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先に生まれただけなのに 【何でもいい】


「確かに僕は君の『飲み物は?』という質問に『何でも良い』って答えたよ。――」

時刻は夕飯時。とある事情があり、押しかけるようにして教え子の自宅に上がり込んだ僕は、走ってきたこともあり。乾いた喉をうるおせるのならという意味合いと若干の遠慮を込めて、何でもいいと伝えた。


「――でもさ、カレーは違うじゃん」


「?」

「いや、何でもいいとは言ったし、一部の界隈では飲み物と呼称されているらしいけども…違うじゃん!」

サハラ砂漠よりもカラカラな状態でこんなの飲んだら、喉のインド人もびっくりしてターバン投げちゃうよ!


「お似合いですよ?」

「どういう意味!?カレーとお似合いって。 褒めてんの、貶してんの。それともやっぱり怒ってんの」


晩御飯を邪魔された彼女の些細な嫌がらせはまだまだ続く。




「それで先生。お風呂にします?ご飯にします?それともナンにしますか?」

「なんだよ、その新婚夫婦の初々しい会話に見せかけた、ほぼカレーを食わさせようとする問いかけは――というか、お風呂に張る水があるというのなら、その水をまずコップに注いでくれ」


「先生は変態です。私が浸かった後の残り湯を飲ませてくれ、だなんて」

入浴後だったからだろう。髪が心なしか湿っている彼女は、わざとらしく頬を朱色に染める。


「違う、断じて違う。だからコップを持ったまま浴室へ向かうのはやめたまえ。蛇口から出た水道水をくれ!と言っている」


お風呂の後にご飯を食べるタイプなんだなと、心の片隅で思いながら僕はもう一押しとばかりに言葉を続ける。

「君が僕をどう見ているかは知らないが、僕は決して。君から湯へ溶け出た出汁を鼻で嗅ぎ、舌で味わい、喉で確かめ、胃で満たし、心で堪能したいだなんて考えるような特殊性癖者ではないのだよ!」



「…変態」

「――なんで!?」

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