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もう一度妻をおとすレシピ 第11冊  作者: 奄美剣星(狼皮のスイーツマン)
覚書
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覚書/革と布:人類の氷河期生存戦略

挿絵(By みてみん)

挿図/Ⓒ奄美「北風」


Ⅰ 前置き


パイオニア的な研究者が、未整理の分野を整理するときに、ざっくりとした三期区分法を用いる。

地質学で、最初に三期区分法を用いたのは、1759年の伊・地質学者ジョヴァンニ・アルドゥイノだ。

ここで暫定的な地球史が出来上がる。地地球の地質年代は、第一紀から第三紀とされた。後に第三紀の終わりが第四紀に改められる。

ところが、第一紀と第二紀は、旧約聖書に基づいた年代観であったため廃され、冥王代、太古代(始生代)、原生代、顕生代に再編された。第三紀と第四紀は、顕生代:古・中・新生代のうちの新生代に属するものと位置づけしなおされた。


――地球史――


冥王代は、地球誕生から40億年前で最初の生命が誕生した時代。

太古代(始生代)は、40億年前から25億年前で、古細菌と真正細菌の門の多くが出そろった時代。

原生代は、25億年前から5億4,100万年前で、真核単細胞生物から硬い骨格を持った多細胞生物の化石が多数現れる時代。

顕生代は、5億4,100万年前の生物が、一気に多様化する「カンブリア爆発」から現代に至るまでの、肉眼で識別できる化石が豊富にある時代だ。


顕生代は、古生代・中生代・新生代の三つに区分される。

古生代は魚類、両生類・及び昆虫や三葉虫を含む甲殻類が繁栄した時代。

中生代は恐竜が繁栄した時代。

新生代は、隕石落下によって、鳥類を除いた恐竜を筆頭に、75%の生物が大量絶滅したあと。哺乳類と鳥類が繁栄している現在に至る時代だ。


新生代は、第三紀と第四紀に分けられる。

このうち第四紀は、人類が活発に活動するようになった「人類の時代」だ。258万8000年前から現在までの期間である。

さらに第四紀は、更新世と洪積世とに分けられる。

洪積世は、258万年前から1万年前までの期間で、そのほとんどが氷河時代である。

更新世は、1万年前から現在に至る温暖期だ。


          * * *


Ⅱ 本題


さて「針の発明」は、洪積世である3.6万年前に発明されている。

仏・ゴウロッテ・ドゥ・レータ遺跡で、ビーズ装飾、孔をあけた動物のペンダント、マンモス革のテントとともに、針、錐、銛(骨角器?)が発見されている。

現生人類ホモサピエンスが居住した洞窟遺跡だ。同遺跡は、後期旧石器時代・仏・シャテルペロン文化期に属している。

針が発明されたことにより、皮革製衣類の縫合が可能となった。


世界最古の繊維は、中央アジア・グルジアの洞窟から、3万4000年前の亜麻繊維が発見されている(遺跡名不明)。2009年時点では世界最古のものだ。

https://www.afpbb.com/articles/-/2639939


現在発見されたもので、世界最古の布は、5000年前、エジプト古王国時代の貴族墓から発見されている。亜麻(リネン)製のドレスだ。


――皮革――


皮革(ひかく)とは、動物の皮膚を生のまま、または、なめしてあるものを指す。動物から剥いだ皮膚を皮、皮から毛を除き、なめして得られる製品を革といい、生皮から革までを含めて皮革と総称する。毛皮は毛をつけたままなめしたもので、広義には皮革に含まれる。


人類の祖先は動物の皮に着目し、利用するようになったが、最初はネズミやウサギなどの小動物が利用されたと考えられている。最初の皮革の利用は毛皮であった。皮は乾燥させると硬くなるが、乾燥中に繰り返し揉んだりほぐしたりして加工すると柔らかさを保つ性質がある。


皮革は硬質の樹脂であるプラスチックが発明されるまで人類が入手できる最も強靭な素材だった。


引用:「皮革」wiki


――植物の布――


植物の布には、編布(あんぎん)と織布とがある。

網布は、大麻、苧麻、イラクサ、アカソ、藤、楮、科、オヒョウ、葛、芭蕉が素材だ。

対して織布は、通常、絹、麻・葛・木綿などの繊維類を薄く加工した織物を指す。

貨幣経済が未熟なころの布は、穀物とともに通貨の代わりで課税対象品だった。


ここで日本に目を向けてみるとしよう。

網目の粗い網布を網代という。籠細工、敷物、簾につかい、漁労では網の代わりにも使った。轆轤がないころ土器制作は、木の葉あるいは網代を敷き、生乾きの土器を回転・整形したため、土器底部に網代圧痕がつく。網代圧痕土器では、6千年前(縄文時代前期)の福井県鳥浜貝塚出土品が最古。


衣服として使う編布は、縄文晩期(=弥生早期、BC10-5)に登場する。早期弥生圏である西日本からきた織布にヒントを得て衣類用ができたのかもしれない。


織布について、wikiによると中国ではBC200年の戦国時代に織機があったとするが、もっと前だろう。――というのは同時期、日本の弥生時代遺跡から、木綿から糸を紡ぐとされる、コマに似た、「紡錘車」が出土するようになるからだ。


余談ながら、中世・戦国時代の上杉謙信(16C)は、青麻(青苧)布を越後ブランドとして京都に出荷。中部・関東へのたび重なる出兵は、潤沢な青麻交易からなる軍資金に基づくものである。そんな青麻も、近世・江戸時代(17-19C)になると、木綿や絹に押されて衰退する。


――絹――


蚕繭からとれる動物繊維「絹」は、蛋白質・フィブロインを主成分としている。

繭1個から0.8 - 1.2㎞採取できる。絹で織った布は、滑らかな質感と光沢があり、珍重されてきた。


絹は、紀元前30世紀に中国で生産が始まった。紀元前2世紀、古代・前漢の時代に蚕室技術が発展。6世紀、中世・北魏には現在の養蚕原理が確立。西暦1000年、北宋の時代の両税法が、銭納から絹納へと切り替えられ、一般農家での生産が普及する。


6世紀になると絹織物技術がローマにもたらされ、1146年にシチリア王国で生産が本格化、英国でも試行錯誤の生産が行われ、16世紀に、ようやく軌道に乗る。それまではもっぱら中国からの輸入に頼っていた。――紀元前10世紀のエジプトの遺跡から絹片が発見されている。


日本には弥生時代に養蚕・絹の製法が伝わり、律令期の納税用に絹織物の生産が盛んになったが、中国からの輸入品に品質が及ばず、中世になると衰退。だが、近世・江戸時代になると、中国ものに匹敵する品質を誇るようになり、近代・明治の基幹産業になった。


引用:「絹」wiki


――毛織物――


毛織物は、動物の毛で作った糸で織られた織物をさす。羊毛(ウール)による毛織物は、紀元前30世紀に、シュメール人が開始して世界各地に伝播、欧州にも伝わった。なかでも、ローマ時代の低地地方(フランドル地方)産の毛織物は好評を博した。


低地地方(フランドル地方)とは、ベルギー、オランダ・フランスの一部からなっている。


10世紀、イギリスから羊毛を輸入し、ブルッヘ(ブルージュ)を中心としたフランドル地方の基幹産業になった。なかでも、タペストリが好評を博した。彼の地の毛織物は、12世紀になるとフランス・シャンパーニュやサン・ドニの大市に運び込まれ、13世紀になるとイタリア・フィレンツェで染色加工されるようになる。


他方、イギリスは、従来羊毛輸出国だったのが、14世紀あたりから、白地広幅織物が輸出されるようにあり、15、16世紀に農民の副業化が進み、17、18世紀には専門の生産業者が現れるようになり、フランドル地方・オランダ、フランスを追い抜き、18、19世紀の産業革命を迎えるに至る。


引用:コトバンク/ソース:日本大百科全書(ニッポニカ)「毛織物工業」:殿村晋一


          * * *


Ⅲ まとめ


5万年前から1万年前(1.5万年前説も)が最終氷期だ。1.8万年前が極寒で、欧州の氷河は現在の全ドイツまでを覆っていた。そして、5万-3万5000年前、地球の大部分が、最終氷期・極寒のただなか、ネアンデルタール人が絶滅。――ネアンデルタール人やデニソワ人の住んだ洞窟遺跡には、飢えから共食いをした人骨化石が出土。ほどなく姿を消す。


ホモサピエンスは、3万6000年前の針の発明、3万4000年前の布(亜麻繊維)の発明により、動物の革や繊維で、服をつくることで保温が可能となったのが、生き延びられたことの一因ではあるまいか。


なお、当時も温暖だった、ホモエレクトス系である東南アジア・フローレンス島のホモフローレンシス(ホビット)人絶滅に関しては、ホモサピエンスに猟場を荒らされて餓死したとも、火山噴火被災によるものとも聞いたことがある。


∴略年表

3.5万年前ごろ(更新世・最終氷期):皮革製衣類及び植物の布の衣類の登場

5000年前ごろ(完新世・古代文明):毛織物及び絹による衣類の登場


   ノート20221109

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