだ様子が見えた。
「彩音、昨日はごめんね。文化祭の準備でバタバタしてて、君との時間を取れなくて…」
ルカが謝ると、彩音は静かに首を振った。
「お兄ちゃん、気にしないで。私はお兄ちゃんが一生懸命頑張っている姿を見ているだけで嬉しいから。でも…少しだけ、寂しかったかな」
その言葉に、ルカは心が痛んだが、どう対応すれば良いか分からず、彩音に優しい言葉をかけることができなかった。
「今日も文化祭の準備があるから、また夜に話そう」とだけ言い残し、ルカは家を後にした。
彩音は静かに見送ったが、その背中には明らかに寂しさが漂っていた。
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エピローグ
文化祭当日、ルカとマリは教室の装飾が大成功したことを喜んでいた。花屋の紗希さんにも感謝の気持ちを伝えに行き、彼女も喜んでくれた。
「二人とも、よく頑張ったわね。これからも、何かあったらいつでも頼ってちょうだいね」と、紗希は微笑んだが、その微笑みの奥に一瞬の寂しさが垣間見えた。
マリとルカは、これからもどんな困難があっても二人で乗り越えていけると確信しながら、文化祭を満喫した。
しかし、ルカの心にはまだ、彩音とのすれ違いが引っかかっていた。そして、彼は次の機会に彼女との時間を大切にすることを決意した。